無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「ラーゲリより愛を込めて」

2022-12-31 | 2022映画評


「ラーゲリより愛を込めて」 瀬々敬久(ぜぜ たかひさ)監督 ☓

 ソ連の強制収容所(ラーゲリ)に戦後も抑留されていた山本幡男を描いた辺見じゅんの「収容所(ラーゲリ)から来た遺書」を映画化しました。
 ハルピンでソ連軍に追われた山本一家は逃げる途中夫(二宮和也)がケガをして動けなくなり妻(北川景子)と子どもたちだけが日本に帰国します。一方幡男はロシア語が話せたためかスパイ容疑で戦犯となってしまいます。シベリアの過酷な自然と労働で倒れる仲間を「希望を持って生きるのだ、いつか帰れる」と幡男は励まし続けます。ところが、自分自身が病に倒れてしまうのでした。

 犬のクロが泣かせます。でもあのシーンは本当に虐待にならないのかちょっと心配しました。氷をプラで作ったのかな?そこまでするかな。クロ役の犬に聞いてみたい。
 生還した仲間たちもそれぞれ失った家族がいることや、日の丸が実は血の丸だという戦争の残酷さを描いていますが、できれば本物の写真とかフィルムをラストに見せてほしかったです。

 タバコは、ソ連の兵士やなぜか食べ物も少ないのに作業の合間にタバコを吸っている日本兵が何人かいました。



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「ハッピーニューイヤー」

2022-12-30 | 2022映画評


「ハッピーニューイヤー」 クアック ジヨン監督 韓国 ○

 年末の高級ホテルを舞台にホテルに関わるさまざまな立場の人々の恋物語を描いた「グランドホテル」形式のハッピーな作品です。
 クリスマスが近い高級ホテル「エルムス」に訪れたのは就活に失敗し彼女にも振られた自殺願望の青年、娘の結婚式をするのはドアマンのかつての恋人、ミュージカル女優になりたいルームキーパー、強迫観念が強いCEO、15年来の男友達に告白できないマネージャー、そして何度見合いをしてもうまくいかない外科医などの恋の顛末をカウントダウンまで描きました。

 自殺願望の青年をなんとか思いとどまらせようという取り組みが笑えます。ホテルには直接関係はないマネージャーの弟くんや超高級車でやってくる占い師が登場時間は短いものの重要な役割を担っています。
 個人的にはモーニングコール担当6番と自殺願望の青年とのやりとりが面白かったです。モーニングコールをAIではなく(!)生の人間が対応しているなんてさすが高級ホテルです。
 年末のショッピングモール内の映画館で観ましたが、映画のおかげで観た後の買い物を楽しく済ませることができました。
 韓国映画界はどのジャンルも面白い作品が粒ぞろいですね。

 タバコは、なし。無煙です。


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「月の満ち欠け」

2022-12-29 | 2022映画評


「月の満ち欠け」 廣木隆一監督 ☓☓ PPライター

 佐藤正午直木賞受賞作の同名小説を映画化しました。
 小山内堅(大泉洋)は妻梢(柴咲コウ)と娘の瑠璃と幸せな家庭を築いていました。ところが不慮の事故で妻子が亡くなってしまい、日常は一変しました。そんな堅のもとへ三角(目黒蓮)と名乗る男が現れ事故の当日実は瑠璃は自分に会いに来ようとしていたことや三角と学生時代に出会った瑠璃(有村架純)との運命的な出会いについて語り始めるのでした。

 「生まれ変わり」がテーマです。原作の愛読者としては、映画化されたことへの喜びがある反面映画にするにあたって省略されてしまった部分が多すぎることや田中圭演ずる正木が悪人過ぎるところはちょっと納得できません。また、ラストのクライマックスはもっと原作の名場面を映像でも表現してほしかったです。(映像なら実際の場面と魂の場面を重ねることが簡単にできたでしょうに・・・。もったいない。)小説と映画は別物として割り切る必要がありますね。映画だけでなくもっと感動できる原作を読みましょう。

 タバコは、有村演ずる瑠璃と正木が出会った場所が「タバコ専門店」で物語の重要な小道具にデュポンのライターが使われているので「原作どおり」にタバコ屋とライターが登場しました。田中圭が何回か喫煙しました。


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「冬の旅」(1985年)

2022-12-28 | 2022映画評


「冬の旅」(1985年) アニエス バルダ監督 仏 ☓☓☓

 18歳で畑の中で凍死した少女のそれまでを描きました。1985年のヴェネチア映画際で金獅子賞受賞作です。
 モナ(サンドリーヌ ボネール)はザックにテントと身の回りのものを積めヒッチハイクで旅をしています。ある田舎町にたどり着き洗車をして小遣いを稼いだり、ぶどうの木の剪定を手伝ったりしながら薄汚い匂いがする服で野宿をしています。ヒッチハイクで乗せてあげた女性との会話でモナが一度は就職をしたけれど自由になりたくて旅に出てしまったことなどがわかってきます。別の家政婦をしている女性はモナのヒッピーという生き方に憧れを感じます。袖振り合う人々にさまざまな思いを感じさせる存在なのでした。

