無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

友罪

2018-05-31 | 2018日本語映画評


「友罪」 瀬々敬久監督 ☓ ギャガ

 「人を殺めたら幸せになってはいけない」のか、「償い」とは、といった正解のない重い問いかけをする作品です。
 元雑誌の記者益田(生田斗真)は鈴木(瑛太)と同時に工場に就職します。鈴木は仲間とも打ち解けず頑なですが、益田は生活をともにしていくうちに少しずつ鈴木と話をするようになります。そんな折、子どもの殺害事件が起き益田の元同僚(山本美月)を通して鈴木の過去が明らかになります。鈴木の過去と同様益田にも人には言えない辛い過去がありました。
 一方、工場で大怪我をした益田を運んだタクシー運転手山内(佐藤浩市)にも息子が無免許運転で子ども3人を死亡させてしまい今も賠償を続けているという重い現実があるのでした。
 主な登場人物だけでなく、彼らにかかわる人もそれぞれが大きな問題を抱えていてそれでもなんとか人として生きていこうという姿を静かに描きます。
 瑛太が微妙な心境を表現し、「アヒルと鴨のコインロッカー」を彷彿とさせる名演技です。生田もまけずに健闘しています。また、夏帆、富田靖子、西村知美の女性陣、そして悪役の忍成修吾が好演しています。
 ただ、ちょっと間口を広げすぎたかなという感じもあります。監督に伝えたいことが山ほどある気持ちは理解しますが、ひとつの作品としてはエピソードを絞っても良かったかもしれません。
 タバコは、脇役が何回か喫煙しました。(☓)


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のみとり侍

2018-05-30 | 2018日本語映画評


「のみとり侍」 R15+ 鶴橋康夫監督 ☓ 東宝

 小松重男の短編小説を大人(R15+)のラブコメディにしました。
 田沼意次の全盛期、長岡藩の藩士小林寛之進(阿部寛)はうっかり藩主忠靖(松重豊)の逆鱗にふれ「猫の蚤取り」となります。藩主の命とあらばと、蚤取りの親分甚兵衛(風間杜夫)の下で修行し初の客をとりますが・・・。相手は若くして亡くなった許嫁とそっくりのおみね(寺島しのぶ)でした。実は「猫の蚤取り」とは女性を悦ばせる男娼だったのです。「下手くそ」と言われ呆然とする寛之進は偶然であった清兵衛(豊川悦司)から女性あしらいの手ほどきを受けるのでした。
 風間、松重、大竹しのぶらの脇役に恵まれ前作「後妻業の女」よりはおもしろい作品となりました。ただ、長屋に住む佐伯(斎藤工)の急病事件より、意次の政治やお家騒動といった寛之進に関わる事柄をもっと丁寧に描いたほうが良かったのではないかと思います。
 大人用のコメディというジャンルが育つと映画界の裾野が広がることが期待できますね。それには女性が楽しめるよう下品にならないことが大切です。
 タバコは、こちらも前作「後妻業の女」がモクモクだったことに比べると随分少なくなり寺島しのぶがキセルを吸ったほか周囲で何回かキセルが登場しただけでした。(☓)その点も多少さわやかになりました。


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モリーズゲーム

2018-05-29 | 2018外国語映画評


「モリーズゲーム」 PG12 アーロン ソーキン監督 米 ☓

 スキー競技のトップ選手からポーカーゲームの主催者となったモリーの伝記を元に映画化しました。
 スキーモーグルの競技中転倒して引退したモリー(ジェシカ チャスティン)はロースクールに通うためウェイトレスのバイトを始めます。そこでポーカーゲームを主催する男に声をかけられ助手として働きます。その道に才能があったのかモリーは独立し自身でゲームルームを主催し大物が大金をかけ繁盛するのですが・・・。
 波乱万丈一代記といった感じですが、実はスキーの厳しいコーチだった父親(ケビン コスナー)との関係の修復を描く家族ドラマでもあります。
 逆境にめげず独自の工夫をしてのし上がっていくモリーの姿は痛快です。
 タバコは、ポーカーゲームの参加者たちが喫煙していました。(☓)

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2017年無煙映画大賞

2018-05-20 | 2017年無煙映画大賞

2017年無煙映画大賞が決定しましたのでお知らせします。5月11日、日比谷図書文化館コンベンションホールで開催された世界禁煙デー記念イベントの会場で発表させていただきました。

