無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

あさひなぐ

2017-09-28 | 2017日本語映画評


「あさひなぐ」 英勉監督 ◯

 「なぎなた」に励む女子高生を描いた、こざき亜衣原作の漫画を「トリガール!」などの英勉監督が欅坂46のメンバーを主役に実写映画化しました。
 東島旭(西野七瀬)は高校に入学し、「アメリカンドリーム」という甘い言葉に乗せられ「なぎなた部」に入部します。勧誘時の話と違って厳しいトレーニングにめげそうになりながらも「これしかない」と続けます。インターハイへの予選で憧れの先輩がライバル校の1年生に負けてしまい旭はよりファイトを燃やすのでした。
 物語の展開はスポ根ものによくあるパターンですが、一般には言葉は知っていてもみたことはほとんどない「なぎなた」を取り上げたことが新鮮です。また、男子との恋物語や家族とのあれこれを完全にスルーしているところもシンプルです。奇妙な顧問教師(中村倫也)が笑わせてくれ、脇の角替和枝、江口のり子が女の戦いを盛り上げています。お寺にいた子役も可愛かったですね。
 タバコは、なし。無煙です。


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ユリゴコロ

2017-09-27 | 2017日本語映画評


「ユリゴコロ」 PG12 熊澤尚人監督 △(惜しい!)

 沼田まほかる原作のミステリー小説を「近キョリ恋愛」などの熊澤尚人監督が実写映画化しました。
 美紗子は子供の頃から心の「拠り所」が「殺す」という行為でした。小動物に始まって間接的ながらも人間の子どもまで殺していました。成長し美紗子(吉高由里子)は調理師になりますがそこでも奇妙な友人(佐津川愛美)と出会います。
 一方、高原のレストランを営む亮介(松坂桃李)は婚約者の千絵(清野菜名)を余命幾ばくもない父親に紹介します。亮介は父親が留守のときに「ユリゴコロ」というタイトルのノートを見つけ読み始めますが、そこには殺人鬼の告白が書かれていたのです。そんな折、婚約者の千絵が失踪してしまいます。呆然とする亮介のもとに千絵の職場の同僚という女性(木村多江)が現れるのでした。
 ミステリーとしては大変面白い内容です。過去と現在の俳優を変えることでスッキリ分けていてわかりやすく演出されています。特に病室のカーテンが揺れて過去(の俳優)に戻る場面はお見事でした。熊澤監督の新境地です。
 タバコは、大変残念ながら、悪役ではありますが一瞬タバコを口にして投げ捨てる場面がありました。あの場面はタバコを使わず、作品の鍵となっている草の実を取って投げ捨てる場面にすればより効果的だったのではないでしょうか。安易にタバコは使わない方がいいですね。

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ナミヤ雑貨店の奇蹟

2017-09-26 | 2017日本語映画評


「ナミヤ雑貨店の奇蹟」 廣木隆一監督 ☓

 東野圭吾原作のファンタジー小説を実写映画化しました。
 強盗を働いた3人の青年(山田涼介、村上虹郎、寛一郎)は空き家になっている雑貨店に隠れます。その雑貨店はかつて店主が悩み事相談を受けていたところでした。不思議なことに3人の前に1通の封筒が投げ込まれます。いたずら半分に回答をしますが、なんと再び手紙が届くのでした。
 雑貨店を中心に60年代、80年代、10年ほど前と、現在と時間はさまざまですが店主と相談者との人生が描かれていきます。後半になるとある養護施設の存在がそれぞれの物語に関わっていることに気付きます。決して恵まれた環境ではなくても悩みながらも人生を生きている相談者の姿を知ることで冒頭の3人の青年も自らの人生を考え直すのでした。
 いいお話です。原作を読んでいないので原作者の意図はわかりませんが、少なくとも廣木監督は真っ当な仕事があれば真っ当に生きられるのだと言いたかったようです。
 タバコは、残念なことに店主役の西田敏行が60年代の場面などで2回ほど喫煙しました。(☓)子役の前での喫煙は虐待になります。(☓)西田も心臓を患った過去があるのですから副流煙でも再発する恐れが十分あります。命がけですね。お気の毒に。
 若者たちが喫煙しなかったのは評価できます。


