遺言・相続

遺言や相続手続きをわかり易く

著作権その3

2012-06-27 08:35:03 | 著作権・知的資産

著作権(複製権)

著作権(財産権)の1つで基本的な権利に複製権がある。

これは著作物を無断で複製されない権利です、したがって他人の著作物を複製する場合、著作権者に許諾を得ないで行うことは著作権の侵害となります。

著作権法では複製は

「印刷、写真、複写、録音、録画、その他の方法により有形的に再製すること」

としている、つまり一般的な複製(コピー)より広くどのような方法によっても有形的に再製すれば複製されたことになりますから、機械によらない手書きによるものやパソコンのハードディスクやメモリーへの記録も複製となります。有形的にですから頭に記憶することは複製にはならないことになります。

又、以下の行為も複製に含むこととなります。

     脚本など演劇用の著作物の上演、放送を録音、又は録画すること

     建築の著作物について、その建築の図面によって建築物を完成すること

複製する範囲や量は一部でも又は全部でも複製となりますし、営利か非営利かも問いませんので注意が必要です。

例えば、購入した書籍であってもその全部又は一部をコピーしたり、書き写したりして使用する場合は原則として著作権者に許諾を得る必要があります。

「原則」というのはこの権利には私的使用、教育関係その他の一定の場合には例外規定(著作権の制限)があります。

私的使用のための複製は、

「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で使用することを目的とするときで、その使用する者が複製する」場合は許諾がなくとも複製することができることができます。

「個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内で使用」ですからコピーしたものを仕事で使用(社内での配布なども)すること又はコピーしたものを多数の人間で使用する場合などは例外の範囲外となります。

「その使用する者が複製する」ですから自分で行う(俗にいう自炊)

ことが必要です、店舗等でのダビングサービスの利用や店舗でのダビング機を使っての複製は範囲外となります。

又、コピープロテクションを解除してコピーすることや、違法なインターネット配信であることを知りダウンロードすることも私的使用の対象外となります。


著作権その2

2012-06-26 10:12:52 | 著作権・知的資産

誰でも著作権者になります。

著作物の種類を例示すれば以下のようなものがあります。

言語の著作物

 小説、作文、講演、論文、俳句、脚本など

音楽の著作物

 楽曲、楽曲を伴う歌詞

舞踏又は無言劇の著作物

 バレエ、ダンス、日本舞踊、パントマイムなど

美術の著作物

 絵画、版画、彫刻、まんが、その他の美術工芸品など

建築の著作物

 芸術的な建築物

地図・図形の著作物

 地図、学術的な図面、図表、模型など

映画の著作物

 劇場用映画、アニメ、ビデオ、ゲームソフトの映像部分など

写真の著作物

 写真、グラビアなど

プログラムの著作物

 コンピュータープログラム(プログラム言語、規約及び解法は除く)

これらは、小説家、画家、建築家、写真家、映画会社などいわゆる

プロが創作したり発行したりしたもののみが該当するのではなく、

一般の日本国民が創作した著作物又は、日本国内で最初に発行した

著作物なら幼児が書いた絵や日記などでも著作権法上の条件を備え

ていれば著作権法上の著作物となります。

著作権法の著作物となるものは次の定義に該当するものです。

「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」

著作物を創作した者は著作物を創作した時点で、登録、発表などの

特別な手続きを行うことなく著作者としての権利が付与されます。

著作者の権利は、著作人格権と財産権である著作権(以降:著作権

という)からなっています。

「著作人格権」は著作者のみに属する権利であり、公表権、氏名表

示権、同一性保持権の各権利があります、これらは譲渡や相続など

ができない権利であり、原則として著作者の生存中のみ保護されま

す。

これに対し「著作権」は原則として著作物の創作時から著作者の死

後50年(例外として公表後50年の場合、映画の著作物では公表

後70年)保護されます。

「著作権」は財産権ですので所有権のようにその各権利の全部又は

一部を譲渡、贈与、相続など自由に処分することができます。

著作人格権、著作権の侵害は違法な行為にですから、ケースによっ

ては民事上の責任だけでなく刑事上の責任も負うことになります。

著作権の使用許諾又は譲渡等の権利移動は双方の契約で自由に取り

決めができます、これは口頭でも成立しますが契約書等でしておく

ことが後のトラブル回避となるでしょう。

又、相続等による著作権の承継では登録は必要ありませんが、譲渡、

贈与等による権利の移転では登録しなければ第三者に対抗すること

はできません。


著作権の話

2012-04-06 14:22:17 | 著作権・知的資産

最近新聞で従業員により営業秘密情報を不正取得した記事と大手学習塾会社が教科書を丸々無断複製した記事が載っていました。

前者は不当競争防止法違反に係る事件であり、後者は著作権法に係る事件ということで適用される法律は違いますが、広い意味では知的財産権の保護、侵害に関する事件ということになります。

