私はそのコンクリート造りの、ボックス型の建造物の入り口を眺めていました。何人かの男女が出て行きました。何人かでのグループあり、同性や異性の2人連れがいたり、中には私の様に全く単身の人もいました。そして面白そうに笑いはしゃぐ人から真顔で変化の無い人、深刻そうな人から青ざめて力無い人まで、十人十色というのでしょうか、殆ど統一性のない様々な人々の表情と状態に、私は不思議で首を傾げるばかりでした。
『論より証拠、百聞は一見にしかず、よね。』と、私はその建物の中に入ってみることにしました。
入口を入って行くと、出てくる人々とすれ違いました。何か言われましたが勿論サッパリ分かりませんでした。でも、何となく1人で行かない方が良いと言われた様な気はしました。奥にいかない方が良いとか、何かを見ない方が良いとか。そんなことも言われているのかなとは感じました。が、このコンクリートの中は案外と人が行き交い、私に何か言った人もすぐにすれ違って行ってしまいました。やや躊躇して立ち止まった私は、その時自分を追い抜いて奥へ入って行った女性を頼みにすると、何より好奇心が先に立ち、奥へと進んでみることにしました。
奥へ進むと、通路の途中に小部屋のようなコンクリートの室があり、先に行った女性はその小部屋の天井にある、ガラス製らしい透明な半円のドーム内に頭を入れて外を覗いていました。彼女はにこやかにドームを覗いています。楽しそうでした。そして彼女はくるりと反対側を向いて別の方向を眺め、ちょっと表情を変えて暫く眺めていましたが、その後また笑顔に戻り、微笑すると順番を待っていた私に軽く会釈して、やや何か言いた気でも有りましたが部屋から出て行きました。中高生くらいに見えた若い白人の女の子でした。思い出して見ると女の子達は2人連れだったかもしれません。
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