鈴舞さんはこの後、学校でフォークダンスに出会い、中学生になると踊る事に楽しみを覚えた、というのは最初に書いた通りです。これからはその後の展開です。
学生時代になると、彼女は文化サークルに入りました。ダンスのサークルではありません。普通に読書活動のサークルでした。彼女は読書が大好きだったのです。ところが、週1度サークル員が集まって行われる読書会が、彼女にとって彼女が思った程には愉しくないのでした。それも道理かもしれません。何しろ、回りはもう皆、成人前後の年代です、個々人の人格、価値観がある程度出来上がり、彼女にとって納得できない感想なども折々出てくるのでした。
高校時代までとは違い、監督の先生という、学校という大きな後ろ盾を持ち、絶大な主導権を握る人物はい無くなり、サークル活動はサークル員のみで散漫でした。サークルには部員が多くいればよいという感じであり、新しいサークル員の勧誘迄は酷く熱心な先輩達でしたが、いざ勧められてサークルに入ってみると、自分こそが主導権を握りたい、または交際相手を見つけたい、という悲喜こもごもの先輩達の覇権争いを多々目にするようになりました。この為彼女はサークルへの参加意欲が段々と薄れ、到頭、本を読んでの感想を持つ事さえどうでもよいという感じになって仕舞いました。
もう辞めようかな、そんな事を彼女が考えている時に、年に1度の卒業に向けての予餞会が巡って来ました。彼女のサークルではこの時期、例年ダンスパーティーが企画されていました。新入生は皆大抵はダンスパーティーなど初めてでした。しかも、フォークダンスでは無くソシアルダンス、社交ダンスの類のダンスパーティーでした。パートナーが必須となり、皆踊れるようにと、読書サークルでは事前に練習会が持たれました。
大学には社交ダンスサークルが有りました。幸い読書とダンスの2つのサークルを掛け持ちしている先輩がいて、サークルの皆に指導してくれました。鈴舞さんもこの先輩に適当に相手を決めてもらい、パートナーと組んでダンスを習い始めました。皆初心者なので、簡単なジルバとかワルツの初歩的な動きだけでしたが、簡単な出だしの踊りだけに鈴舞さんもすぐに踊れるようになったのでした。
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