東京でカラヴァッジョ 日記

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クリストフォーロ・サヴォリーニの未完成風の絵画 《ハガル母子の追放》&《聖母子》

2021年01月27日 | 西洋美術・各国美術
クリストフォーロ・サヴォリーニ
《ハガル母子の追放》
1675年頃、101.6 × 94 cm
スピード美術館、ルイビル(ケンタッキー州)
 
   旧約聖書の物語。
   嫉妬する正妻サラの訴えに応じたアブラハムに追い出される内妻ハガルとその子(非嫡出子)イシュマエル。
 
 
   引き続き、岡田温司著『西洋美術とレイシズム』により知った作品。
 
   なんらかの理由により未完成で終わっている。
   と素直に思うと、同著によると、画家には他にも同様の作品が存在することから、おそらく「未完成風の効果を狙った完成作」であると推定される、と記している。
 
   「人物のみをくっきり浮かび上がらせることで、劇的な効果がいっそう高められている」。
 
   岡田氏の著作では、画家による構図を少し変えた同主題の「完成作」も取り上げている。
   両作を見比べると、確かに「未完成風」の作品のほうが、「完成作」よりもずっとドラマティックに見える。
 
クリストフォーロ・サヴォリーニ
《ハガル母子の追放》
1670年代、101×92cm
プーシキン美術館
 
 
 
「未完成風」の別作品。
 
クリストフォーロ・サヴォリーニ
《聖母子》
103 × 80 cm
個人蔵
  この《聖母子》にも、同主題の「完成作」が残されているようだ。
 
 
  クリストフォーロ・サヴォリーニ(1639〜77)は、イタリア・エミリア地方のチェーゼナで生まれ、生地とその周辺地域で活動したバロック期の画家。前世代のグエルチーノやグイド・カニャッチなどボローニャ派の影響を受けている。
 
   画家は、キャリアの頂点に近づこうとしていた38歳のとき、乗馬事故で亡くなる。
 
   これら未完成風の作品は、画家のアトレエに残されていた「絶筆」であった可能性もある。
   ただ、画家の作品で今日注目されることのある作品は、主にこれら未完成風の作品であるらしい。



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