無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「チョコレートな人々」

2023-02-28 | 2023映画評


「チョコレートな人々」 鈴木祐司監督 ○ 東海テレビ

 豊橋市に本店がある久遠チョコレートの代表夏目浩次さんを19年間追ったドキュメンタリーです。日本民間放送連盟賞を2021年に受賞したテレビ番組の劇場版です。
 障害者やマイノリティの人が働きやすい職場をと小さなパン屋から事業を起こした夏目でしたが、パンは賞味期間の都合でロスが多いためチョコレートの製造に切り変えます。理由はチョコレートなら失敗しても余ってももう一度作り直すことができるからです。フレーバーやデザインの工夫、そして様々な特性を持つ障害者がどうやったら働きやすくなるのか、どんなことならできるかのかと条件を整えることで給料を払える会社になっていきます。

 「一人でも社会を変えられる」つまずいたり誤解されたりしながらも、卑屈にならず突き進む夏目の姿は見る人に勇気と希望を与えます。
 東海テレビのドキュメンタリー作品は良質ですね。
 たまたま、聴覚障害を持つ子が交通事故死し、その賠償金をめぐる裁判で障害者差別の判決がニュースになっていましたが、あの裁判官に是非観てほしい作品でした。

 タバコは、なし。無煙です。

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「湯道」

2023-02-24 | 2023映画評


「湯道」 鈴木雅之監督 ○(おまけ)東宝

 脚本の小山薫堂によるお風呂愛全開のオリジナルストーリーです。
 建築家の史朗(生田斗真)は仕事がうまく行かず、弟の悟朗(濱田岳)が父親の家業を継いだ銭湯に帰省します。実は将来がない銭湯をやめてマンションにしてしまおうという計画がありました。
 史朗はボヤ騒ぎで怪我をした悟朗に代わってスタッフのいづみ(橋本環奈)と常連さんたちに励まされながら番台に立ちます。
 一方「湯道」の道場では郵便局員の横山(小日向文世)が修行をしていました。そのほか「源泉かけ流し至上主義」の評論家(吉田鋼太郎)、湯道家元(角野卓造)、家元代理(窪田正孝)などがそれぞれのお風呂道を披露しています。
 
 「湯道」のきっかけは脚本家がお風呂好きだったことと、「YOU」と「湯」で「オンリーユー」とか「ユー」の名曲がたくさんあることだったのではないかと思います。天童よしみが聴かせてくれました。特にラストの「ユーアーマイサンシャイン」の演出がみんな楽しそうで、裸はたくさん出てきますがインティマシーコーディネーターがきちんと仕事をしていたことが伺えます。

 タバコは、お風呂屋の外でチラッとタバコが映ったような気がしますがおまけの○です。


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「シャイロックの子供たち」

2023-02-17 | 2023映画評


「シャイロックの子供たち」 本木克英監督 ○ 松竹

 テレビドラマ化もされた池井戸潤のベストセラー小説を独自の登場人物を登場させた映画版オリジナルストーリーです。
 東京第一銀行長原支店で現金紛失事件が起きます。支店長他の上層部はなかったことにしてしまおうとします。ベテランお客様係の西本(阿部サダヲ)と北川(上戸彩)田端(玉森裕太)は真相を探っていくうちにその陰には10億円もの大金の融資が絡んでいることに気がつくのでした。

 ギャンブル、連帯保証人などでお金が理由で人生狂わされている人や明らかに犯罪行為に走って銀行員としての魂を悪魔に売ってしまった人が描かれます。一方労働環境としては大問題なパワハラ上司(杉本哲太の怪演が見もの)、そのせいで心を病んでしまった職員など会社のモラルも描かれます。
 ラストは「倍返し!」の池井戸ならではのオチもあります。
 橋爪功、柄本明、柳葉敏郎、佐々木蔵之介、佐藤隆太の競演が作品を盛り上げています。社会派エンターテインメントです。
 次回作では女性にもっと活躍してほしいものです。

<蛇足>私が脚本だったら(筆者の妄想)
ラストに演劇のシャイロックを阿部サダヲで再登場させ「悪金は返せばいいってもんじゃない!」と言わせたかった。

 タバコは、なし。無煙です。

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「柳川」

2023-02-16 | 2023映画評


「柳川」 チャン リュル監督 中国 ✗✗

 余命いくばくもない事を知った北京に住む中年男が青春時代に憧れていた女性を訪ねる物語で、福岡県の柳川を舞台に描きました。
 ドン(チャン ルーイー)は末期がんを宣告されたことをきっかけに20年前に突然消えたアーチュアン(ニーニー)を訪ねる旅に出ようと兄チュン(シン バイチン)を誘います。20年ぶりに兄弟は福岡県の柳川へでかけます。そこで小さなバーで歌うアーチュアンと再会するのでした。

