「八犬伝」 曽利文彦監督 ◯
山田風太郎原作の滝沢馬琴と彼の著書「八犬伝」の完成までを描いた時代小説を映画化しました。
戯作者馬琴(役所広司)は「里見家にかけられた呪を解くために集められた剣士の姿を躍動的に描き」大好評でした。挿絵画家の葛飾北斎(内野聖陽)は馬琴の元を時折訪ねお互いの作品を高め合っていました。という実の世界を描く一方、著作の中の虚の世界では八犬士たちや敵たちが縦横無尽の活躍をしています。
いよいよクライマックスかというときに馬琴の視力が落ち文字を書くことができません。希望をなくした馬琴に、病で亡くなった息子(磯村勇斗)の妻で無学のお路(黒木華)が夫の遺言を全うしたいと名乗り出ます。果たして完成の日は来るのでしょうか。
実の世界と虚の世界が映像的にも監督が違うのではないかと思わせるほど描き分けられ面白い試みです。時代を感じさせる歌舞伎小屋での歌舞伎まで見せてくれサービス満点です。「実」と「虚」、映像が異なるだけでなく哲学的な問いかけまであり、時代劇、アクション、歌舞伎とともに娯楽映画として様々な世代がそれぞれ楽しめる作品です。
剣士たちの爪が汚くて大変リアルでした。
タバコは、なし。無煙です。
ちょっとつぶやき
「いろは」しか書けなかったお路がどのように成長していったのか、次にはその映画が見たいです。