醸楽庵(じょうらくあん)だより 

主に芭蕉の俳句、紀行文の鑑賞、お酒、蔵元の話、政治、社会問題、短編小説、文学批評など

醸楽庵だより  363号  白井一道

2017-04-03 11:27:39 | 随筆・小説
 
 豊洲は安全だ?

句郎 築地は豊洲に移るのかなぁー。
華女 私はやめてもらいたいと思うわ。だって、有毒物質が地下から絶えず水に交じって絶えず沸いてきているんでしょ。
句郎 その水で魚を洗ったりするわけじゃないんだから安全だと言っている専門家がいるらしいよ。
華女 豊洲は安全だと言う専門家の人たちが責任を取ってくれるの。もし有毒物に汚染された魚類が出回り、被害を受けた消費者が出た場合、その責任を東京都の役人たちは取るのかしら。
句郎 確かにそれは怪しいよね。福島の原発被災者、特に帰宅困難地域に自宅を持っていた人々の場合、唯一の財産であった宅地の価値がゼロになってしまった人々の財産は全額補償されたのかな。
華女 そうよね。家財道具一式を一瞬にしてすべて失ってしまったのよね。
句郎 確かに、原発は絶対安全だと政府は言っていたからな。
華女 そうよ。絶対なんてすべてにないのよ。原発は絶対安全だと言っていた専門家たちは何の責任も取っていないんじゃないのかしら。
句郎 政府や専門家という人々は基本的に無責任だからね。
華女 専門家が安全だからと言うから安全だと言うのを聞いて国民一人一人が判断することが大事なのよ。私は専門家という人々の発言を信じないということよ。
句郎 やけに厳しいね。
華女 そうよ。だってそうでしょ。被害が出たときには責任をとらないんだから。
句郎 華女さんは誰を信じるの。
華女 それは私が信じられる人の発言を信じたいのよ。例えば、政府や東京都の役人たちが推薦する専門家ではなく、その専門家たちに批判的な専門家もいるわけでしょ。
句郎 少数かもしれないけれど、優秀な専門家がいることは確かだよね。
華女 私はそういう方々の意見を尊重したいと思っているの。
句郎 まぁー、そうかもしれないね。原子力を推進してきた日本を代表する大企業の東芝がとてつもない赤字を抱えてしまったのは、どうも原子力を推進しようとしたためかもしれないからね。
華女 そうでしょ。築地の豊洲移転もそうよ。
句郎 豊洲は安全だと言う専門家の発言を信じてはならないということなの。
華女 そうよ。豊洲は安全だと声を大にして言う人の言葉を信じたら、大変な被害をうけるということよ。だってその人々は結果に対して責任は取らないんでしょ。
句郎 確かに揮発性の有毒物質が地震などによってできたコンクリートの隙間などから魚を取引する場所に出てくる可能性を100%阻止するするなんてきっとできないだろうからね。
華女 そういうことよ。だから、豊洲に移転するのじゃなく、築地は築地で新しく整備しなおせばいいのよ。だって主要幹線道路の下で地下鉄建設だってできたんでしょ。
句郎 確かに知恵を絞れば、築地での再建は可能かもしれないなぁー。
華女 築地ブランドも維持できるし、いいじゃないの。良い魚を選び出す競り市は残さなければ築地は築地じゃなくなってしまうわよ。