 若い女性の一人旅を描く中で人々の人生観がさり気なく描かれていてモナを肯定する人批判する人様々な人生観が伺えます。その所有欲とか金銭欲とは別の次元で生きている自由奔放さは当時の憧れだったのでしょうか。しかしながらその終焉は残酷です。
 物語とは直接関係ありませんが、2022年のワールドカップサッカーでアフリカ代表の「モロッコ」が活躍しましたが、この映画の中でぶどう畑の労働者として多くのモロッコ人が登場しました。当時からヨーロッパで暮らしていたからサッカーもヨーロッパ並の実力なのだと思いました。

 タバコは、常に誰かからもらったり自分で紙を巻いて作ったりして吸っていました。若いのに咳き込んでいたのは喫煙のせいでしょうね。また、ヒッピー仲間で「草」(たぶん大麻とかかな?)を回して吸っていました。


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「桜色の風が咲く」

2022-12-27 | 2022映画評


「桜色の風が咲く」 PG12 松本准平監督 ○ ☆☆

 盲ろう者で初めて大学教授になった福島智さんと母令子さんの実話を基に映画化しました。
 3人兄弟の末子智は幼児期に視力をなくします。献身的な母親(小雪)教師の父(吉沢悠)、二人の兄に囲まれ智(田中偉登 たなかたけと)は元気に盲学校の高等部に入学、親友もできささやかな恋心を抱く相手も現れます。ところが今度は聴力まで失ってしまうのです。
 孤独と絶望に苦しむ息子とのコミュニケーションを取るため令子はとっさに指点字を試します。それがきっかけとなり、精神的に立ち直った智は「光も音も感じないが考えることはできる。きっと自分にしかできないことがある。」と復学し前を向いて歩き始めるのでした。

 12年ぶりの映画出演という小雪が辛く苦しい母親を好演しています。こういう人がいることを全く知らなかったのでそういう意味でも意義のある作品です。母親を取られてしまっている兄弟のストレスや権威主義の医師(リリー・フランキーがうまい)なども描いています。
 いわゆるお涙頂戴の難病ものに終わらず観客にも前向きに生きようという勇気をくれる秀作です。(☆☆)
 映倫へ質問、なぜ「PG12」の年齢制限がついたのでしょうか?
 日本語字幕が大変わかりやすくできれば全作品につけてほしいものです。

 タバコは、なし。無煙です。

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「宮松と山下」

2022-12-26 | 2022映画評


「宮松と山下」 関友太郎、平瀬謙太朗、佐藤雅彦監督 ☓☓☓ PPホープ

 関、平瀬、佐藤の3名による監督集団「5月」による初長編映画です。
  サムライに切られたかと思うとヤクザに撃たれ、夫婦で歯磨きをしていたり・・・。映画のエキストラとして重宝される宮松(香川照之)ですが実は過去をなくしていました。突然「テレビを見ていて気がついた」というかつての仕事仲間(尾美としのり)が京都の撮影所に訪ねてきました。実は「山下」という名でタクシー運転手をしていたのです。成り行きで妹に会うためにかつて住んでいた横浜へやってきますがそこで、妹が結婚した相手(津田寛治)と出会います。過去が少しずつ思い出せるのですが・・・。

 エキストラの場面なのか宮松の実生活なのかなかなか明らかにしない脚本が面白いです。「自分は一体どんな人間だったのか?」最後まではっきりさせずちょっと未消化のまま終わってしまいます。そういう不満はありますが、映画ファンには撮影の裏側を見ることができ別の満足感はあります。

 タバコは、制作があの「電通」ですからタバコの宣伝が非常に巧みで記憶を取り戻すきっかけが「ホープ」を吸うというこれ以上ない宣伝効果でした。
 できたての監督集団にはきっと資金不足だったのでしょう。そこへ入り込むところが流石です。
 喫煙させられていた香川、尾美、津田の3人はいずれも1965年生まれ、そろそろタバコ指数による健康被害が出てくるお年頃なのでは・・・。お気の毒に。


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「Dr,コトー診療所」

2022-12-25 | 2022映画評


「Dr,コトー診療所」 中江功監督 ○ 東宝

 2003年、2006年に連続テレビドラマとして人気があった作品を、劇場版として出演者もそのまま時代も16年後の設定で映画化しました。
 日本の西端にある自然豊かな孤島志木那島に19年前にやってきた五島健助(吉岡秀隆)はすっかり島民に溶け込み妻の看護師彩佳(柴咲コウ)とともに島の医療を一手に引き受けていました。
 しかし、時代は少しずつ変わり診療所の統廃合の話が役所から五島のもとに相談されました。研修医として島にやってきた織田判斗(高橋海人)は一人忙しく働く五島に疑問を投げかけます。そんな折台風による増水でがけ崩れなどが発生し診療所はけが人で溢れます。その上彩佳と五島本人が体調を崩してしまうのでした。