 柳川観光もしっかりしながらも消えていった時の流れをそれぞれの思いで確認していきます。なぜ柳川かというと「柳川」の北京語読みが「リウチュアン」で「アーチュアン」と重なることがきっかけです。
 ちなみに柳川はオノヨーコさんの実家がかつてあったということで、その縁でジョンとヨーコのバラードが効果的に使われていました。
 なお、池松壮亮と中野良子(歌がうまい!)が出演しています。

 タバコは、末期がんのドンが喫煙者で、余命宣告されても喫煙しています。兄のチュンも喫煙者で、民宿のオーナー役の池松にタバコを勧める場面がありました。中国ではまだタバコがコミュニケーションツールになっているのでしょうか。
アーチュアンも歌が仕事なのに喫煙していました。日本側の出演者は喫煙せず。健康情報は日本の方が確実に拡がっているようです。


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「ピッグ」

2023-02-15 | 2023映画評


「ピッグ」 マイケル サルノスキ監督 米 △
 
 「仕事のパートナーであるブタ」を盗まれた孤独な男がブタを奪還するために戦う姿を描きました。
 オレゴンの森のなかで暮らす男ロブ(ニコラス ケイジ)はトリュフハンターのブタと暮らしています。ブタは優秀なハンターで「彼女」が探しだす最高のトリュフは週に一度引き取りに来るアミール(アレックス ウルフ)を喜ばせます。ところがある晩ブタが盗まれてしまいます。怒ったロブはアミールの助けを借りながら街へ出て犯人とブタを探し出すのですが・・・。

 アミールとのブタ探しの過程でロブの過去が少しずつ明らかになります。それとともにアミールの家族関係などがあぶり出されます。ロブと過去に関わった人々とのやり取りが秀逸です。「本当にやりたいことをやっているのか」「そんなことを心から求めているのか」それぞれが自分の人生を問い直すその表情の微妙な変化が見どころです。地味な俳優さんばかりですがみんなうまい!

 タバコは、トリュフを扱うレストランのスタッフが外で喫煙していました。マイナスメージなので△です。


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「バビロン」

2023-02-11 | 2023映画評


「バビロン」 R15+ ディミアン チャゼル監督 米 ☓☓☓・・・

 1920年代のアメリカ映画界を舞台にサイレントからトーキーへ変わる激動の時代を派手に描きました。
 ジャック(ブラッド ピット)はサイレント映画のスターです。今日も乱痴気騒ぎのパーティーの主役です。同じ会場に潜り込んだ俳優志望のネリー(マーゴット ロビー)と映画製作者に憧れているメキシカンの青年マヌエル(ディエゴ カルバ)の二人が出会います。パーティーのドサクサの中ふたりともそれぞれ仕事にありつきますが・・・。

 冒頭の乱痴気パーティーが下品なシーンの連続でうんざり。裸に近い服装の女性が何人も登場しますがインティマシーコーディネーターが全員の俳優ときちんと話をしているのか心配になります。(「キネマ旬報2023年2月上旬号浅田智穂インタビュー」参考)
 カジノのボスが楽しむのは地下の薄暗い中での気味の悪いパフォーマーたちで極めつけは思い出すとムカついてくる「あの」シーン。
 結局、189分のうちしみじみする場面は9分あったかどうか3時間はうるさいだけのどうでもいい映画でした。
 昔「エログロナンセンス」っていう言葉があったのを思い出しました。
 一言で言うと「ブルシットシネマ」ならぬ「エレ(ファント)シットシネマ?」
 ブラピを起用しお金をかけているのだから見終わったときに幸せになる作品にしてほしかったです。ブラピの無駄遣いするな。
 唯一黒人のトランペッターのエピソードだけは良かった。

 タバコは、ほとんど全員喫煙者、常にタバコを持っていました。「動物は傷つけていません。」と出ましたが「俳優も動物です。傷つけないで!」


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「イニシェリン島の精霊」

2023-02-10 | 2023映画評


「イニシェリン島の精霊」 PG12 マーティン マクドナー監督 英☓☓

 第79回ヴェネツィア国際映画祭で脚本賞など受賞した作品です。 
1923年アイルランド地方の孤島を舞台に友情の破綻を描きました。モチーフはアイルランドに伝わる精霊バンシーです。
 海の向こうの本島ではドンパチと内戦の音が聞こえてきます。孤島で牛を飼っているパードリック(コリン ファレル)にはほとんど影響はなく、お楽しみは午後2時に村のパブで親友のコルム(ブレンダン グリーソン)とビール片手におしゃべりを楽しむことでした。しかし、そのコルムから「もうお前とは喋らない」と絶交を言い渡されます。エイプリルフールの冗談かと納得するパードリックにコルムは「自分が生きてきた証に作曲をして音楽を残すのだ。そのためにはお前のバカ話に付き合っている暇はない。今度話しかけてきたら指を切る!」と宣言します。本気にしないパードリックに対し・・・。

