醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより   聖海   21号  

2014-12-05 10:26:37 | 随筆・小説
  
  ほろ酔いや上戸も下戸も年忘れ   詠み人知らず

 今年も一年がおわります。去年の忘年会が昨日のことのようです。
年齢とともに時間は加速度的に速くなっていくようです。
 年忘れの「年」という字には「実り」というような意味がありま
す。実りのあった人も、豊かな収穫を得ることができなかった人も
汚れた心を御神酒で清めてくれるよう神さまに感謝の祈り捧げまし
た。神さまに捧げた御神酒を下げ直会(なおらい)をしました。これ
が年忘れの会の始まりであったのではないかと愚考します。直会は、
だから無礼講です。実りのあった人も豊かな収穫を得ることのでき
なかった人も対等平等です。そうでなければ来年度、協力し合い助
け合うことが難しい。対等平等であるからこそ直会を楽しめる。無
礼講だからこそ楽しい。無礼講であるがゆえに忘年会は「ほろ酔い」
でなければならない。このことを英語では「マナー」と言います。
日本語では「まーなー」と言っているようです。
 私たちの年忘れの会もほろ酔いでいきたいと思います。
 ほろ酔いはお酒を百薬の長にするようです。癌を予防する効果があ
るといいます。Kさんは肺ガンを患って三年、現在は健康そのものだ
と言っています。一ヶ月に一度、医者のところに行くとすべての項目
がAだという。血圧がA、コレステロール値がA、癌はどこにもない。
血色もいい。医者がびっくりしているという。今は笑って言えるが、
癌だと宣告された時は辛かったようだ。特に医者から手術はできない
と言われた時は参ったという。末期癌だった。一・二・三・四と癌に
はあるそうですが、Kさんの場合は、三段階のB、末期癌に区分され
ていたという。抗ガン剤を打たれると免疫機能がなくなる。エイズと
同じ状況になる。風邪などひいたら大変なことになる話していた。ま
た、腕に打たれた抗ガン剤が血管から漏れてしまった。抗ガン剤が筋
肉を腐らせていくような強い痛みが走る。夜も寝られない。深夜、腕
を氷で冷やすと幾分痛みが和らぐ。腕を氷で冷やしていると看護婦さ
んが来てくれた。どうして言わないんですか。痛いでしよう。と親切
に言ってくれた。深夜看護婦さんは忙しいと思って、朝まで耐えよう
と腕を氷で冷やしていたんだと話すとこんな忍耐強い患者さんは初め
てだとその後とても親切にしてくれたという。 
 また、たまたま保険の代理店経営をしている友人が癌保険の書き換
えをしてくれていたお陰で治療費を心配する必要がなかった。友人た
ちが心配してくれて柏の癌センターまで車で送ってくれた。
 月に一度、柏の癌センターに検診に見える杉崎先生が見舞ってくれ
た。S先生から「日本酒と健康」というテーマで話を聞いた。その時、
発酵宿品が免疫機能を高めるという話を思い出し、癌センター退院後、
少量のお酒、赤ワイン、酒粕、ぬか漬け、納豆などの健康食品で今の
健康を支えることができた。
 ほろ酔いは百薬の長のようだ。ぬか漬けも自分でしている。酒粕も
味噌汁にいれたりして常食している。癌になったからこそ今の健康を
得ることができたし、人の優しさを知ったとKさんは言っている。