無煙映画を探せ  

映画のタバコシーンをチェック。FCTC(タバコ規制枠組条約)の遵守を求め、映画界のよりよい発展を願うものです。

「哀れなるものたち」

2024-01-29 | 2024映画評


「哀れなるものたち」 R18+ ヨルゴス・ランティモス監督 英✗☆

 アラスター・グレイの同名小説を映画化しました。
 身投げした女性の遺体を手に入れた奇妙な外科医ゴドウィン バクスター(ウィレム デフォー)は彼女の胎児を取り出し遺体の脳に移植し電気ショックで蘇生させます。大人の体に赤ちゃんの脳を持ったベラ(エマ ストーン)は乳児から幼児そして少女へと驚きの速さで成長します。成長に伴い「もっと世界を見たい」と希望し金持ちのダンカン(マーク ラファロ)とともに冒険の旅に出るのですが。

 年齢制限があるようにエロくもあり外科医ということでグロテスクな場面もあります。ただ、ベラが娼館でさまざまな客と繰り広げるセックス場面はネチネチとしたいやらしさが全く無く、なにかアスリートがスポーツを楽しんでいるような爽やかさがあります。そして性に目覚めた時期を卒業すると自由や平等を理解し良識ある賢い「人」に成長していく姿が希望を与えてくれます。
 エマ ストーンが子どもの動きをよく観察していて見事に再現していました。

 タバコは、主役は喫煙しませんでしたが周囲では食事中も医学の授業中も喫煙していました。時代ははっきりわかりませんが馬車が主な移動手段で石炭自動車も走っていた頃です。


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「みなに幸あれ」

2024-01-25 | 2024映画評


「みなに幸あれ」 R15+ 下津優太監督 ✗

 「第1回日本ホラー映画大賞」受賞の監督による同名短編を商業映画用長編にしました。
 田舎の祖父母の元を訪れた看護学生の孫(古川琴音)はなにか違和感を感じます。祖父母も奇妙なことを言ったりしたりし認知症かと思うほどです。ところが実はこの村全体がある秘密のしきたりの元成り立っていたのです。

 「誰かの幸せは他の誰かの不幸が影にある」ということを言いたいらしく、妙な説教臭いセリフがあちこち出てきたり、子どもがいきなり世間ずれした小生意気なことを言い出したり、ホラーならしっかり怖がらせてくださいよ、と言いたいです。音だけが怖がらせムードですが、何がなんだかさっぱりわかりません。R15+なのでどれだけ怖いか期待していたのに・・・。次にホラーを見ることが恐怖です。

 タバコは、父親が喫煙しました。

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「ある閉ざされた雪の山荘で」

2024-01-24 | 2024映画評


「ある閉ざされた雪の山荘で」 飯塚健監督 ✗✗

 1992年に発表された東野圭吾のベストセラー小説の映画化です。
 新作舞台のオーディションが行われる山荘へ7人の若手俳優が招待されます。4日間の合宿で「雪で閉ざされた山荘で殺人事件が起きる」という架空の物語を演ずることになります。すべての行動がカメラで捕らえられ審査の対象となる、ということでそれぞれお互いを意識しながらもつつがなく始まります。しかし、ひとり、またひとりとメンバーが消えていくとともに感情がささくれだって来るのでした。

 前半は全員の行動を上から捉えるカメラの構図が面白いくらいで緊張感がありませんが、あるきっかけとともにサスペンス色がはっきり出てきて面白くなります。ラストは印象的です。(ネタバレすると面白くなくなるので簡単に)

 タバコは、参加者の一人役の間宮祥太朗が何回か喫煙します。外に出て吸うのですが他のメンバーが外に出てくると「ひとりじゃないとタバコを吸えない。」と遠慮というか受動喫煙への配慮をします。7人のうちの一人なので数字的には喫煙率が低い国の数字に近いです。ただ、間宮のように若い俳優が喫煙すると宣伝効果が上がるのでタバコ会社は嬉しいでしょう。本人が「東京リベンジャーズ」の頃と比べ随分老けたのはタバコのせいかもしれないけど・・・。