<作品賞> 「ミックス。」 石川淳一監督  
 学校や仕事、夫婦関係そして家族ともあれこれ事情を抱えた登場人物が、卓球の男女のミックスダブルスを通して人生を再生させる物語をコメディタッチで描き誰でも楽しめる作品としました。
 社会や家族にひそむひずみを織り交ぜながらも問題を解決していく脚本が素晴らしく出演者もそれに応える名演技でした。元気が出てくる映画です。

<女優賞>  永野芽郁(ながの めい) 
 「ミックス。」(石川淳一監督)、「PARKSパークス」(瀬田なつき監督)「ピーチガール」(神徳幸治監督)などの無煙作品に出演し、主人公の卓球と恋のライバル役、ちょっとミステリアスな訳ありの高校生役、小悪魔的な同級生役などタイプの異なる女性たちをみずみずしく演じ分けました。今後の活躍が期待できます。
 
<男優賞>  亀梨和也(かめなし かずや) 
 「美しい星」吉田大八監督、「PとJK」廣木隆一監督 に出演。「美しい星」では宇宙人一家の長男を、「PとJK」では高校生と結婚する警察官役を好演しました。

<監督賞>  英勉監督(はなぶさ つとむ) 「トリガール!」 「あさひなぐ」
 どちらの作品も、大学生や高校生の恋とは無縁のクラブ活動をすっきりと描いています。地味な種目を紹介し、いわゆるスポ根ものとは一線を画するさわやかな作品です。

<特別賞> 「笑う101歳✕2 笹本信子 むのたけじ」河邑厚徳監督
 100歳になっても活動を続けている初の女性報道写真家笹本とジャーナリストとしてペンを持ち学生に語るむのの姿を本人の証言や二人の対談などをドキュメンタリーとして残しました。
 マイナスイメージのある「高齢化社会」を払拭する「元気な100歳」は中高年を励まし元気を与えてくれます。

<特別賞> 「米軍が最も恐れた男 その名はカメジロー」 佐古忠彦監督
 アメリカ統治下の沖縄で民衆を鼓舞し続けた「不屈」の精神は、さまざまな場面で国家の暴力や不条理と闘っている人びとを勇気づけてくれます。

<汚れた灰皿賞(モクモク賞)>
「新宿スワンⅡ」      園子温監督 
「火花」          板尾創路監督   
「3月のライオン 前後篇」 大友啓史監督 
「キセキ あの日のソビト」 兼重淳監督 
「愚行録」         石川慶監督 

*汚れた灰皿賞(モクモク賞)について
 映倫区分「G」の作品でモクモクだった作品は数えるほどしかありませんでした。しかし、「火花」のような話題性があり、未成年者が見たくなるような作品がタバコの露出が多いことは大変残念なことです。お笑い界が舞台の作品で現実的にも喫煙率が高いのであれば改善していかなければならないのではないでしょうか。
 「3月のライオン」は将棋界が舞台でかつてはタバコ会社が堂々とスポンサーになっていた世界で、今でこそFCTC(タバコ規制枠組条約)効果で一応タバコではない子会社の食品メーカーの冠になりましたが、旧態然とした慣習は残っているようです。未成年の対戦相手にタバコの煙を吹きかける場面などは暴力(スモークハラスメント)以外の何者でもありません。
 
<参考>

選考の対象となった作品は以下のとおりです。(番号は映画評の順番です)

