醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  194号   聖海(白井一道)

2016-01-29 16:15:53 | 随筆・小説

 日本語考--甘利氏の言葉について--(2)

侘助 甘利大臣が辞任したね。大臣室で五十万円づつ二回、リベートを貰ったことを思い出し、辞任した。
呑助 これは汚職ですか。
侘助 汚職だよね。自分自身悪いことをしたと自覚し、辞任したんじゃないかと思う。
呑助 そうですよね。悪いことをしたのではなかったら、辞任しませんよ。
侘助 だから不思議な感じがしたね。辞任会見の冒頭、甘利氏は「国民に心配をかけて深くお詫びします」とこのように挨拶をした。
呑助 悪いことをしたのではなく、「国民に心配をかけた」ので辞任したんですか。
侘助 そうだよね。国会議員は国民に心配をかけるようなことをしたら辞任しなければならないのかね。甘利氏は悪いことをしたという自覚がないのかもしれないな。
呑助 悪いことをした自覚はないが、「お前は悪いことをしたのだという人々から言い逃れることができません。なんとか、言い逃れられるだろうと思っていた仲間に心配をかけて申し訳ありません。お詫びします」ということなんですかね。
侘助 上手いことを言うね。その通りだ。だから私などは甘利氏のことなど全然心配などしていないからね。国会議員としてもやってはいけない悪いことをしたのだから、議員も辞職すべきだと思うくらいだからね。
呑助 まぁー、そうですよね。国民の大半は、ほぼ全員といっていいくらいは心配するどころか、自民党の政治家は皆、悪いことを隠れてしているんだと思っていると思うな。
侘助 甘利氏はまた次のような発言もしていた。業者の「総務担当者が菓子折りと封筒を挿し出し受け取る。事務所長に渡し、適正な処理を指示した。客の前で現金の入った封筒をポケットしまったと、週刊誌には書いてありますが、そのような品格が疑われるような行為はおりえません」。甘利氏は自分自身を品格のある人間だと思っていることに驚いてしまったよ。
呑助 そうですよね。人間的に品格のある人間ならこのような汚職をするはずがないと私のような者でも思いますね。
侘助 政府自民党が提出した平和安全法は憲法違反だと日本を代表する憲法学者三人が憲法違反だと述べた。その学者たちの発言を無視し、数の力でゴリ押しをした。現日本国憲法九十九条には国務大臣、国会議員、その他のかべての公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。このような条文があるんだ。この条文を無視する自民党議員たちには人間としての品格があるのかね。憲法九十八条には、憲法は国の最高法規であって、この条規に反する法律は、その効力を有しない。このようにあるんだ。
呑助 国の最高法規に違反することを平気でする自民党議員にとっては、法律違反など、朝飯前なんじゃないんですか。
侘助 ノミちゃんもそう思うかい。言葉というものは恐ろしいものなんだ。嘘を真のように言うことができる。悪いことをしても悪いことをしたのではないというように言うことができる。総理官邸で辞任の挨拶を甘利氏はした。その後、女性職員から花束を貰った。