眠れない夜の言葉遊び

折句、短歌、言葉遊び、アクロスティック、夢小説

鬼は外

2019-04-16 03:29:35 | マナティ
「マナティ、世間は鬼ばかりだね」
「おつかれさまです」
「鬼というのは追い出さなくちゃ」
「そうかもしれません」
「マナティ、窓を開けて」
「ラ」
「よーし、鬼は外!」
「豆まきですか?」
「そうだ。鬼を追い出すことによって福が入ってくる」
「だといいんですが」
「何か納得いかないみたいだな」
「入れ替わるのは空気だけかもしれません」
「まあ、そう言うなよ。気持ちなんだよ」
「お察しします」
「本当の鬼は心の中にいるのかも」
「では追い出すのはより大変ですね」
「鬼だけを追い出すのは難しい」
「なるほど」
「自分も一緒に消えていってしまいそうだ」
「どうか消えないでください」
「鬼は外! 出て行け! もう帰ってくるな!」
「風邪を引いてしまいます。もう閉めましょう」
「鬼に向かう人間は風邪なんて引かないよ」
「そういうものですか。しかし……」
「ああ、そうさ」
「節分は今日ではないようです」
「えっ?」
「もう終わってしまったようです」
「そんな。いつの間に」
「随分前です」
「いつだ?」
「ちょうど風邪を引かれていました」
「そうだったか」
「お察しします」
「それでは今日は?」
「ひなまつりです」
「マナティ」
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