無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

シンクロ ダンディーズ

2020-01-31 | 2020映画評


「シンクロ ダンディーズ」 オリバー パーカー」監督 英 ○

 男子のシンクロナイズドスイミング(現在はアーティスティック スイミング)のスウェーデンチームの成立エピソードを基にし、舞台をイギリスに移して作品にしました。
 会計士のエリック(ロブ ブライトン)は職場では信頼されていましたが、家庭では議員に当選した妻との間がギクシャクし、スイミングプールだけが息抜きとなっていました。些細なことで妻から家を追い出されホテル暮らしとなりましたが、あるときプールでシンクロをしているグループに数学的観点からの助言をします。それがきっかけでメンバーになります。メンバーにはそれぞれプライベートでは問題を抱えながらもプールでは「仲間と一つになる」ことだけを考えているのでした。そんな折、ミラノで開催される「非公式のシンクロの世界大会」に参加することになるのでした。
 「男子のシンクロ」といえば日本ではすでに「ウォーターボーイズ」(2001年 矢口史靖監督)という名作があり、新鮮さはありませんが、今作では中年男たちの悲哀をテーマの一つにしたこともあり「家族」とか「生きる」といった普遍的な問題が織り込まれました。映像の美しさと音楽の楽しさでは「ウォーターボーイズ」には及びませんでした。
 また、初参加でいきなり上位に入賞するのも納得しかねました。
 タバコは、なし。無煙です。イギリスのようにパブも禁煙になっている国の作品は安心して観ることができます。

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劇場版 そして、生きる

2020-01-29 | 2020映画評


「劇場版 そして、生きる」 月川翔監督 ○ WOWOW

  WOWOWオリジナルドラマの「劇場版」です。震災ボランティアで出会った主人公たちがさまざまな障害に出会いながらも自分の思いを大切に生きていく物語です。
 幼いときに両親を交通事故で亡くし伯父(光石研)に育てられた瞳子(有村架純)は俳優のオーディションの前日に東北大震災に逢います。大学生ボランティアとして気仙沼に行き清隆(坂口健太郎)や友達のハン(知英 ジヨン)と共に担当したのが坂本理髪店の片付けでした。店主(萩原聖人)とはまるで親戚のような人間関係を育みます。瞳子と清隆は惹かれ合いますが、清隆の夢を邪魔しないため瞳子は妊娠を隠し身を引きます。清隆は国際貢献団体の一員としてフィリピンに派遣され充実した活動をしているつもりでしたがある大きな事件に巻き込まれ傷心して帰国途中ハンに出会うのでした。
 岡田惠和のオリジナル脚本が素晴らしく、運命に翻弄される男女を描くだけでなく、国際貢献活動や、安易な自分探しのボランティア活動への疑問を鋭く投げかけています。
 有村はじめ出演者がそれぞれいい演技で脚本を盛り上げました。
 タバコは、なし。無煙です。

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台湾、街かどの人形劇

2020-01-28 | 2020映画評


「台湾、街かどの人形劇」 ヤン リージョウ監督 台湾 ☓

 台湾の伝統芸能の一つ布袋戯の人間国宝チェン シーフォアンを通して、伝統文化の継続の困難さと姓の異なる父親との確執を10年間取材したドキュメンタリーです。
 布袋戯と呼ばれる人形劇の演者チェンは他の娯楽の台頭で衰退している人形劇の伝統をいかに継承していったらいいのか弟子たちや楽団の仲間ともアイディアを出しながら試行錯誤しています。一方チェンは偉大な父親リ ティエンルーの後継者でありながら生まれた順序の決まりで父の姓を継ぐことができず、自身が国宝となった今でもそのことへのわだかまりがありました。
 弟子はいるものの人形劇では食べていくことができない「伝統芸能」の現状で、今作でその技を映像として記録し後世に残したことは大変貴重です。
 また、「第1子」は母親の姓を名乗るという台湾の風習と、父親との姓のちがいへのこだわりの強さに、「家族制度の重み」を感じました。(英語のタイトルは「FATHER」)
 タバコは、時々喫煙者が映りました。(☓)

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記憶屋

2020-01-26 | 2020映画評


「記憶屋」 平川雄一朗監督 ○(おまけ)

 原作はホラー小説大賞の読者賞を受賞した織守きょうやの小説を山田涼介主演で映画化しました。
 大学生の遼一(山田)は年上の恋人杏子(蓮佛美沙子)にプロポーズしますが、その日以来杏子は遼一のことをすっかり忘れてしまいます。都市伝説の「記憶屋」に記憶を奪われたのではないか疑った遼一は大学の先輩で弁護士の高原(佐々木蔵之介)に相談します。高原はある理由で記憶を消してくれる「記憶屋」に個人的にも関心があり積極的に調査を始めます。一方、遼一の幼馴染の真希(芳根京子)はそんな遼一を近くで励ましながらもなにかわだかまりがあるのでした。
 「忘れたい記憶はすっかりなかったことにしたほうが良い」のかそれとも「辛い記憶もなんとか自身の力で乗り越えて生きていくのか」。真希のせりふにあるように「経験した人じゃないとつらい思いはわからない。」のでしょう。ラストの中島みゆきの名曲「時代」がひとつの答えなのかもしれません。いまひとつすっきりしなかった流れをまとめてくれた「時代」はなんと素晴らしい楽曲なのでしょう。
 タバコは、葬祭場で喫煙所とその周囲にいる人々が映りましたが、遠景で一瞬だったのでおまけの(○)です。

