NO２６ イン・トゥ・ザ・ワイルド

 今日のシネマ

２００７年　アメリカ

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なんて書けばいいんだろう。

”素晴らしい映画でした”　なんていうありきたりの言葉では括れない。

もっと深いところで　ズシン、やられた・・・って感じ。

クリス・マッカンドレスという実在した若者が、

アラスカの荒野の朽ちたバスの中で餓死状態で発見されるまでの 軌跡を描いています。

餓死状態・・・なんて聞くと　どんな暗い話なんだ、って思うかもしれませんが

そういうんじゃありません。

大学を優秀な成績で卒業し、旅に出てからバスに辿り着くまでの過程と

バスに辿り着いてから亡くなるまでの生活ぶりを平行して描いていきます。

両親が不仲だったことや　社会への不満を理由に挙げて

現実逃避のための放浪の旅・・・という形で描かれていますが

決してそれだけではない。

自分を孤独に追い込むことでしか感じられないものがある・・みたいな。

ただ、これに関しては意見が真っ二つに分かれたようです。　

彼の旅（そして死）　に、そこまでやれる人が羨ましいと感じた人と、

自業自得、それみたことか、と批判する人。

私は間違いなく前者でした。

じゃあ、これが自分の息子だとしたら？

薄情な母かもしれないけど　私なら　

「あなたが精一杯生きたと思えるならそれでいい。」　って最終的には自分を納得させると思う。

彼は人間が嫌いなわけじゃなく、　逆に旅の途中で登場する人たちが

彼と会ったことで優しい気持ちになっていく様子が　こちらにもすごくよく伝わりました。

これは、ジョン・クラカワーがクリスの足取りを追って書き上げたノンフィクション「荒野へ」を原作にしたものですが

それを　ショーン・ペン　が脚色し監督もやっています。

ショーン・ペンは　このクリス・マッカンドレスという青年に自分を重ねていたのかもしれないね。

クリス役は　エミール・ハーシュ　。

両親に　マーシャ・ゲイ・ハーデン　と　ウィリアム・ハート　。

すごーく余韻を残す映画でした。　

今年の１０本に入るかも。