「犬王」 湯浅政明監督 ○
古川日出男の小説「平家物語 犬王の巻」を長編ミュージカルアニメとして描きました。
南北朝から室町にかけ活躍した「犬王」と呼ばれる能楽師が主人公です。京の都近江猿楽の比叡座の家に奇怪な面妖で生まれた赤子は体を布で隠し顔にはひょうたんの面をつけさせられていました。舞は天才的でしたが容姿が災いし表舞台には立てません。そんな犬王(声 アヴちゃん)が盲目の琵琶法師友魚(ともな 声 森山未來)と出会います。二人は自由な音楽とダンスで京の人々の間で大人気になります。不思議なことに演ずるたびに犬王の体は変わっていくのでした。
四条河原を舞台にダイナミックな音楽と奇抜な演出、犬王の人間とは思えない舞、アニメーションだからできる表現です。個人的には演奏する楽器を和楽器のみにしても良かったのではないかと思います。とはいえ音楽も素晴らしく自然に体が動いてしまうので「ボヘミアンラプソディー」風に応援上映が楽しめる作品です。
文字で残されたものしか歴史としては残らない、権力者の都合のいいものしか文字にならない。つまりは歴史にはならない、今に通じる内容でした。
タバコは、なし。