住まいの中の自然 (建築探訪)小玉 祐一郎丸善このアイテムの詳細を見る |
小玉 祐一郎 「住まいの中の自然」 丸善
朝鮮の民家について調べていた時に読んだ本。
朝鮮の民家の項はほとんどなかったため、メモはこれしかない。
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韓国:マル(夏の空間)、オンドル(冬の空間)
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オンドルは名前と構造・機能が日本人にも知られているが、マルって何?
こんなこと朝鮮人に訊いてもわからんのとちゃうやろか。
他の本でマルについて調べても、オンドルとオンドルを繋ぐ部分の部屋だったり、オンドルから突き出たテラス式の空間だったり、そんな贅沢な部屋がない場合は土間だったり。まあ開放的な夏向きの部屋なら何でもokと言うぐあいで、それを朝鮮人(本の筆者が朝鮮人の場合だが)特有の理屈っぽさで説明している。共通しているのはある種の宗教的空間・機能を併せ持つと言うことかな。あとマルは普通は大庁と表現されることが多い。
簡単に言うと、儀式を執り行えるホールの機能があって、普通はその家の主人や隠居がボーっとくつろぎながら家の外を見ていても様になる部屋(空間)となる。女子供はくつろいじゃダメなんだよね。『暑い夏の昼間、麻の韓服を着て大庁(マル)の南北の戸を開け放ち、冷えた瓜を食べながら青々と広がる山河を眺める時の豊かな感覚は、韓国人しか持ち得ないだろう。』・・・と言うようなことになる。優雅だね。
※韓服:朝鮮の民族服のこと。韓国人は韓服と言う。ちなみに北朝鮮人はなんと表現するか? 今後の課題である。
マル(maru)の由来は、朝鮮半島の北側、もっと北方のオロチョン族の円形住居、つまりテントの中に設定される宗教的空間から来ていると言うのが納得がいくものだと思っている。オロチョン族での発音も確かmaruだったと思う。
これが何で朝鮮人の住居にあるかと言うと彼らが北方系だからか、それともオンドルや肉食と同じように100年間に渡って元に支配された影響によるものかのどっちかだろう。どっちか本人たちにもわからないようだけどね。記録にも記憶にも残ってないようだから。後者だとするとmaruが入ってきたとき、それまでの住居に存在していた土間や板の間をmaruにしてしまったようなのだが、これも今となっては良くわからない。
などという事を知ったのは、この本を読んだずっと後の事だった。
写真は「楼マル」。