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「ゴールデンカムイ」

2024-01-19 | 2024映画評


「ゴールデンカムイ」 PG12 久保茂昭監督  ◯(おまけ)☆☆☆

 明治末期アイヌの埋蔵金を巡る争奪戦をアイヌ文化を織り交ぜて描いた大ヒット野田サトル先生のコミックを実写映画化しました。
 二百三高地の生き残り「不死身の杉元」(山崎賢人)はある理由でまとまった金が必要で北海道の大自然の中で砂金採りをしていました。そこで男からアイヌの埋蔵金とそれにまつわる刺青人皮の囚人の話を聞きます。その後ヒグマに襲われそうになっていた杉元をアイヌの少女アシリパ(山田杏奈)が毒矢で救います。ふたりはそれぞれの目的を達成するため力を合わせることにするのですが・・・。

 原作ファンとしてもパーフェクトの出来栄えです。原作のエッセンスをほとんど映像化しているのではないかと思える脚本、躍動的でワクワク感満載の音楽、アイヌ文化への強い思い、ヒグマや白い狼の見事なCG映像、表現としては原作を超えているかもしれません。また、筆者のような原作、並びにアイヌ文化への興味がある者だけでなく初めて見る人にもわかりやすいテロップが入り誰もが理解しやすかったのではないでしょうか。
 出演者がそれぞれ原作のイメージ通りでキャスティングも的を射ています。特殊メイク、アイヌ料理なども全く手抜きがありません。
 「生きろ!」というメッセージも強く伝わってきます。
 アシリパちゃんの変顔、とぼけた白石(矢本悠馬)が「名画に不可欠の笑い」を提供してくれます。
 録音も完璧で聞き取れなかったセリフなし。すばらしい。
 思わずパンフレットで復習したくなる秀作です。
 エンドロールあとも映像があります。慌てて席を立たないように。

 タバコは、アイヌコタン(アイヌの集落)でアシリパの叔父がキセルを口にしますが、タバコを吸うというよりはアイヌの木彫りの一つを紹介している、という印象でした。おまけの◯です。

パンフレットから






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「ティル」

2024-01-17 | 2024映画評


「ティル」 PG12 シノニエ チュクウ監督 米 ✗✗✗

 アフリカ系アメリカ人の公民権獲得運動を前進させるきっかけとなった「エメット ティル殺害事件」を描きました。
1955年、シカゴで暮らすメイヤー(ダニエル デッドワィラー)は夫を戦争で亡くし唯一の黒人スタッフとして空軍で働き14歳の息子エメット(ジェイリン ホーン)を育てていました。夏休みにミシシッピの綿花畑で暮らす親戚の家へ一人ででかけます。南部はシカゴとは違うから慎み深く喧嘩などしないよう繰り返し言い聞かせ旅立たせます。しかし、ちょっとした少年のいたずら心で白人女性に口笛を吹いたことで凄惨なリンチ殺人の被害に合い、無惨な姿で帰ってくるのでした。
メイヤーの白人社会全体を相手にした闘いが始まります。

ちょうどアメリカ大統領選挙の年でマスコミでは各州の地図と名前が度々報道され地域差もなんとなく理解できます。日本でも外国人差別が大きな社会問題になっているようにアメリカでは州によって違いはあるもののまだまだ差別は続いているようです。
さまざまな差別と闘う人々は立ち上がったメイヤーの勇気から勇気を分けてもらえる作品です。

タバコは、性や肌の色の違いなく皆さん喫煙されていました。
「動物に危害を与えていません。」という内容のテロップが出ましたが俳優も動物です。タバコの被害を浴びています。


