無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

風立ちぬ

2013-07-31 | 2015以前の映画評


「風立ちぬ」 宮崎駿監督 ××× PPチェリー

アニメ映画の巨匠宮崎監督の遺作(本人談)です。ゼロ戦を設計した堀越二郎と堀辰雄に敬意を表した作品でもあります。
 飛行機好きの優秀な少年(堀越二郎)が夢だった飛行機の設計に携わる物語と、関東大震災の時に出会った少女との恋物語(堀辰雄の「風立ちぬ」)がひとつになりました。
 アニメの映像は期待通りの美しさがありますが、内容的には「何を伝えたかったのか」がはっきりしません。「貧しい日本が戦闘機にお金をかけるばかばかしさを伝えたい」のか、「単に堀越二郎と堀辰雄を紹介したかった」のか、観終わった時の充実感のない作品でした。
 タバコは、堀越が喫煙者でたびたび喫煙(×)、友人の口癖が「タバコくれ?」(×)、極めつけは結核を患う妻のそばでためらいつつも喫煙します(×)。その後、妻は様態が悪化し結局は帰らぬ人となりますが、夫からの受動喫煙が死を早めた一因だったのではないでしょうか。その他にも高級リゾートホテル、職場、教室などさまざまな場面でタバコが出てきました。実際にはタバコが映ったシーンは126分中7分程度でしたが、印象的にはタバコばかり強調していたように思います。子どもも観るこのようなアニメにタバコを頻繁に登場させ印象づけるやり方はおおいに問題があります。なお、映画からタバコシーンを追放したディズニーが製作に加わっていますが、アニメ映画の場合はタバコが出てもいいのでしょうか。疑問です。ニコチンの虜となった宮崎監督自身を反映した映画でした。

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世界が食べられなくなる日

2013-07-20 | 2015以前の映画評


「世界が食べられなくなる日」 ジャン ポール ジョー監督 仏 ○ ☆☆

 遺伝子組み換え食物を食べ続けるとどうなるのか、という動物実験の経過を追っていきます。もう一方では、原発というテクノロジーが暴走し、結果として福島の事故につながった経過を縦糸にし、それに反対している人々の姿を横糸にして織りなしたドキュメンタリーです。遺伝子組み換え作物は農薬と密接に結び付きラットに腫瘍を発症させます。また、遺伝子組み換え大豆を船から降ろす作業をしている労働者は大豆から発生している農薬でガンを発症しています。フランスの原発でも福島の事故以前にあわや大惨事という事故は何度も起きていました。チェルノブイリ原発事故で汚染された北欧の木材は現在でも線量が高いのです。最後に福島事故で有機農業の将来に絶望して自殺した人の家族の「放射能汚染は福島だけではない。海や空で世界中につながっている。」ということばは私たちが未来をどうするのか考え直さなければならないと強く感じさせる一言でした。私たちのいまは、放射能でも、遺伝子組み換え食品でもモルモットにされていることを実感できる作品です。
 すばらしい秀作ですが、邦題は作品の警告を伝えきれていないのが残念です。
 タバコはなし。無煙でした。

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さよなら渓谷

2013-07-20 | 2015以前の映画評


「さよなら渓谷」 大森立嗣監督 ×××× PPハイライト モクモク賞候補

 吉田修一原作です。過去に集団レイプ事件の被害者となった「かなこ」(真木よう子)はその過去故に幸せな結婚生活を続けられず、自殺未遂事件を起こしますが、今では加害者の夫(大西信満)と暮していました。隣の住人が起こした事件がきっかけでマスコミや警察と接点ができます。取材に訪れていた渡辺(大森南朋)は加害者である夫の過去を洗い出していくのでした。
 主演級俳優たちが身体を張った演技をしているにもかかわらず、そのすばらしい演技がからまわりしているようで、登場人物の誰にも寄り添うことができない奇妙な作品でした。原作や監督の過去の作品が秀作だっただけにはっきり言って期待はずれでした。
 タバコは最近珍しいモクモク(喫煙)映画で、週刊誌記者の大森南朋(×)、相棒の記者役の鈴木杏(×)、取り調べる刑事(×)(取調室は禁煙ですよ)、特に居酒屋で大森と鈴木が喫煙する後ろの席で別の女性グループの客が喫煙していて、わざわざハイライトを鈴木の顔の横に入るような位置でくるくるともてあそぶ場面はさりげなさを演出したPPでした。そんなところに気を回す暇があったらもっと映画本体を面白くする工夫をしなさい!!

