1分で読める小さなお寺の法話集

子育て、人材育成に関する法話を実話と歴史から紐解いて書いております。

【住職の法話。考え方を少し変えるだけで、苦しい人生が、楽しい人生に】昨日、家族全員、5回目のコロナワクチン接種を致しました。檀家の爺ちゃん、婆ちゃんを相手にするので、まあ、義務ですね。

2023-09-23 17:32:23 | 法話

【9月25日投稿分 


自称、歴女と名乗る読者の女子高生が拙僧に「独裁国家といわれる国は、何故、他国を脅かす事ばかりするのですか。国土を広げたい、のかな。でも、もう、そんな時代じゃないでしょうに」と。対し「拙僧は幼き頃から、漫画というものに全く興味が。19歳になった時、喫茶店で『1、2の三四郎』に出会って、ファンに。数年後にまた、喫茶店で『ろくでなしブルース』に出会って、2回目の興味を。この『ろくでなしブルース』の中の登場人物に、東京四天王の1人であった葛西君という高校生が。名の通った強い相手を倒す度に、仲間達から『次は誰を倒すのか』と次々に期待がエスカレートを。この期待に応えられなかったら、自分は一体どうなるのか。嘗て、1度だけ負けた時に、仲間達が潮が引く様に彼から離れていった事がトラウマに。その恐怖心から、この葛西君は、止まれなくなったと。まあ、これかな。作者の森田まさのりさんは、独裁国家に囲まれている日本の近況を、学生の勢力(喧嘩)争いに見立てて描き出したのかな、と勝手な想像を。考え過ぎかな」と。


続けて拙僧、その歴女さんに「この『ろくでなしブルース』の葛西君の境遇に似ている歴史上の人物で、誰か思い当たる人はいますか」と問うと「秀吉公でしょ。百姓の子から成り上がっていった秀吉公を、心から『天下様』と敬っていたは、どれほどいたでしょうね。誰かを敵にして戦い続けなければ、人心を引っ張っていく事が出来なかったんだと思う。家臣に分け与える領地を確保する為に、次から次に敵を作って。恐らく、常に保身維持の恐怖を抱いていたと」「なるほど。独裁国家の頂点に立つ人は、常に恐怖心を抱いているという事か」「だと思いますよ。仲間や部下は、見返りが無くなった時点で、その頂点から興味が離れていく。人間は大なり小なり、自分にとって利潤があるか否かで、態度を変えていく生き物ですもんね」「ということは、独裁国家の形をとっている国は、これからもずっと、どこかの国にちょっかいを掛け続けるって事ですか」「自分(独裁者)の保身維持の為には、それしかないと思いますよ。だから、それ以外の国々は、独裁国家がちょっかいを出してこれない備えをしておく以外には、ないのではないかな」と、この読者歴女さんが。


更に、拙僧「人間が利潤で動くを、わかりやすく証明した歴史上の出来事といえば、何が思い当たりますか」と問うと「やっぱ、関ヶ原でしょ」と。「まあ、そうなるかな。関ヶ原の勝敗は、小山会議でほぼ、勝敗は決まったようなもの。豊臣家の重臣であった子飼いの大名がほぼ、家康公の味方に。『石田三成を討つべし』と豊臣子飼いの大名達は、口では『豊臣家に弓を弾くではない』とその様に言ってはいたが、恐らく心の中では『次は徳川様の世(天下)、豊臣に付いていては、家が滅びる』と、密かに思っていたんじゃないかな。人心を巧みに掴んだ、家康公の勝利だね。三成公はあまりに正義(正直)の人、過ぎたかな。正論を押し付け過ぎると、優しさが欠け、人心も離れる事になるもんね」と。


更に、この歴女さんに拙僧「家康公が秀忠公に『人は、侍になれば、侍大将になりたいと思う。侍大将になれば、大名になりたいと思う。大名になれば、次は天下を望む。天下を取るは、至難の業。が、天下を守り続けるは、もっと難しい。皆、虎視眈々と天下を狙っておる』と。独裁者は常に、この事に恐怖を抱いているだろうね。人心の掌握は、未来永劫の課題かもしれないね。人の一代という短い期間で、人(万民)を掌握(独裁)するは、恐怖政治をするが、1番の近道かもしれない。あの米国禁酒法時代の寵児、アルカポネが『100の講釈より、弾(たま)1発』と言ったように」と。


最後にこの歴女さんが「住職が法話で度々『自分の物は何もないから、死んでいく時には何もかも、この世に置いて旅立たんとあかん』と。ほら、一休さんも『この体も借り物』と言われた、という言葉があったでしょ」「ああ、『拝借申す四大五蘊、お返し申す今月今日』という言葉でしょ」「そうそう、それそれ。財宝も、お金も、家も、土地も、持って死んでいけないのに、そんなに欲を出してどうするんだろ。でも、この言葉って、欲の塊の独裁者には、通じないでしょうね」と。


【追伸】

先月の8月18日は、62歳で他界された豊臣秀吉公の祥月命日(立ち日)にて。その辞世に「露と落ち、露と消えにし、我が身かな。浪速の事は、夢のまた夢」という言葉が。また「起きて半畳、寝て1畳、天下取っても2合半」という言葉も。天下を取った人の言葉、と味わって読めば、それなりに深みが。因みに、秀吉公の遺骸は明治時代、京都市東山区熊野で発掘されていたとの事。今現在も京都の東山に、その遺骸が安置されているとの事。本物かどうかは定かではないが。


次の投稿法話は、9月30日になります。投稿写真は、わが寺の釈迦涅槃像の下に咲いた彼岸花。この時期には、必ず咲きますね。赤は、先祖の血の色との事。






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