「マナティ、世間は鬼ばかりだね」
「おつかれさまです」
「鬼というのは追い出さなくちゃ」
「そうかもしれません」
「マナティ、窓を開けて」
「ラ」
「よーし、鬼は外!」
「豆まきですか?」
「そうだ。鬼を追い出すことによって福が入ってくる」
「だといいんですが」
「何か納得いかないみたいだな」
「入れ替わるのは空気だけかもしれません」
「まあ、そう言うなよ。気持ちなんだよ」
「お察しします」
「本当の鬼は心の中にいるのかも」
「では追い出すのはより大変ですね」
「鬼だけを追い出すのは難しい」
「なるほど」
「自分も一緒に消えていってしまいそうだ」
「どうか消えないでください」
「鬼は外! 出て行け! もう帰ってくるな!」
「風邪を引いてしまいます。もう閉めましょう」
「鬼に向かう人間は風邪なんて引かないよ」
「そういうものですか。しかし……」
「ああ、そうさ」
「節分は今日ではないようです」
「えっ?」
「もう終わってしまったようです」
「そんな。いつの間に」
「随分前です」
「いつだ?」
「ちょうど風邪を引かれていました」
「そうだったか」
「お察しします」
「それでは今日は?」
「ひなまつりです」
「マナティ」
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