不当競争防止法は、事業者間の公正な競争や条約等の的確な実施を確保し国民経済の健全な発展に寄与することを目的とされています。

この法律は特許法、著作権法その他の知的財産法と異なり特定された特許や著作権を保護するものではありませんが、他の知的財産法令で保護対象となっていない事業者間での営業秘密その他の事項を対象としており、知的財産法の一つと考えられています。今回のケースは同法に定義されている不正行為のうち営業秘密不正行為に該当すると思われます。

後者の教材作成についての無断複製は著作権の問題となります。

教科書も新聞・雑誌と同じような編集著作物となると考えられますので編集発行者に著作権があります。

従って、著作権である複製権を持つ著作権者に無断で教材の複製物を作成することは以下の様な例外をのぞいて著作権の侵害となる可能性があります。

     営利を目的としていない学校その他の教育機関で教育担当者及び授業を受けるものは授業に使用する必要限度で公表されている著作物は複製することができる。

     公表された著作物は、教科書用図書に必要と認められる限度で掲載する(複製)することができる。

今回の事例では塾会社は株式会社であるので営利を目的としていること、一定の教科書用図書に該当しないこと、丸々の複製ですから必要限度を超えていることから著作権の侵害にあたる可能性が高いと考えられます。

又、編集著作物とは別に、複製された教材に載せられている著作物(原著作物)の著作権者に対しても著作権の侵害があるものと思われます。

著作権は知的財産権の一つですが、特許権その他の知的財産と異なり登録を要せず権利が発生します、著作物の利用に際しては権利の所在の確認と共に権利関係を契約書等によって明確にしておくことが必要かと思います。

行政書士会では行政書士で一定の研修を終了した著作権相談員が契約書等の作成をはじめ知的資産経営、管理等の支援を行っています。

他人が創作した著作物を利用する場合又は、自分の著作物を他の人に利用させる場合は専門家等に相談されることをお勧めします。

無断で利用した場合には、損害賠償を請求されたり利用料が発生したりします又、故意による場合刑事罰を受ける可能性もあります。

記述内容は筆者の私見ですので、詳細については各自ご確認ください。


知的財産ー著作権

2012-03-25 12:52:40 | 著作権・知的資産

著作権

契約書に「著作人格権はこれを行使しないことを合意する」という条項を散見するようになりました。

これは著作者の持つ人格的利益権の行使を制限するために書かれる主旨ですが、これが全ての著作権の利用等に関する意味での取り決めとだとしたら著作権関係の契約としては不十分といえると思います。

著作権は知的財産権の一つですが産業財産権(特許権等)と異なり日本では登録によって権利が発生するものではなく著作物を創作した時点で発生します(無方式主義)ので、著作権がある著作物の利用についてはその権利の移動や利用範囲を契約書で明確にしておくことが事後の法的トラブルを回避するために必要になってきます。

又、事業上保有する著作権を把握し、権利関係を整理し、管理する事は事業経営をしていく上で重要な課題にもなります。

著作権とは?

著作権法によれば著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう」

と定義されています。

著作権は、特許権、商標権等の産業財産権、種苗の育成権などとともに知的財産権の一種で、著作権法上の著作物が著作権法の保護の対象となります。

著作物というと小説などの本、CD又は映画等が思い浮かびますがその他舞踏、写真、グラビア、講演等も上記の要件を備えたものは著作権法の適用を受けることになります。

著作権には「著作者の権利」と「実演家等の権利」の2つの制度があります。

著作者の権利

著作者とは「著作物を創作する者をいう」

著作者の権利には「著作人格権」と「財産権である著作権」があります。一般的には「財産権である著作権」を著作権と使うことが多いようです。

     著作人格権

著作者の人格的権利をいい公表権、氏名表示権、同一性保持権からなります。

この著作人格権は一身専属のものなので譲渡や相続により権利を移動することは出来ません。

利用許諾を受けた著作物の利用に当たって、内容の変更など著作人格権の侵害となる場合には著作者の了解を得る必要があります。

著作人格権は著作者の死亡により消滅しますが死後も著作人格権を侵害するような行為はしてはならないとされています。

・財産権である著作権

この財産権である著作権は一般の所有権と同じように譲渡、相続など創作者である著作権者が自由に処分することが出来ます。

主な権利の内容は、複製権、上演権、公衆送信権、展示権、譲渡権、貸与権、頒布権、二次的著作物の創作権、二次的創作物の利用権その他です。これらは一括で又、権利ごとに利用を許諾したり譲渡したりすることができます。

権利の無い者が、許諾、譲受を受けないで利用した場合、不法行為となりますので損害賠償を請求されることになることもあります。

この財産権である著作権は創作の時から始まり、原則として著作者の死後50年間存続します。