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太陽のめざめ

2016-12-16 | 2016外国語映画評


「太陽のめざめ」 R15+ エマニュエル ベルコ監督 仏  ☓☓☓☓☓

 社会の問題児となっている子供と判事の10年の心のふれあいを描きました。
 マロニーが初めて判事(カトリーヌ ドヌーヴ)のケースとして出会ったのは彼がまだ6歳のときでした。母親から侮辱的な言葉を浴びさられ「いないほうがいい」と置いて行かれたときでした。その後もマロニーはさまざまな問題行動を起こし判事の前に現れますが、教育係や施設の職員の献身的な関わりや判事の励ましを通してなんとか刑務所に入らずにすんでいました。恋をされたことがきっかけとなり一人の人間として成長してゆくのでした。
 フランスの社会で逆境に置かれた子どもたちを精神的に支えていこうという取り組みが描かれ、犯罪者にしないように、暴力を振るわれたり、暴言をはかれたりされても、諦めず子供を信じて向き合っていくスタッフたちが感動的です。ドヌーヴはもちろんのこと初主演のロッド パラドそして6歳のマロニーを演じた子役の名演技が冒頭からラストまで緊張感あふれる作品に貢献していました。
 更生施設が自然豊かな場所にあってそれだけで荒んだ心を癒やしているようでした。また、アラブ人、アフリカ人、アジア人、などさまざまな民族の子どもたちが平等に対応されていてまさに「自由、平等、博愛」の精神に満ちた作品です。実際ラストシーンで三色旗が誇り高く翻っていました。
 内容的には日本の子供関連の仕事をしている人に観てほしいのですが、唯一問題なのは、更正施設の時間割の中に「喫煙タイム」があって職員がタバコを配ってみんなでタバコを吸うことです。精神の安定をニコチンという薬物に頼っているようで、納得できない場面でした。
 タバコについては、他にも問題は多く、スタッフの喫煙率も高く、妊婦の前や子どもの前でも喫煙していて奇妙な感じでした。フィリップモリス社がドメスティック・バイオレンスをなくすオレンジリボン運動に資金援助している活動を彷彿とさせ、この作品全体に妙に嫌な感じを受けました。


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