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ジョジョ ラビット

2020-01-25 | 2020映画評


「ジョジョ ラビット」 タイカ ワイティティ監督 米 ○ ☆

 第二次世界大戦下のナチスドイツのもとで暮らす妄想癖のある少年を主人公に「自由」の素晴らしさを描きました。
 10歳のジョジョ(ローマン グリフィン デイビス)は空想の親友アドルフ(タイカ ワイティティ)の助言を受けながら優秀な兵士になるためヒトラー ユーゲントのキャンプに参加します。しかし、いきなり教官(サム ロックウェル)から「うさぎを殺せ」という命令を受け、ためらったため「弱虫のジョジョラビット」とあだ名されます。その上訓練中に大怪我をし、しばらく自宅療養することになります。母親(スカーレット ヨハンソン)が不在中怪しい物音がし、探っていくとなんとそこにはあの恐ろしいユダヤ人の少女がいたのです。少女と交流をするうちにお互いに少しずつ打ち解けてきますが、「自由をめざす」母親と少女に厳しいゲシュタポの魔の手が伸びてくるのでした。
 暗くなりがちなテーマですが、監督自身が演じるアドルフが笑えるキャラクターで、その上随所にユーモアのある会話があり「明るいナチ物」になりました。なかでも、サム ロックウェル演じるちょっとおかしな教官がピンチをさり気なく救ってくれる場面は感動的です。
 今だから笑えますが、かつてのナチズムとあまり変わらないことが今もどこかで繰り返されているのでしょうか。この作品を観て「自由」の大切さを再確認しなければ・・・。
 タバコは、なし。無煙です。妄想のアドルフがなぜか「タバコはどう?」とジョジョにタバコを勧める場面が2回ありましたがそのたびに「僕は吸わないよ。何言ってるの!」という感じできっぱり断っているのが爽快でした。兵隊たちも喫煙せず。(○) 

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ラスト・レター

2020-01-23 | 2020映画評


「ラスト・レター」 岩井俊二監督 ○

 高校生の頃とおとなになった現在、恋をしていた男女が交わす手紙の行き違いを媒介にして、それぞれの思いを宮城県を舞台に描きました。
 自死した姉未咲の葬儀で妹の裕里(松たか子)は未咲の遺児鮎美(広瀬すず)から同窓会の案内を渡されます。亡くなったことを知らせるために同窓会に出席した裕里は未咲と勘違いされ、当時文通をしていた乙坂鏡史郎(福山雅治、神木隆之介)と再会します。なりゆきでふたたび文通が始まるのですが、鏡史郎からの手紙が鮎美の手に届いたことからそれぞれが初恋の当時に思いを馳せるのでした。
 「メール」や「メッセージ」で簡単に連絡ができる時代に手書きの「手紙」の魅力が全面に織りなされています。便箋にペンで書いて封筒に入れ切手を貼ってポストに入れ返事が届くのを待つ・・・。「何度も読み返せる」というのもいいですね。
 悪役は未咲の元DV夫(豊川悦司)だけで岩井俊二監督らしい大人のファンタジーの世界です。鏡史郎の「未咲」という小説がありながら自死してしまった未咲の気持ちはちょっと理解できませんが・・・。死なないと物語が成立しないので仕方がないといえばしかたがないのですが・・・。病死ではだめだったんでしょうか。
 タバコはなし。無煙です。居酒屋で豊川悦司が登場したときはちょっと心配しましたが。

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リチャード ジュエル

2020-01-21 | 2020映画評


「リチャード ジュエル」 クリント イーストウッド監督 米 ○NTS ☆

 1996年アトランタ五輪が開催されているときに関連イベント会場で起きた爆破事件を描いた実話です。
 警備員としてイベント会場にいたリチャード(ポール ウォルター ハウザー)は不審なリュックを発見し、多くの人々を避難させます。爆発したパイプ爆弾で死傷者が出ましたが、リチャードは発見者として英雄扱いされます。ところが、五輪開催時ということもあり、捜査を急ぐFBIは、第一発見者のリチャードを容疑者として扱います。途方に暮れたリチャードですが、かつての職場で知り合った弁護士ワトソン(サム ロックウェル)に連絡を取るのでした。
 「英雄」から「悪魔」へとメディアはリチャードの過去を詮索し、母(キャシー ベイツ)と二人の生活を踏みにじる姿はまさに「メディア リンチ」です。また、「デブで貧しい白人」という過去の犯人像に都合よく押し込めていくFBIの捜査官の姿も多くの冤罪事件を生んでいる日本の司法当局の姿を彷彿とさせ、寒気がします。
 重い作品ですが、俳優陣の名演技で見応えのある作品となりました。ちなみに母親役のキャシー ベイツはサスペンスの名作あの「ミザリー」です。
 タバコは、女性新聞記者がタバコを吸おうとし同僚に「火、貸して」と言いますが、「吸わないから」と断られるという場面があっただけでした。

