「風立ちぬ」 宮崎駿監督 ××× PPチェリー
アニメ映画の巨匠宮崎監督の遺作(本人談)です。ゼロ戦を設計した堀越二郎と堀辰雄に敬意を表した作品でもあります。
飛行機好きの優秀な少年(堀越二郎)が夢だった飛行機の設計に携わる物語と、関東大震災の時に出会った少女との恋物語(堀辰雄の「風立ちぬ」)がひとつになりました。
アニメの映像は期待通りの美しさがありますが、内容的には「何を伝えたかったのか」がはっきりしません。「貧しい日本が戦闘機にお金をかけるばかばかしさを伝えたい」のか、「単に堀越二郎と堀辰雄を紹介したかった」のか、観終わった時の充実感のない作品でした。
タバコは、堀越が喫煙者でたびたび喫煙(×)、友人の口癖が「タバコくれ?」(×)、極めつけは結核を患う妻のそばでためらいつつも喫煙します(×)。その後、妻は様態が悪化し結局は帰らぬ人となりますが、夫からの受動喫煙が死を早めた一因だったのではないでしょうか。その他にも高級リゾートホテル、職場、教室などさまざまな場面でタバコが出てきました。実際にはタバコが映ったシーンは126分中7分程度でしたが、印象的にはタバコばかり強調していたように思います。子どもも観るこのようなアニメにタバコを頻繁に登場させ印象づけるやり方はおおいに問題があります。なお、映画からタバコシーンを追放したディズニーが製作に加わっていますが、アニメ映画の場合はタバコが出てもいいのでしょうか。疑問です。ニコチンの虜となった宮崎監督自身を反映した映画でした。