漢詩創作をひょんなことから初めて約3年、神奈川県漢詩連盟にも入会し、昨年度は同連盟の15周年記念事業にも参加することが出来ました。その事業の一つに、会員に呼び掛けて、理由を添えて好きな漢詩3詩を提出して、とありました。詩吟大会でいつも吟じているから、好きとは少し違いますが、同連盟に提出した私の好きな漢詩は次の3つです。10詩出して、と言われると更に続きますが、私の第1位~第3位は下記の通りです。
第1位 安宅関 網谷一才(好きな理由:義経一行が奥州に落ちのびる道中、関守富樫成澄に見とがめられ、弁慶が機転を利かせ、白紙の勧進帳を読み上げ、難を逃れた歌舞伎でおなじみ場面の漢詩「安宅関 網谷一才」です。この七言絶句には、義経を守る弁慶の忠臣の心情が直に伝わり、私自身もこの様な気持ち・行動力を持ちたいと思うからです。詩吟大会で今様入りで吟じたこともあります。特に転句の「誰忠臣莫動心情」の七言が好きです。)
第2位 桂林荘雑詠(書生に示す) 広瀬淡窓(好きな理由:私が脳卒中を発症し・入院し・退院後、森山史郎氏主宰の身障者リハビリ会に参加した。森山会長の生きざまに感動し、大病後の生き方を教わった。わずか1年のお付き合いでしたが、とても濃密な関係でした。森山会長は、この「桂林荘雑詠」を私と一緒に合吟する矢先に亡くなられました。亡くなられる寸前にこの七言絶句を大書された書道を頂戴しました。利き腕交換された上での修練の賜物でした。森山会長の故郷は豊後国日田とご縁があり、漢学者広瀬淡窓についてお話もしました。そのいきさつがあり私の好きな漢詩になりました。私はその後何回も素読・独吟して森山史郎氏を偲びました。)
第3位 春夜洛城に笛を聞く 李白(好きな理由:どこからか美しい笛の音が聞こえます。それが春風にのって洛陽城に響き渡ります。耳をすませば、もの悲しい折揚柳の曲。この曲を聞いて、詩聖李白は思わず遠く離れた故郷を思い、その心は再び帰ることの出来なかった蜀の国へ飛んで、涙を禁じ得ないのでありました。このような故郷を憶う気持ちが私を代弁してくれている様な気がします。私の故郷は長崎県大村市です。青春時代から以降ずっと横浜市の在住ですが故郷大村市のことは忘れたことはありません。)
皆様とも是非好きな漢詩あるいは好きな俳句、和歌、新体詩についてもお話が出来ると嬉しいなあ、と思っています。
ではまたお会いしましょう。