遺言・相続

遺言や相続手続きをわかり易く

特別受益

2012-08-09 18:59:12 | 遺言・相続

相続、遺言の関係の相談でよくでてくる言葉に「特別受益」があります。

特別受益

相続分を算定するにあたって相続開始時に存在する財産を基準に行うと、生前に被相続人から特定の相続人に多額の贈与等(特別があった場合相続人各人に不公平が生じることとがある、そこでこの不公平を修正するためにその贈与等を特別受益分として相続分を算出することがあります。

民法では「共同相続人の中に、被相続人から遺贈を受け、又は婚姻若しくは養子縁組のため若しくは生計の資本として贈与を受けた者があるときは、~」となっています。

例えば、結婚に際して土地や建物又は現金の贈与を受けた場合等が該当します。これらはあくまでも相続分の算定ですから贈与税の課税があったかどうかは関係ありません。

次に「被相続人が相続開始の時において有した財産の価額にその贈与の価額を加えたものを相続財産とみなし、~算定した相続分の中からその遺贈又は贈与の価額を控除した残額をもってその者の相続分とする。」としている。

計算例では(相続人A氏分)

相続時財産:1億(相続割合12)、 特別受益額:4千万とすると。

特別受益の修正をしない時は 1億×125千万(相続分)となる。

特別受益で修正すると

     1億+4千万=14千万(修正後の相続財産)

     14千万×127千万 

     7千万-4千万=3千万 (A氏、特別受益調整後相続分)

となります。

誤解されている方もいるようですが、相続時の財産から算定した相続分から特別受益額を控除するのではなく、生前に受けたものを特別受益分として相続財産とみなして相続分を算定し、その相続分から前払い分である特別受益額を控除したものが相続時の相続分となります。

上記例では3千万であり、他の相続人の相続分は特別受益がありませんから7千万です。

従って相続時の財産1億はA氏:3千万とその他相続人:7千万に分割されることになります。


相続

2012-08-09 18:52:42 | 遺言・相続

相続は亡くなった人(被相続人)の財産(債務もマイナス財産として含む)を死亡日(相続日)を基準として相続人に承継させることにより清算することといえます。

相続手続きの中心となるのは、この被相続人の財産を相続人にどの様に引き継がせるかということを決めることであるといえます。

相続が開始したとき遺言書がなければ基本的に次の2通りの方法で遺産は承継されます。

     法定相続割合により承継する。

     相続人による遺産分割協議により遺産の承継分を決定する。

当然ですがここには遺産の所有者であった被相続人は参加していません。(出来ません)

このことが、相続が争続になる原因の一つにもなるように思います。

遺言をする人が今増えているといわれます。

遺言をするということは遺産の承継その他について、被相続人が自分の意思で事前に決めることできるということです。

つまり、遺産の所有者(被相続人)が遺産相続に参加することになります。

有効な遺言がある場合は、相続にあたってはそれに従うことになり、民法に定める相続(法定相続)に優先します

遺言は法律で定められた方式によってなされなければなりません。

通常は自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言のいずれかの方式でなされ、書面にされますから、一般的には「遺言書」を書くといわれますが、自筆証書遺言以外は自分で書く(自書する)のが要件ではありません。

公正証書遺言は遺言者の口述を公証人が書面にするものですし、秘密証書遺言も自書によらなくてもかまいませんが、遺言内容は遺言者の意思であることが必要です。

又、有効な遺言とされる(遺言できる)事項は法律で定められています、これら以外の事も(例えば、「家族みんな仲良くするように」等。付言事項という)遺言書に書けますが遺言としての効力に影響しません。自筆証書遺言、秘密証書遺言で遺言する場合はこの点を注意する必要があります。

遺言書があったが内容が不明確で困ったとなるケースや、遺言書があったためにそれによりかえって相続がもめたというケースも中にはあります。

遺言は15歳以上であればいつでも自由にすることができますが、高齢や病気等により正常な意思表示することが困難な場合は遺言をすることができなくなる可能性もあります。