無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

シン・ゴジラ

2016-08-26 | 2016日本語映画評


「シン・ゴジラ」 庵野秀明監督  ◯

 かつてのゴジラシリーズからは独立した作品でその意味では「新ゴジラ」です。
 東京湾から新生物(後にゴジラと命名)が上陸し暴れます。内閣総理大臣を筆頭に対策を練りますが、人間の思惑をあざ笑うかのようにゴジラは時とともに進化していきます。科学者たちはゴジラが放射性廃棄物を餌にして成長し、放射能を拡散していることを掴みます。防衛大臣(余貴美子)の進言のもと自衛隊の最新兵器が投入されます。しかし、どのような攻撃にもびくともせず都内の破壊が進みいよいよ霞が関も危なくなるのでした。
 完全CGのゴジラの登場でその意味でも「新ゴジラ」です。モデルは野村萬斎ということでさすがに動きが神がかっていました。そういう意味では「神ゴジラ」です。ゴジラ自体は期待を裏切らなかったのですが、対応する人間たちは登場人物が多すぎて把握しきれず、科学的な話にはあのテンポでは一般人はついていけず、後半のオリガミ論はさっぱりわかりませんでした。ただ、放射能を原因にしたことはどう考えても福島原発が結びつき、特にラストのゴジラ像は人の屍のようで、その点だけは評価できます。その意味では「SIN(罪)ゴジラ」と解釈できます。期待程ではなかったのですが、ハリウッド版よりは良く出来ていました。
 タバコは、なし。無煙です。ピエール瀧が自衛隊員で登場している場面では「いつタバコを出すか」そればかり気になりましたが、今作ではタバコを吸いませんでした。(◯)


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秘密 THE TOP SECRET

2016-08-26 | 2016日本語映画評


「秘密 THE TOP SECRET」 PG12 大友啓史監督 ☓☓
 
 清水玲子原作のミステリーコミックを「るろうに剣心」の大友監督が実写映画化しました。
 死者の脳に記憶された映像を再現することし犯罪捜査に役立てようと準備された科学捜査室通称「第九」は薪(生田斗真)を室長に正式に設置されることを目指し、難事件の捜査にあたっていました。新任の清水(岡田将生)は薪とともに露口家殺人事件の犯人として死刑が執行された露口(椎名桔平)の記憶をスキャンします。そこには意外な事実が隠されていました。死刑執行後行方不明となっていた露口家の唯一の生き残り娘の絹子(織田梨沙)が記憶を失って保護されます。一方、薪は連続殺人事件の犯人で自殺した貝沼(吉川晃司)の記憶を見たことで仲間の鈴木(松坂桃李)を自殺に追い込んでしまったというトラウマを抱えていました。絹子が現れてから奇妙な自殺事件が相次いでおき、現場の刑事眞鍋(大森南朋)は「第九」の情報などから絹子が犯人であると追求します。大量殺人の方法を考えると貝沼の影響が考えられ封印されていた貝沼の記憶を共有した鈴木の記憶を見ることで絹子と貝沼の接点を探るのでした。
 発想は面白いミステリーですが、制作の意図はどこにあるのかわかりませんでした。「ラストの人間社会はそれほど悪くもない、」ということを伝えたかったのでしょうか。それにしては大掛かりで奇抜な物語でした。登場人物の誰にも感情移入できず、ただ画面を追っていただけでした。見終わって何も残らない作品というのも珍しい。
 タバコは、刑事の大森南朋が喫煙していました。(☓)高級レストラン等でも平気で喫煙していました。(☓)


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アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち

2016-08-24 | 2016外国語映画評


「アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち」 ポール アンドリュー ウィリアムズ監督 
    英 ☓☓☓☓☓

 南米でナチの幹部アイヒマンが逮捕されイスラエルで裁判にかけられることになります。ホロコーストの実態を世界に伝えるテレビ中継の実現に奔走する関係者たちを描きました。
 1961年アイヒマンの裁判が決まります。テレビが世界に浸透し始めた時期で、その機能を活かしてホロコーストの実態を世界に伝える絶好のチャンスと考えたプロデューサーのミルトン(マーティン フリーマン)はアメリカで赤狩りの犠牲になっていたテレビ監督のレオ(アンソニー ラパリア)を招聘し共にテレビ中継の成功を目指します。レオはアイヒマンがホロコーストの生存者の証言に対し人間的な後悔や謝罪の反応を示すことを期待しますが、アイヒマンは最後まで表情を変えませんでした。
 実際のフィルムと組み合わせてドキュメンタリータッチで描いています、この中継の成功が世界の人々に何が起きていたのか知らせるきっかけとなりました。
 タバコは、1961年が舞台とはいえほとんどの場面で男性のほとんどと女性の一部が喫煙していて、「ガス室」を糾弾している人々が自らタバコの煙で職場をガス室にしていました。


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最高の花婿

2016-08-24 | 2016外国語映画評


「最高の花婿」 フィリップ ドゥ ショウブロン監督 仏 ☓☓電子タバコ

 3人の娘の結婚相手がユダヤ人、アラブ人、中国人で合うたびにそれぞれの価値観が対立しうんざりしているカトリックの両親が4人目の娘だけはカトリック式の結婚を望んでいました。そして紹介された希望通りのカトリックの相手とは・・・。
 移民を受け入れてきたフランスの現実をコメディタッチで描きました。「差別主義者」が軽蔑されるフランス社会の中で「平等」は国家的な目標ではあります。しかしながら、それは一般論であり、自分の問題となった時にはその人の真実が暴かれてしまいます。それでも「人は理解し合える」とこの作品は訴えています。
 フランスの多文化社会を描いていてそれは興味のあるところです。ただ、当事者たち、特に両親や妻たちが弁護士や医師などで経済的には大変恵まれているため生活を脅かされることがないからより理解が進むのではないかとも思えます。また、言語的にもフランス語に不自由していないので理解しやすいこともあるでしょう。裏を返せばフランスのかつての植民地主義の遺産ではありますが。
 タバコは、男性たちが何人も喫煙していました。(☓☓)また、電子タバコも使われていました。


