遺言・相続

遺言や相続手続きをわかり易く

遺留分」

2011-12-05 14:19:06 | 遺言・相続

法定相続割合や遺産分割協議で相続人の全てが合意し遺産の分割が行われれば何の問題もありませんが、遺言によって相続人の1人若しくは特定の相続人又は相続人以外の第三者に遺産の全部又は大半の部分が遺贈された場合、残された相続人の生活保障という観点から遺産の中から一定割合を確保できる遺留分の制度があります。

遺留分権利者

遺留分の権利を有するのは以下の相続人です。

配偶者、直系卑属(子供・孫)及び直系尊属(親・祖父母)

従って被相続人の兄弟姉妹には遺留分はありません。

遺留分の割合

① 総体的遺留分

遺留分権利者の数に関係なく遺産について認められる遺留分

イ、相続人が直系尊属のみの場合……相続財産の3分の1

ロ、相続人が上記以外の場合  ……相続財産の2分の1

       各相続人の遺留分額

総体的遺留分×各遺留分権利者の法定相続割合

計算例

相続人が配偶者、子供2人で遺産総額3,600万円の場合

総体的遺留分は、ロに該当しますので

3,600万円×1/21,800万円

各相続人の遺留分額

配偶者 1,800万円×1/2=900万円

子供  1,800万円×1/4=450万円

となります。

このケースでは

被相続人が遺言で3,600万円を相続人以外に遺贈等していた場合、配偶者については900万円、子供は各450万円までは遺留分を請求する権利があるということです。

具体的には遺留分減殺請求権を行使し、遺留分に達するまで遺贈等の効力を取り消し取り戻すことになります。

遺留分減殺請求権は受遺者に減殺請求の意思表示をすれば行使できますが、内容証明郵便等で請求したことを証明できるようにしておいた方がいいでしょう。

ただし、遺留分減殺請求権は遺留分権利者が相続の開始及び遺贈等を知ったときから1年、相続の開始から10年で時効により消滅します。