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いのちの林檎

2013-07-20 | 2015以前の映画評


「いのちの林檎」 藤澤勇夫監督 △→◎ ☆☆

 新築した家に引っ越してシックハウスが原因で化学物質過敏症となり、近所のゴルフ場で撒かれる農薬、歩きタバコの煙、芳香剤などを感じるたびに呼吸が苦しく動くこともできなくなる症状に苦しめられている早苗さんが主人公です。そして、無農薬、無化学肥料で育てた木村秋則さんの林檎と出会い救われる、というドキュメンタリーです。早苗さんの症状は想像をはるかに超えていました。空高く飛ぶ飛行機の低周波音や水にまで反応し苦しむ姿は正直に言うと「今までよく生きてこられた」と逆に感動してしまいます。同じく化学物質過敏症でもある母親の献身的な介護があればこそです。さまざまな化学物質が充満し、一見便利になったような今の世の中が本当の意味で人類を幸せにしたのかを問いかける秀作です。
 ただ、どうしても気になるのは木村さんの喫煙習慣です。さすがに映画の中では喫煙していませんが、ちらっと映ったポケットの中のタバコの存在が納得できません。
 なお、映画の中ではタバコは化学物質過敏症の原因物質として登場し、過敏症の原因として何度もタバコのことが触れられていたので受動喫煙の害を強く訴えていると解釈できます(△→◎)。

 なお、上映館の「新宿武蔵野館」にはいまや映画館では珍しく喫煙室があります。このような映画の上映に理解がありながらタバコとは縁が切れないようです。喫煙室はいらないのではという質問に対して、「もしタバコが気になるようでしたら、観に来ない方がいいでしょう」という回答でした。

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忍たま乱太郎 夏休み宿題大作戦!の段

2013-07-17 | 2015以前の映画評


「忍たま乱太郎 夏休み宿題大作戦!の段」 田崎竜太監督 ○

 忍者のたまごの乱太郎たちは夏休みを楽しんでいましたが、宿題は全然やっていません。友達に宿題を写させてもらおうと忍者学校へ行きましたが、だーれもいません。そこへ「極楽丸」という名刀が盗まれたという情報がはいります。学園長先生は「極楽丸を取り戻せばその間に宿題の答えがわかる」と言われ、乱太郎はきり丸、しんべヱとともにドクタケ城に向かうのでした。果たして無事取り戻すことができるのでしょうか。また、宿題は終わるのでしょうか。
 3人の忍者のたまごたちが個性的でかわいいだけでなく、大人の俳優たちがちょっとふざけた役を一生懸命演じているのも笑えます。アクションも自然な動きで違和感なく楽しめました。日本版チャンツイイーのアクションもまた見たいです。
 タバコはなし。無煙です。夏休みに安心して子供と観ることができますね。

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女生徒一九三六

2013-07-14 | 2015以前の映画評


68、「女生徒一九三六」 福間雄三監督 ×× !

 1937年から戦後の1948年に書かれた太宰治の作品を通して、「今を生きること」を問いかけます。物語は「燈籠」「女生徒」「きりぎりす」「待つ」の四編で構成され、すべて女性の語りで進みます。当時は和服と洋服が混在していて家では和服を、学校の制服はセーラー服という時代です。女性が社会や家庭で自分の意見を持つことや思い通りに生きることが困難な中、もがきながらも懸命に生きる主人公たちに共感を覚えます。いつの時代も女が意志を持って生きるのは大変なのです。最後に紹介される「パンドラの匣」の片隅にある「希望」と、太宰の残した言葉「恋と革命」を伝えたかったのでしょうか。
 筆者の母親の世代が主人公なので古いアルバムを見るような懐かしさがある作品でした。音楽が大変印象的で物語に寄り添っていました。主役の魅力が十分引き出されていなかったのが残念です。
 タバコは「きりぎりす」の中で主人公の父親が喫煙者(×)し、見合いの相手(後の夫)も喫煙します(×)。見合い後に、母親が見合いの相手を「タバコばかり吸っていてろくに話もしない・・・」と非難します(!)。