71,「米国(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」 佐古忠彦監督 ◯ ☆☆☆
68,「リベンジGIRL」 三木康一郎監督 ◯ ☆
65,「DESTINY 鎌倉ものがたり」 山崎貴監督 ◯
63,「泥棒役者」 西田征史監督 ◯ ☆
62,「GODZILLA 怪獣惑星」 静野孔文、瀬下寛之監督 ◯
61,「氷菓」 安里麻里監督 ◯
58,「先生!、、、好きになってもいいですか?」
57,「笑う101歳✕2 笹本恒子 むのたけじ」 
56,「ミックス。」 石川淳一監督 ◯ ☆ 
54,「ナラタージュ」 行定勲監督 ◯
51,「あさひなぐ」 英勉監督 ◯
50,「きみの声をとどけたい」 伊藤尚往監督 ◯
49,「散歩する侵略者」 黒沢清監督 ◯ ☆☆
47,「トリガール!」 英勉監督 ◯ ☆ 
46,「関ヶ原」 原田眞人監督 ◯
45,「君の膵臓を食べたい」 月川翔監督 ◯
44,「打ち上げ花火、下から見るか?横から見るか?」 武内宣之監督 ◯
42,「メアリと魔女の花」 米林宏昌監督 ◯
41,「忍びの国」 中村義洋監督 ◯
40,「兄に愛されすぎて困っています」 河合勇人監督 ◯
37,「昼顔」 西谷弘監督 ◯
33,「名探偵コナン から紅の恋歌」 静野孔文監督 ◯
32,「美しい星」 吉田大八監督 ◯
30,「ピーチガール」 神徳幸治監督 ◯
27,「標的の島 風(かじ)かたか」 三上智恵監督 ◯
22,「PとJK」 廣木隆一監督 ◯
21,「ひるね姫 知らないワタシの物語」 神山健治監督 ◯
17,「チア☆ダン」 河合勇人監督  ◯ 1
16,「彼らが本気で編むときは」 荻上直子監督 ◯ ☆
13,「相棒 劇場版Ⅳ 首都クライシス 人質は50万人! 特命係 最後の決断 」
                                橋本一監督 ◯
11,「恋妻家宮本」 遊川和彦監督  ◯ ☆
9,「カンパイ! 世界が恋する日本酒 」 小西未来監督 米との合作 ◯
8,「島々清しゃ(しまじまかいしゃ)」 新藤風監督 ◯ ☆
7,「ぼくは明日、昨日のきみとデートする。」 三木孝浩監督 ◯
5,「本能寺ホテル」 鈴木雅之監督 ◯ ☆
4,「中島みゆき Concert 一会 2015〜2016 劇場版」 ◯ ☆☆
3,「高江—森が泣いている2」 藤本幸久 影山あさ子監督 ◯ ☆

1, 「TSUKIJI WONDERLAND 築地ワンダーランド」 遠藤尚太郎監督 △
6, 「古都」 Yuki Saito監督 △
29,「花戦さ」 篠原哲雄監督 △ ☆
31,「ちょっと今から仕事やめてくる」 成島出監督 △
48,「三度目の殺人」 是枝裕和監督 △ 
52,「ユリゴコロ」 PG12 熊澤尚人監督 △(惜しい!)
59,「アウトレイジ 最終章」 R15+ 北野武監督 △
60,「ラストレシピ 麒麟の舌の記憶」 滝田洋二郎監督 △
66,「望郷」 菊池健雄監督 △
69,「8年越しの花嫁 奇跡の実話」 瀬々敬久監督 △ ☆
70,「夜間もやってる保育園」 大宮浩一監督 △









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孤狼の血

2018-05-19 | 2018日本語映画評


「孤狼の血」 R15+ 白石和彌監督 ☓☓☓☓☓☓☓☓☓PPハイライトマルボロ 東映

 警察小説☓「仁義なき戦い」と評された柚月裕子原作の小説を東映ヤクザ映画のDNAを維持するため映画化したそうです。
 昭和63年ごろの広島県の架空の街が舞台です。拮抗する勢力のふたつの暴力団が「島」の奪い合いをして事件を起こしているところに、暴力団との癒着が懸念されている刑事大上(役所広司)と彼を見張るために組まされた若手のエリート刑事日岡(松坂桃李)がからんでいきます。
 悪者が悪者でなく偉そうなやつが実は悪者といういつもの警察小説のパターンを踏襲しています。(ネタバレです。)異常でしつこい暴力描写が続き、「東映のDNA」とはこういうものだったのか・・・。と唖然とさせられます。日活が「ロマンポルノ」の伝統で「娼年」を封切りましたがあちらは伝統を守りつつも時代の変化をきちんととらえた作品になっていて女性客の動員にも貢献していました。東映さんのほうはただ昭和にタイムスリップしただけでした。
 2018年にこの作品を世に送る意味は何かあったのでしょうか。
 タバコは、プロデューサー天野和人さんがキネマ旬報の5月下旬号で述べているように「タバコ(原文では「煙草」)もバンバン吸う。」内容で、そう言われてみると単なるタバコ宣伝映画です。タバコ(ハイライト、マルボロ)を吸うだけでなく、ライターが実は重要な小道具になっていて、その上タバコの自販機もバンバン登場し、タバコ会社は大喜びですね。日岡役の松坂桃李は喫煙しなかったのですが予想通りのラストで、笑ってしまいました。
 チラシ、ポスターでも役所広司の喫煙姿が強調されていてコンプライアンスを無視するための作品でした。
 実力ある俳優をタバコの害に晒すだけの無駄使いでした。
 こういう作品が映画評論家の評価が高いのは評論家も映倫も同罪です。 せめて一言くらいはタバコ使い過ぎなのではと触れてほしいものです。