 過疎と言われる地域の人材不足などの医療問題に今作では緊急災害医療の問題を絡ませドラマチックに描きました。テレビドラマを見ていなくても十分楽しめる脚本です。(脚本 吉田紀子)クライマックスはちょっとやりすぎかなと思いますが、現実的にはもっと大変なことになっているのでしょう。個人的には自衛隊が登場しなくても島民同士で助け合う姿が良かったです。
 ラストまでの演出がたくみで中島みゆきのテーマ曲「銀の龍の背に乗って」にかぶせるタイミングが絶妙でした。

 タバコは、なし。無煙です。


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「母性」

2022-12-24 | 2022映画評


「母性」 廣木隆一監督 ☓☓

 湊かなえの同名小説を映画化しました。
 女子高生(永野芽郁)が自宅で自殺、それとも他殺だったのか?母親と娘それぞれの回想が同じ場面でも全く異なる親子関係の齟齬を描いています。
 お嬢様のルミ子(戸田恵梨香)は母親(大地真央)から褒められることだけを意識した生活をしています。絵画教室の一人田所(三浦誠己)との結婚も母親が田所の絵画を気に入ったことがきっかけでした。そして娘が生まれ3人は幸せに暮らしていましたが、台風の夜大きな災害が襲い幸せを壊してしまうのでした。

 母親と娘の関係を考えさせる作品です。戸田と大地、戸田と永野、の母娘関係だけでなく田所の母親(高畑淳子)と娘との関係も描かれます。最も濃密なのが高畑の演技でこの作品の印象は一言でいうと「高畑の烈演」に尽きるでしょう。

 タバコは、田所が喫煙者で度々喫煙、田所の妹の調理人の男も厨房内で喫煙していました。


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「パラレル・マザーズ」

2022-12-23 | 2022映画評


「パラレル・マザーズ」 R15+ ペドロ アルモドバル監督 仏西合作 ☓☓

 年齢が親子ほど離れた二人のシングルマザーがほぼ同時に女児を生んだことから起きる悲劇を忘れてはならないスペインの歴史とともに描きました。
 写真家として成功しているジャニス(ペネロペ クルス)は内戦で虐殺された曽於祖父らの遺体を発掘してほしいと専門家アルトゥロ(イスラエル エルハルデ)に依頼します。それがきっかけとなり二人は深い関係となりジャニスは妊娠します。出産のとき同じ病室のアナ(ミレナ スミット)と親しくなり二人はほぼ同時に女の子を生みます。
 しばらくして赤ちゃんを見たアルトゥロは「自分に全く似ていない。」と不信感を表します。ジャニスは遺伝子検査をしますが、「生物学的に親子関係はない。」という結果になり苦しみます。
そんな折アナから連絡があり彼女の子が突然死したことを告げられるのでした。

 赤ちゃん取り違え、乳児突然死、その上内戦の記憶保存といったスペインならではの問題、その上母親と娘の関係、集団レイプなど一つの作品にたくさんのテーマがあります。取り違えた病院の責任は全く問われていないことにちょっと違和感はありますが、それを追求すると尺が長くなりすぎかな。

 タバコは、アナの母親が喫煙者で何回か喫煙、ペネロペ クルスもタバコを口にしました。彼女もタバコ露出が多い俳優です。

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「アフター・ヤン」

2022-12-22 | 2022映画評


「アフター・ヤン」 コゴナダ監督 米 ○ ☆

 アレクサンダー・ワインスタインのSF短編小説を映画化しました。
 近未来、茶葉店を営むジェイク(コリン・ファレル)は妻と幼い娘とヤンと名付けられた家事ロボットと4人の生活を慎ましくも楽しく過ごしていました。ところが、ヤンが故障し兄として慕っていた娘が深く悲しむ姿に父親はなんとか修理ができないかと奔走します。修理の過程で中古で手に入れたヤンのメモリにはある女性の姿が度々残っていることに気づくのでした。

 佐藤正午の小説「月の満ち欠け」を彷彿とさせる物語そのものの独創性に加え、メモリという記憶を映像化した画面の美しさが大変印象的です。(☆)白人の夫、黒人の妻、中国人の養子、そしてロボットと家族の構成がヴァラエティーに富んでいます。冒頭の4人組ダンスコンテストが楽しい。
 SF映画を観ていてよく感じますが、科学技術は進歩しても森や植物への親近感や生活の一部、この作品ではお茶を丁寧に淹れるなどが変わらないつまり人間の本質は変わらないのだと実感します。

 タバコは、なし。無煙です。


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