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殺人の告白

2013-07-09 | 2015以前の映画評


「殺人の告白」 チョン ビョンギル監督 韓国 ×××

 連続殺人事件の時効が成立後「自分が真犯人だ」と名乗り出て、そのいきさつを本にしたイ ドゥスク(パク シフ)はその見た目の良さと巧みなマスコミ操作で時代の寵児となります。犯人であるにもかかわらず深く反省し、印税を被害者遺族の救済に当てると表明したことからファンクラブまでできるありさまでした。一方、ずっと犯人を追っていたヒョング刑事(チョン ジェヨン)はなんとかして真実を明かそうとテレビ討論などを通じて追い詰めようとしますが、「真犯人は自分だ」という男まで現れます。真相はいかに・・・。
 謎解きの面白さは確かにあるのですが、同じようなアクションシーンが繰り返されたり、音楽が大げさすぎたり、ちょっと中だるみしました。もっとシャープな演出をしてほしかったです。
 タバコは、刑事が職場でたびたび喫煙したり(××)、真犯人のヒントが暗闇の中に光るタバコの火だったり(×)、タバコの露出の多い作品でした。パク シフが吸わなかったのはよかったです。

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フィギュアなあなた

2013-07-08 | 2015以前の映画評


「フィギュアなあなた」 石井隆監督 ×

 自分はちっとも悪くないのにいきなりリストラされた孤独な青年(柄本佑)が、酔った勢いでけんかになり、逃げこんだ廃墟ビルで精巧な等身大の人形(佐々木心音)と出会います。追いかけてきた手強い相手をなんと人形がサイボーグのように闘って追い払ってくれます。命の恩人の人形に「心音」と名付け家に持ち帰ります。優しい青年に人形は「幸運」まで授けてくれるのでした。
 青年から優しくされることでそれに報いようとする人形のありえない関係は、単なる「妄想」という言葉では失礼になるくらいファンタジックに描かれていました。生身の人間が人形を演じているのですが、体のあちこちいじくられても表情も変えずよくこらえました。妄想の世界と現実の世界の部屋の散らかり方の違いが巧みな演出でした。
 タバコは、廃墟ビルであやしい仕事をしている男と麻雀の相手の男が喫煙していました(×)。
  

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僕らの興味期限切れの夏

2013-07-06 | 2015以前の映画評


「僕らの興味期限切れの夏」 集団による制作 ○

 中学生たちが制作した30分の作品です。
何事にも白けた目でしか見れない中学2年生の「優音」が公園で出合った、「千代、空、隼人、花、彩」と過ごすうちに友達や家族との関係を取り戻すという内容です。実は千代たちは子どもたちから興味を持たれなくなってしまったおもちゃたちの精だったのです。
 中学生が撮ったとは思えない出来上がりです。自然豊かな公園や音楽も作品のイメージにピッタリでした。
 こちらもシアターキノで1回だけの上映でした。タバコはなし。無煙です。
 

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歌うぞ 踊るぞ 海の森で サウンド・オブ・サウラー

2013-07-06 | 2015以前の映画評


「歌うぞ 踊るぞ 海の森で サウンド・オブ・サウラー」 集団による制作 ○

 北海道の穂別町で高齢者を中心に行われている「田んぼでミュージカル」のメンバーが、夏休みに福島の子どもたちを招待し、一緒に制作した30分の映画です。5000万年前にはクビナガリュウやアンモナイトが住んでいた海だった穂別の魅力を紹介しています。高齢者のコーラスとフクシマの子どもたちの素人くさい演技が妙に感動的です。芸術活動を楽しんでいる穂別の高齢者は元気いっぱいでした。フクシマの子どもたちも青空の下でたっぷり過ごせて幸せそうでした。
 札幌のシアターキノで1回きりの上映会でしたが、他でも上映できるといいですね。
 タバコはなし。無煙です。タバコを吸ってたら元気に長生きなんてできませんからね。

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