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「声 姿なき犯罪者」

2024-01-15 | 2024映画評


「声 姿なき犯罪者」 キム ソン、キム ゴク兄弟監督 韓国 ✗✗✗

 この作品は2021年制作で日本公開は2022年で、筆者は映画館ではなくDVDでの鑑賞です。内容が振り込め詐欺被害抑止につながると思い紹介します。
 物語は建設現場から始まります。現場監督を任されているソジュン(ピョン ヨハン)は社長から呼ばれ「マンションに申し込んだのか。今度昇進させるから」と言われ喜びます。同じ頃妻の元へ「建設現場で事故がありソジュンが警察に逮捕された。」と電話が入ります。妻は本人に確認の電話を入れますがつながりません。追い打ちをかけるように警察から「逮捕するかも」との電話。するとソジュンの友人の弁護士なる男から「今すぐ7000万ウォン振り込めば示談にできる。」と電話で言われます。妻は慌ててスマホから指定の口座へ振り込んでしまいます。数分後やっとソジュン本人と電話が繋がり詐欺だったことがわかり、銀行へ急ぎますがすでに全額引き出されていたのでした。
 次の被害者はその工事現場の社長でなんと30億ウォンもの保険金詐欺被害にあい自死してしまうのでした。労働者たちは無給となり元警察官のソジュンは取り戻すため組織の中へ潜入します。うまくかけ子として中国のコールセンターの仕事につくのでしたが・・・・。

 ソジュンが詐欺のカモになったのは「マンション購入申し込み者名簿」が3000万ウォンで売られたからです。詐欺師たちは手に入れた名簿を活用し、手元にお金がない人でも恩着せがましくすぐに貸してくれるサラ金を紹介してとにかく振り込ませてしまうのです。
 詐欺師たちの成功の秘訣は掛け子が使う台本がいかに保護本能を利用し、共感をし、そして希望と恐怖を与えられるかにかかっています。その台本が他の組織に横流しされているのではないかという疑惑が持ち上がり内部分裂のきっかけともなります。
 本物の韓国警察にリサーチして脚本(台本ではないです)にしているので細部もリアルです。詐欺に働いている人たちも実は借金が返せなかったり薬物依存だったり傷のある人々で社会全体が変わらない限り詐欺はなくならないようです。
被害に合わないよう気をつけるしかありません。個人情報は気安く表に出さないほうがいいですね。アンケートとかも気をつけないと・・・。
 犯罪映画ですがクスッと笑える小ネタがいくつかあり救われます。

 タバコは、警察は喫煙しませんでしたが詐欺師たちは喫煙者が何人かいました。


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「コンクリート ユートピア」

2024-01-13 | 2024映画評


「コンクリート ユートピア」 オム テファ監督 韓国 ✗✗

 世界を大災害が襲いソウルで唯一奇跡的に倒壊しなかったマンションを舞台に非常事態の中で起きる普通の人々の狂気を描きます。
 大災害の後残ったファングンアパートには倒れたマンションに住んでいた人々も避難してきます。しかし、十分な水も電気も当然食料もなくファングンアパートの住民たちは無記名投票で避難民を追い出すことに決めます。秩序を保つために選ばれた代表はたまたま直前に起きた火災で活躍しただけで普段は知る人もいない目立たないヨンタク(イ ビョンホン)でした。防衛隊長となったヨンタクに目をかけられた若いミンソン(パク ソジュン)は他の住民への暴力で支配する兵隊のひとりになっていきますが、妻のミョンファ(パク ボヨン)は納得できません。そしてずっと留守にしていた若い住民が戻ってくると・・・。

 能登地震の映像を毎日見ているのでこの作品が生々しく見るのがつらい気持ちにもなりました。普通の人々が災害の被害者となり救援が期待できなくなると暴力での支配か、それとも人間的な協力して生き延びる選択を選ぶのか。「雌鳥が騒ぐ家は滅びる(韓国の格言)」らしいですが実際は女性たちが希望をつなぎます。
 イ ビョンホンの狂気の演技が恐ろしく盛り上げました。

 タバコは、何故か災害時なのにあるようでイ ビョンホンが何度か喫煙していました。ほかのパニック映画でもなぜか何もないときでもタバコだけは吸えるという場面がありますが、このことは筆者の「映画七不思議」のひとつです。