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The Upside 最強のふたり

2020-01-15 | 2020映画評


「The Upside 最強のふたり」 ニール バーガー監督 米 △

 2012年公開されたフランス版「最強のふたり」をハリウッドがリメイクしました。
 事故で首から下の自由をなくした大富豪のフィリップ(ブライアン クランストン)の介護人としてデル(ケビン ハート)が候補に上がります。デルは家族からも見放された前科者でした。フィリップの秘書イヴォンヌ(ニコール キッドマン)は、教養も経験もないデルを雇うことには反対しますが、フィリップはデルが多少乱暴ではあるものの自分を飾らない真っ正直な性格を評価します。育った環境が全く異なるふたりがさまざまな体験をふたりで重ねることでお互いを理解していきますが、ある事件が起きるのでした。
 顔だけで演技するブライアン クランストンの演技が素晴らしいです。オペラに魅せられていくデルの表情の変化で芸術の素晴らしさを伝える反面、デルが描いた絵をフィリップの部屋の壁に飾ってあるというだけで高額な値をつけてしまうという絵画に対するおかしな反応なども笑えます。
 幸せになるにはお金が必要という結末はちょっと抵抗がありますが、「人間はわかりあえる」というメッセージは貴重です。
 タバコは、痛みを忘れるためデルがタバコ状のドラッグを勧めます。フィリップはこういうものではおさまらない、と最初は拒否しましたが結局は吸ってしまうのでした。フランス版ではタバコの場面が多かったのです本作ではほぼ無煙となりよかったです。

 

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パラサイト 半地下の家族

2020-01-14 | 2020映画評


「パラサイト 半地下の家族」 PG12 ポン ジュノ監督 韓国 ☓☓ ☆

 2019年カンヌ映画祭でパルムドール受賞作です。
 半地下で暮らすキム一家(父 ソン ガンホ)は全員が失業中で宅配ピザの箱作りの内職でなんとか生きていました。そんな折、長男ギウ(チェ ウシク)が留学する友達の代役として家庭教師の仕事に付きます。大企業のCEOパク家は高台の大邸宅で家政婦と運転手までいました。妻(チョ ヨジョン)の信頼を得たギウは妹を美術教師に、母を家政婦に、父を運転手に身分を偽って紹介し見事一家全員が豪邸に関わることになります。
 しかし、最下層で暮らすキム一家と、セレブのパク一家の出会いは思わぬ展開となり想像を超えた悲喜劇を生み出すのでした。
 現在の韓国や日本の格差社会を痛烈に批判しています。しかし、単なる社会派ドラマで終わらぜず韓国映画得意の血しぶきサスペンスという娯楽要素と随所に笑いもある、エンターテイメント作品となりました。ソン ガンホだけでなく出演者の名演技が作品を盛り上げています。最後まで想像を超えた展開で、さすがパルムドールです。(☆)
 タバコは、不思議なことに貧乏なのに妹(パク ソダム)が喫煙者です。禁煙のネットカフェでも喫煙し(☓)、またネタバレ厳禁なので場面は言えませんが大変な状況の中隠していたタバコを吸うという場面がありました。(☓)「匂い」がキーワードにもなっていますが、タバコの匂いが身についているのはまずいのではないでしょうか。

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荒野の誓い

2020-01-09 | 2020映画評


「荒野の誓い」 スコット クーパー監督 米 ☓

 産業革命後、社会が大きく変わろうとしているニューメキシコ州では先住民と「アメリカ人」との関係も社会の変化とともに変わりつつある両者の姿を描きました。 
 1892年、元軍人で現在は看守を務めるジョー(クリスチャン ペール)は収容されているシャイアン族の元酋長イエローホークとその家族を故郷のモンタナへ輸送する任務につきます。輸送の途中、コマンチ族に襲われた一家の生き残りロザリー(ロザムンド パイク)が加わります。開拓期の混乱がまだ残っているため多くの困難が待ち受け、イエローホークたちの協力を得てなんとかモンタナへ辿り着くのですが・・・。
 冒頭、白人の一家を情け容赦なく虐殺するインディアンの場面で観客は一気に映画の世界に引きずり込まれます。時代的に、先住民と侵略者との関係が軍隊の圧倒的な武力を背景に確定しつつ有る中、先住民を人として認めない差別主義者や逆に冒頭の場面のように白人を虐殺する部族もまだ残っていて、その中で体験を通して両者がお互いを理解しようとする姿が救いです。
 原題は「hostiles」(敵対的)です。
 タバコは、多少登場する程度でした。(☓)

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