「友罪」 瀬々敬久監督 ☓ ギャガ
「人を殺めたら幸せになってはいけない」のか、「償い」とは、といった正解のない重い問いかけをする作品です。
元雑誌の記者益田(生田斗真)は鈴木(瑛太)と同時に工場に就職します。鈴木は仲間とも打ち解けず頑なですが、益田は生活をともにしていくうちに少しずつ鈴木と話をするようになります。そんな折、子どもの殺害事件が起き益田の元同僚(山本美月)を通して鈴木の過去が明らかになります。鈴木の過去と同様益田にも人には言えない辛い過去がありました。
一方、工場で大怪我をした益田を運んだタクシー運転手山内(佐藤浩市)にも息子が無免許運転で子ども3人を死亡させてしまい今も賠償を続けているという重い現実があるのでした。
主な登場人物だけでなく、彼らにかかわる人もそれぞれが大きな問題を抱えていてそれでもなんとか人として生きていこうという姿を静かに描きます。
瑛太が微妙な心境を表現し、「アヒルと鴨のコインロッカー」を彷彿とさせる名演技です。生田もまけずに健闘しています。また、夏帆、富田靖子、西村知美の女性陣、そして悪役の忍成修吾が好演しています。
ただ、ちょっと間口を広げすぎたかなという感じもあります。監督に伝えたいことが山ほどある気持ちは理解しますが、ひとつの作品としてはエピソードを絞っても良かったかもしれません。
タバコは、脇役が何回か喫煙しました。(☓)