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きみの声をとどけたい

2017-09-16 | 2017日本語映画評


「きみの声をとどけたい」 伊藤尚往監督 ◯

 オリジナル脚本(石川学)による湘南を舞台に女子高生のひと夏を描いた青春アニメです。
 ラクロスに励む高校生のなぎさは今日もかつての親友のチームにあっさり負けてしまいやる気をなくしています。そんな折、突然の雨の日にカエルの導きで閉店している喫茶店にたどり着きます。そこには小さなラジオ局があったのです。いたずら半分にレコードをかけDJのまねごとをしたなぎさのもとにメールが届いたのでした。それがきっかけとなり、昏睡状態の母親に聞かせるためにそして地域のラジオ局として、なぎさを中心に友人たちが得意分野を発揮して充実したひと夏を過ごすのでした。
 ラストは予想できるし、悪人が一人も登場しないし、悪いこともしない、そういう意味では甘い内容かもしれません。でも、初対面の高校生同士が意気投合し、一つのことに向って工夫する姿には純粋に感動させられます。男子がほとんど登場しないのも物語がすっきりしていて良かったです。
 また、ラジオオタクを登場させることで、無理なく著作権の問題などをきちんと解決しているところも評価できます。
 最近のアニメ映画は、ジブリが解散したことがきっかけとなり、押さえつけていた強い力がなくなり、みんながのびのびと制作しているような気がします。昨年以降一般の大人が鑑賞できるアニメが増えました。サッカーでエースストライカーがケガで欠場すると若手が成長するような感じです。
 タバコは、なし。ただ、「たばこ」の看板は出ました。「江ノ電」を「日の電」にしたように「たばこ」も「たらこ」にするくらいの遊び心があると(☆)だったのですが・・・。


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散歩する侵略者

2017-09-15 | 2017日本語映画評


「散歩する侵略者」 黒沢清監督 ◯ ☆☆

 Jホラーの黒沢監督が劇団イキウメの戯曲を映画化しました。SFに初挑戦です。
 のどかな金魚すくいの場面から一転して残忍な殺人事件の場面となり血まみれのセーラー服の少女が徘徊し「おお、黒沢だ!」と映画に引き込まれます。
 一方、行方不明だった夫しんちゃん(松田龍平)は妻鳴海(長沢まさみ)のもとに戻りましたがぼうっとして医者に見せても原因がよくわからず、自宅療養をすることになりました。時々「散歩してくる」とどこかへ行ってしまいそのたびに鳴海はイライラさせられます。
 また、殺人事件の現場を取材に来たジャーナリスト桜井(長谷川博己)は宇宙人の天野(高杉真宙)と出会い二人は行動をともにすることになります。宇宙人たちは出会う人間たちから人間を理解するために「概念」を吸収していきます。「仕事」「家族」「競争」などの概念を失った人間たちの異常行動が目立つようになり、いよいよ国家権力が3人とその「ガイド」になっている鳴海や桜井に近づいてくるのでした。
 ホラーの黒沢らしい場面もあり、従来のファンにも納得できるSFです。信じがたい「宇宙人」の存在を次第に受け止めていくようになる過程がちょっとした表情の変化などそれぞれの俳優の名演で丁寧に描かれ観客も共感していきます。単なる「宇宙人の侵略物」に終わらず、人間にとって大切なもの、国家権力の横暴さ、セクハラ、パワハラまで織り交ぜ現代社会への風刺とも警告とも、そして新たな社会への提案ともなっています。筆者にとって今年度ベストスリーには確実に入る作品です。(☆☆)
 タバコは、なし。無煙です。
 


