菱田春草展
2014年9月23日~11月3日
東京国立近代美術館
前期の最終日に訪問。台風19号が関東に徐々に近づいていた日である。
菱田春草は、その作品も思い浮かばないほど、知識ゼロでの訪問。
36歳で亡くなったということ(1874生-1911没)を最初に知る。
第1章の初期時代(1890-97年)。
仏画の模写や≪拈華微笑≫(釈迦の仕草を弟子たちのなかでただ一人老僧のみがその意を悟り微笑む)、≪水鏡≫(美人衰相の主題を、天女が水に映る影と紫陽花に暗示させる)が印象に残る。
菱田春草を観に行って、ホイッスラーの名前を見る。
1903年から1年半、横山大観とともに、欧米に行く。
資金作りのため、絵を売却するのだが、「ホイッスラーの作品を思わせるところもあったため、西洋では予想外の高値で売れた」。
風景表現について「抑えた色調、簡潔な構成にする」等、売るための工夫はあるらしい。
アメリカのオペラ歌手サースビー姉妹の旧蔵という作品も展示。
ホイッスラーのジャポニスムvs近代日本画。
重要文化財4点が全て出品。
≪王昭君≫1902年
中国・前漢の時代、絵師に賄賂を贈らなかった美しい王昭君は、最も醜く描かれ、匈奴に嫁すことになる。
≪賢首菩薩≫1907年
中央の人物の袈裟(青地)に、オレンジ色の点をうち、青とオレンジの補色関係で色の彩度を引き出そう(視覚混合)とした作品。一番長く眺める。
≪落葉≫ 1909年 前期展示
一番の人だかり。重文だからか、前期のみ展示だからか、やはり魅力的な作品だからか。
≪黒き猫≫1910年 後期展示
本作はなくとも、猫の作品は、白黒ともに豊富に取り揃えている。
日本画に目覚めていない私だが、こんな感じで相応に楽しむ。
≪普賢延命蔵≫(菱田春草による模写)
東博の平成館企画展示室にて。
春草は、古色の再現力が高く評価されていたとのこと。