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かんとりーどーろ

2016-08-18 | 2016日本語映画評


「かんとりーどーろ」(自主上映作品)大内靖監督 ☓

 茨城を舞台にご当地映画を撮っているカミスガフィルムクリエイトの5作目。
 都会で自転車便をしているハジメ(川崎優太)は、元仲間が帰った福島へ自転車で向かったところ茨城で迷子になります。拾ってくれた軽トラの助手席には可愛い子がいました。そこでハジメはその村へ「田舎暮らし応援隊」として住み着くことになります。父親が議員をしているタケルの協力もありあれこれイベントを企画しますが、はたしてうまくいくのでしょうか。
 この作品はそのものが「地域おこし」になっているらしく地元の人々がボランティアで出演しています。しかし、どんな趣味道楽もお金がかかるのは当たり前で「近所のおじさんが出ているから見に行こう」とわざわざ会場に足を運んでくださるお客様には普通は手土産がつきものです。ところがこの作品はなんと前売りで1200円も料金を支払わなければならないのです。演技とも言えないようなやり取りに2時間も付き合わされるとは・・・。百歩譲って内容に説得力があるのなら未熟な演技もご愛嬌にもなりますが、結局何を伝えたいのやら全然わかりませんでした。ただひとつ学ばせていただいたのは「プロの俳優はすばらしい。」ということです。
 タバコは、原作と製作総指揮の菊池一俊が俳優としても登場していて、なんと彼だけが喫煙するのです。それも狭い車内でも平気で喫煙していました。(☓)他の場面では居酒屋などでも無煙だったのに「なんでお前だけがタバコを吸うんだよ。」社会の変化をもっと勉強しなさい、と言いたい。
 

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ロスト・バケーション

2016-08-02 | 2016外国語映画評


「ロスト・バケーション」 ジャウム・コレット=セラ監督 米 ◯

 人喰いザメと闘う女性サーファーを描いたサバイバルアクション作品です。
 ナンシー(ブレイク ライブリー)は、ガンで死んだ母親がサーフィンを楽しんだメキシコの秘密のビーチに出かけます。地元の青年二人とともにサーフィンを楽しんだナンシーですが、二人が引き上げ一人になった時大きな鯨の死骸を見つけます。鯨を襲ったのはサメで、ナンシーもそこでサメに襲われます。すきを観てナンシーは引き潮の時だけ現れる岩礁に逃げますが足にキズを負ってしまいます。血の匂いがするせいかサメは岩礁の周囲から離れません。医学生のナンシーは身に着けているもので応急処置をします。翌日、昨日の二人がやってきます。「海に入るな」と大声を上げるナンシーの言葉を理解できずサーフィンを始めた二人ですが、あっけなくサメの餌食となってしまうのでした。ナンシーとサメの勝負はここからはじまるのですが・・・。
 キャストはナンシー以外数人という予算的には楽な作品ですが、久しぶりに怖いサメが復活し見応えのある作品となりました。闘うナンシーもサメと同じくらい利口で緊張感のある場面の連続でした。サメも怖いけれど、傷口を身に着けていた耳飾りとネックレスで縫合する場面がリアルで鳥肌が立ちそうでした。救助を待つのではなく(というか、救助を諦めて)闘うナンシーがなかなか見ものです。
 タバコは、なし。無煙です。


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トランボ ハリウッドに最も嫌われた男

2016-08-02 | 2016外国語映画評


「トランボ ハリウッドに最も嫌われた男」 ジェイ ローチ監督 米 ☓☓☓☓☓

 米ソの冷戦期、ハリウッドの「赤狩り」の犠牲になりながらも、戦い続け名声を取り戻した脚本家ダルトン トランボの半生を描きました。
 1947年、アメリカ下院の非米活動委員会は公聴会で証言を拒否したトランボ(ブライアン クランストン)を監獄に収監してしまいます。服役後もジョン・ウェインや女性コラムニストから敵視されます。それでも家族を守るため偽名を使って安い仕事をこなしていきます。忙しすぎて娘との関係が悪くなることもありましたが、賢明な妻が間に入り、家族みんなで逆境に立ち向かうのでした。実はトランボの脚本である「ローマの休日」や「黒い牡牛」がアカデミー賞を受賞し、映画人の中からカーク・ダグラスらがトランボの実名で脚本を依頼するようになりました。そして代表作「スパルタカス」をケネディ大統領が「大ヒット間違いなし」と太鼓判を押したことがきっかけとなりトランボの名誉は回復されていくのでした。
 トランボの名作の一つに「ジョニーは戦場へ行った」がありますが、権力に寄って手足や口を抑えこまれていたトランボ自身がモデルだったのかもしれません。
 テレビの報道番組に横槍を入れるようになった日本の権力が、いずれ映画界をも抑えこもうとすることでしょう。日本の映画人がトランボとなることを期待します。
 タバコは、久しぶりにアメリカ発のモクモク映画でした。時代が1947年頃で、実在のトランボが喫煙者だったのは事実だとしても俳優が気の毒でした。(トランボは70歳で没)ほとんどの場面で喫煙していました。特に仲間の脚本家は肺がんになって手術後に再び病院内で喫煙していたのにはびっくりです。当時の医師たちも喫煙の害を知らなかったのでしょうか。
 おかしかったのは、仲間の俳優の名画が飾られている部屋は「絵が痛むから」と禁煙になっていました。絵が痛むなら人間も痛むのではないでしょうか。


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