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三度目の殺人

2017-09-14 | 2017日本語映画評


「三度目の殺人」 是枝裕和監督 △ 

 是枝監督自身の原作、脚本で現代社会の「理不尽」を裁きました。さて、真に裁かれたのは?
 優秀で勝ちにこだわる弁護士の重盛(福山雅治)は同僚からある殺人事件の犯人の弁護を任されます。雇用主である社長を殺した罪に問われている三隅(役所広司)と接見をしますが、そのたびに供述が変わり重盛は翻弄され始めます。一方、週刊誌には社長の妻(斉藤由貴)に頼まれたと書かれたり、被害者の娘(広瀬すず)の衝撃の告白があったりします。その上、30年前に三隅が起こした殺人事件をさばいた重盛の父親(橋爪功)からは「あの時死刑にしておけば・・・」など言われ混乱させられます。果たして本当に三隅が殺したのか、真実はどこにあるのでしょうか。
 司法を批判した裁判物というと「それでもボクはやってない」がありますが、それ以上の緊迫感と複雑性で日本の司法世界を裁きました。影の主役は「なあなあの裁判」を勧めた裁判長とセリフが一つもなかった検事です。
 「生まれてこなかった方がよかった」人は本当にいるのでしょうか。観客に問いかけます。
 登場時間は短いものの斉藤由貴や検事役の市川実日子が印象的でした。
 ヴェネツィアで授賞を逃した理由はテーマの「日本の司法」が海外の人には理解できなかったのではないかということと、やはり「死刑制度」が存在することに抵抗があったのではないかと想像したりしています。
 タバコは、同僚役の本田博太郎が電子タバコを事務所の窓のところで吸いました。また、三隅が勤務していた食品工場の喫煙所で喫煙している人が何となく映りました。このあたりも賞を逃した原因としてタバコを出すのは海外の常識ではありえなくなっているのではないかとも危惧しています。
 人間性のマイナスの表現のひとつにかつてはタバコが利用されましたが、この作品では重盛がコーヒーに砂糖をいくつも入れることとか、ゼリーで食事に変えているとかの方法を取っていました。


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エル ELLE

2017-09-08 | 2017外国語映画評


「エル ELLE」 PG12 ポール ヴァンホーベン監督 仏 ☓☓
 
 フィリップ ディジャン原作の小説を映画化しました。
 ゲーム会社の社長ミッシェル(イザベル ユペール)は閑静な住宅街にある自宅で覆面男に襲われます。過去の事件から警察を信用していない彼女は事件後も医療的な検査はしたもののその他はいつもと同じ生活を続けていました。しかし、事件を忘れたわけではなく犯人探しは彼女なりの方法で行われ犯人が判明した後も彼女なりの対応をするのでした。
 ちょっとエロい(PG12ですから)アラカン(還暦前後)の「ガールズムービー」ともいえます。複雑で屈折した要素は多々ありますが、共同経営者のアンヌ(アンヌ コンシニ)とミッシェルの姿は思春期の少女がしていることと同じで、印象に残る場面も二人が仲良くしている姿が一番きれいで共感できる場面でした。経済的に恵まれた生活なので、生きるための心配はまったくなく、いわくありげな男たちはあくまでも彼女たちの人生にとっては「添え物」でしかないようでした。
 タバコは、主役のミッシェルが何回か喫煙しました。イザベル ユペールは喫煙露出の多い俳優です。(☓)また、医療関係者の喫煙場面もありました。(☓)室内のドアに禁煙マークあり。


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トリガール!

2017-09-07 | 2017日本語映画評


「トリガール!」 英勉監督 ◯ ☆ 無煙映画賞候補作

 中村航原作の「鳥人間」コンテストに青春をかける大学生の姿を英勉監督が実写映画化しました。
 一浪して建築を学ぶために入学したまわりは男子ばかりの大学で鳥山ゆきな(土屋太鳳)は声をかけられた和美(池田エライザ)とともに高橋圭(高杉真宙)にスカウトされて「人力飛行サークル」に入部します。自転車をこぐ動力で飛行するという競技でゆきなはパイロット候補となりトレーニングが始まります。一方、昨年の大会で大きなミスをしてからサークルに来なくなっていた坂場先輩(間宮祥太朗)を圭を通して知ります。アクシデントがきっかけとなり坂場とゆきながコンビを組むことになるのでした。はたして無事琵琶湖の上を飛ぶことができるのでしょうか。
 主役の土屋太鳳がかつてないのびやかな演技を見せています。ダンスで鍛えたしなやかな肉体にコメディの間のとり方の絶妙さが加わり笑わせてくれます。青春映画というと恋の駆け引きばかり中心になりますが、この作品ではそのあたりはサラリと流し、一つのことに打ち込む姿をさわやかに描きました。また、コンテストそのものも大変新鮮でロボコンとはちがうおもしろさを知りました。いろいろなことに一生懸命になっている人がいることを改めて認識させてもらいました。(☆)ただ、ナダルのセリフが独特の抑揚がありすぎる話し方で聞き取りにくかったのが残念です。
 タバコは、なし。無煙です。


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