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ラブ☓ドック

2018-05-18 | 2018日本語映画評


「ラブ☓ドック」 鈴木おさむ監督 ◯ 無煙映画大賞候補作 アスミック・エース

 脚本家の鈴木おさむが自身の脚本を初監督したラブコメディです。
 アラフォーのパティシエ郷田飛鳥(吉田羊)は恋に迷い、女性ホルモンを研究しDNA的に恋の行方を判断してくれる診療所「ラブドック」を訪れます。その診療所では客観的にはちょっとあやしい注射で恋心をコントロールしてくれるのでした。
 飛鳥の人生は35歳位までは順調だったのですが、いつのまにか計算通りにはいかなくなっていたのでした。親友は男に騙されながらもかわいい一人娘がいて仕事もうまくいっています。飛鳥はこれまでの恋の遍歴を振り返り人生を考えるのでした。
 吉田鋼太郎、玉木宏、野村周平とタイプの異なる男優を相手に芸達者な吉田羊の一人芝居的な展開ですが、時代を読んだ脚本が良くできていて失敗もするけど自分の人生しっかり考えていくからという内容は共感できます。ラストも単なるハッピイエンドではないところもいいですね。笑わせながら人生を考えさせる鈴木おさむの脚本が生きています。
 タバコは、なし。無煙です。
 また、巣鴨商店街、禁煙のとげぬき地蔵高岩寺が登場します。ここも見どころの一つです。


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レディプレイヤー1

2018-05-17 | 2018外国語映画評


「レディプレイヤー1」 スティーブン スピルバーグ監督 米 ◯ NTS WB映画

 アーネスト クラインによる小説「ゲームウォーズ」をスピルバーグが映画化しました。
 2045年荒廃した環境の中人びとはバーチャルリアリティの「オアシス」に熱狂していました。開発者のハリデーが死去し、その遺産と「オアシス」の権利を3つの鍵を見つけたものに引き継ぐと遺言します。ウェイド(タイ シェリダン)とそのゲーム内の仲間たちは鍵探しを始めますが、ハリデーの遺産を狙って巨大企業のIOI社が行く手を阻むのでした。さてその結末はいかに・・・。
 過去の名画のいいとこ取りをした場面が楽しいです。ただ、過去の名画を喜ぶ世代には展開が早すぎてついて行くのがやっとで終わった後肩がこってしまいそうでした。個人的には「メカゴジラ」を悪者にするな。とは思いますが、「ゴジラ」のメインテーマ曲には拍手しそうでした。
「1」ということは「2」「3」もあるのでしょうか。
 タバコは、なし。無煙でした。


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はじめてのおもてなし

2018-05-17 | 2018外国語映画評


「はじめてのおもてなし」 サイモン バーホーベン監督 独 ☓☓☓

 移民の受け入れを巡る家族の対応をコメディタッチで描きました。
 ドイツの閑静な住宅地に住む元教師のアンゲリカ(センタ バーガー)は医者の夫のリヒャルト(ハイナー ラウターバッハ)が仕事など忙しくふたりはちょっと倦怠期。子供二人も独立はしているもののそれぞれ問題を抱えています。そんな折、難民センターへ衣類の寄付に訪れたことがきっかけとなり、ひとりのチュニジア人の若者を家族の大反対を押し切って受け入れます。価値観や環境が異なる社会で育った若者とのさまざまな驚きはひとりひとりに問題を提起し考えるきっかけとなるのですが、アンゲリカの友人が企画した歓迎パーティが警察沙汰となってしまうのでした。
 メルケルさんの積極的な難民受け入れ政策に賛否があるように家族の中にも賛否があり、「差別」とは「援助」とはといった社会のテーマを笑わせながら考えさせる脚本はたいへんよくできています。観客も彼らと一緒に思いを巡らすことができます。
 タバコは、色々問題があります。まず隣家の女性が喫煙者、リヒャルトの悪友で美容整形をしている医療者が喫煙者(加熱タバコ)、リヒャルトの病院に喫煙所があり医療関係者が喫煙している、など日本より環境は悪いかもしれません。(☓☓☓)
 また、温室効果ガスに対して神経質なアンゲリカの友人が喫煙者、というのもなんだか悪いギャグのようです。日本でくわえタバコで原発反対と言うような人を思い出してしまいました。
 

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