風来坊参男坊

思い付くまま、気が向くまま、記述する雑文。好奇心は若さの秘訣。退屈なら屁理屈が心の良薬。

高所恐怖症 19号

2007年02月02日 08時22分16秒 | 随想
重度の高所恐怖症である。心の病である。そして会社の中堅幹部の頃にひどくなったように思う。飛行機が、吊り橋が、ロープウェイが、ジェットコースターが駄目である。動悸が激しくなり、手に汗握る状態になる。そして大声を出したくなる。大学浪人の時、底なしの奈落に落ちて、何時までも底に着かない夢にうなされた経験がある。落ちるのが怖い深層心理があるのか。最近は船も怖くなってきた。沈没して深海の底に落ちていくことを想像するのだろう。日本海溝は一万メートルある。知識ばかりが多くて、頭で想像して恐怖を作り出している。
新平湯温泉に一泊二日の夫婦旅行をした。平日の民宿「甚九朗」の投宿は我々二人だけで、貸切状態である。女房はさほど温泉には興味が無いけれども、新穂高ロープウェイで2156mの西穂高口に行き、連山と雪を見る事を条件に同行した。翌日は恐怖のロープウェイに乗らなければならない。暖冬で雪が少ない日々が続いたが、当日は久し振りに雪がふる曇天である。視界は極度に悪い。ロープウェイは白いトンネルを抜けていく。何も見えない。周りが見えないのだから高度が無い。雲の絨毯の上を動いているのである。その事が私に幸いした。全然怖くない。終点はマイナス九度で寒くて、深い雪であるが、視界は3m程度で、連山は見えない。女房は不満の様子であるが、私は大満足である。高所恐怖を感じないで済むのである。「知らぬが仏」なのである。心にこだわりが無ければ恐怖は無いのである。般若心経の心を実感したが、恐怖が無くなった訳では決してない。私はお釈迦様ではないのだ。
リベンジで来年、再チャレンジすると言うが、私は麓の露天風呂で待つことで折り合いをつけた。来年も温泉に来れる事になり、世間は私の味方で、神仏の加護がある。

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