 コルムの宣言も異常ですが、村の他の人々もなにか変です。絵本の魔法使いかと思うような預言者やちょっと即物的な神父、暴力的な警官など奇妙な人が登場し不思議な雰囲気を醸し出しています。中でもこの作品の見所はその島の自然環境です。断崖絶壁の姿が映画に趣を与えています。そして犬、ロバ、牛、馬といった動物たちが素晴らしい演技でおどろおどろしい作品の救いになりました。「アニマル賞」があればみんなで受賞まちがいなし。

 タバコは、1923年なのでパブも禁煙ではありません。紙巻たばこ、パイプなどが登場しました。


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「日本原 牛と人の大地」

2023-02-09 | 2023映画評


「日本原 牛と人の大地」 黒部俊介監督 ○

 岡山県奈義町の陸上自衛隊「日本原演習場」内で今も農業を営む一家を追うドキュメンタリー映画です。
 日露戦争後旧陸軍によって強制買収され「日本原演習場」はその後占領軍の接収を経て今は自衛隊に引き継がれています。奈義町は自衛隊との共存共栄を目指し今も「入会権」は認められ演習場内での耕作をしています。しかし現在では内藤さん一家のみとなってしまいました。

 主役の内藤さんは大学紛争当時岡山大学の医学部学生でした。活動を通して地元に婿入し、酪農を通して現在まで50年余平和運動を続けています。最近では米軍との共同演習なども行われその際は2週間も畑に作業に入れずゲート前での自衛隊員とのやり取りは辺野古を彷彿とさせます。
 改憲がなんの遠慮もなく声高に叫ばれる今身近にある権力の姿を再確認させてくれる作品です。


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「嘘八百 なにわ夢の陣」

2023-02-08 | 2023映画評


「嘘八百 なにわ夢の陣」武正晴監督 ☓

 中井貴一演ずる古物商と佐々木蔵之介演ずる陶芸家の二人が巻き起こす詐欺まがいの物語第3作目です。
 「秀吉七品」と言われる美術品のひとつ「鳳凰」だけがまだ見つかっていません。それに目をつけたいつものコンビが一儲けを企みます。一方「TAIKOH」と名乗る「波動アーチスト」(安田章大)がカリスマとして世間でもてはやされていました。はたして詐欺コンビは一攫千金をつかめるのでしょうか。

 詐欺ゲームの面白さがほとんどありません。全体に安っぽい作り、ラストの授賞式の椅子がパイプ椅子ってありえないのでは、ここはどーんと豪華な演出でないとどんでん返しになりません。小道具にもっとこだわってほしいものです。観客は騙されませんよ。中井と佐々木という俳優の使い方があまりにもったいない。詐欺映画はもっと痛快に騙してほしいものです。

 タバコは、冒頭とラストの詐欺関係者のたまり場になっている寿司屋の場面で宇野祥平がそれぞれの場面で喫煙していました。
 寿司屋でタバコっていつの時代ですか?京都保健所なんとかしてください。


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「レジェンド&バタフライ」

2023-02-04 | 2023映画評


「レジェンド&バタフライ」 PG12 大友啓史監督 ○

 東映70周年記念映画です。
 古沢良太の脚本で織田信長(木村拓哉)と濃姫(綾瀬はるか)の姿を戦国時代のラブストーリーに仕立てました。
 16世紀後半、尾張の織田信長は敵対する美濃の斎藤道三の娘濃姫と政略結婚します。大うつけの信長は嫁いできた濃姫に対し尊大に振る舞いますが実は武芸も知力も濃姫のほうが一枚上手でした。敵対する二人ですがある事件をきっかけにお互いを恋するようになります。しかし、時代がそれを許さず信長は「魔王」になっていくのでした。

 ジェンダーバランスも素晴らしく現代の時代劇です。記念作品に時代劇を選んだ東映の心意気も評価したいです。時代劇の文化を継承してほしいです。
 また、散り際の二人が見る夢物語が「タイタニック」を思わせる(?)スペクタクルでラブリーでこの作品の見所です。
 木村拓哉の俳優としての魅力も十分味わえます。

 タバコは、なし。無煙です。


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