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「JFK 新証言 知られざる陰謀 劇場版」

2024-01-09 | 2024映画評


「JFK 新証言 知られざる陰謀 劇場版」 オリバー・ストーン監督 米 △

 1963年にダラスでパレード中に起きたJFK暗殺事件の真相をあぶり出すドキュメンタリー映画です。
 監督による映画「JFK」が91年に公開され翌年の92年に新法が可決され膨大な機密文書が公開されました。丹念な資料調べと新たなインタビューによる証言が加わり当時からずっと囁かれていた「真犯人は他にいる」という疑念を明らかにしていきます。

 ケネディが暗殺されていなかったらベトナムでアメリカ兵は死なずに済んだし世界中の紛争もより平和的な別の姿となっていただろうと思え、残念でならないです。世界の町にケネディの名がついた通りや建物などが今もたくさんあるということに彼が彼の地でも愛されていること、彼の信念に思いを馳せる人がたくさんいることの証明でしょう。

 タバコは、過去のフィルムでたくさん登場していて昔はひどかったという証明映画にもなっています。


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「ロスト・キング 500年越しの運命」

2024-01-07 | 2024映画評


「ロスト・キング 500年越しの運命」 スティーブ フリアーズ監督 英 ◯ ☆
 
 500年間行方不明だった英国王リチャード三世の遺骨を発見するプロジェクトに取り組んだ女性の実話をもとにした作品です。
 フィリッパは持病がありますが、普通に仕事をこなしています。それなのに、上司から不当な評価を得てやる気をなくしますが、別居中の夫ジョン(スティーブ クーガン)は二人の息子の教育費がかかるから仕事はやめないでと言います。そんな折息子の付き合いで「リチャード三世」の舞台劇を観て彼も自分と同じように歴史的に不当な評価を受けているのではないかと調べ始めるのでした。

 実績より若さが評価されたり、会議でも女性は感情的になるからと嘲笑されたりジェンダー的に考えさせられる場面があります。また、大学の教授と素人の研究者では扱いが差別的になるなど(それなのに素人の成果を大学の成果に盗み取る・・・よくある話かな?)階級差別も描かれます。
 二人の息子と別居中の夫がフィリッパを陰ながら応援する姿がこの作品の隠れた肝です。
 英国の英語が落ち着いた語り口で耳に心地よいです。リチャード三世役のハリー ロイドが二役を演じ分けの演出も良くできました。
 日本でも歴史的に悪役にされている人物でのリメイクも面白そうですね。菅原道真とか吉良上野介とかでしょうか。


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「配信犯罪」

2024-01-05 | 2024映画評


「配信犯罪」 チェ ジュヨン監督 韓国 ◯ ☆

 違法ライブ配信というデジタル性犯罪の犠牲になっている恋人を救うためにパソコン相手に奮闘する青年を描いたサスペンススリラーです。

 フリーランスで仕事がないドンジュ(パク ソンホ)は友人から届いた違法ライブ配信を受信していたことを恋人のスジン(キム ヒジョン)に知られ破局してしまいます。スジンの誕生日になんとか寄りを戻そうとサプライズパーティーの準備をしていたドンジュのパソコンにジェントルマンと名乗る不気味な男(パク ソンウン)とスジンが映るのでした。そして・・・。

 デートドラッグ、仕事を紹介する、という相手を部屋に連れ込むきっかけなど、どこかで断罪されていそうな(されなかった?)展開がパソコン画面に流れます。ライブ配信のホストであるジェントルマンは言葉巧みに受信者たちから金を集めていく姿は異様ですが、言っていることは納得できることもありなかなか見どころのある作品です。
 ラストのどんでん返しがお見事です。そのためには冒頭の数分をきちんと観ましょう。またエンドロールのあとオマケ映像あります。
 匿名だと思って気軽にSNS場で誹謗中傷したり、誹謗中傷にいいね、をしたりしている人は必見です。

 タバコは、なし。無煙です。


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