曜日のない暮らし

日々の暮らしにあるささやかで素晴らしい瞬間
暮らしと心を癒してくれる生き物たち
山本弘三の写真を中心にした日記帳

温州みかんの両親が分かりました

2016年12月08日 | 日記

今日の花

ピンクの椿 ピンクと言う色は暖かさとやさしさを感じさせます。

 


 今朝、日本農業新聞を開くと一面に「温州ミカンの親 判明」と言う見出しが目に入りました。農研機構が昨日発表したそうです。

温州ミカンと言えば普通にみかんと呼ばれている柑橘ですが日本でみかんを知らないという人はまずいないと思います。そしてみかんを食べたことが無いという人もほとんどいないでしょう。最近バナナに負けて2位になりましたがみかんは日本で消費される果物の中で長年の間首位の座にありました。それほどポピュラーな果物ですが何処でいつどのようにして生まれたのかは全く分かっていませんでした。いろんな状況から推測して4~500年前に鹿児島県の長島で生まれたのではないかと考えられています。真実かどうかは分かりません。そのように記録は何もなく発生について何もわかっていないのですから何と何の交雑で生まれたかもわかりませんでした。所が最近は科学の進歩によって遺伝子に書かれている情報をすべて読み取ることができるようになりました。国の研究機関の農研機構がみかんの遺伝子の解析をしてついにみかんの両親を突き止めたようです。発表によると、みかんの種子親は紀州みかん(小みかん)で花粉親は九年母(クネンボ)であることが遺伝子解析で判明したそうです。これは十分納得できる答えではないでしょうか。小みかんは古くに中国から伝えられた柑橘で粒は小さいながら味と香りが良いことから日本で栽培が広がっていました。明治になる前には日本の主要柑橘でみかんと言えばこの小みかんを差していました。紀伊国屋文左衛門が嵐をついて江戸にみかんを運び大儲けをした話は有名ですがこのみかんは紀州みかん(小みかん)だったのです。古典落語に「千両みかん」と言うのがありますがこれに出てくる一粒のみかんも小みかんだったのでしょう。温州ミカンのお母さんはこんなみかんだったのです。お父さんの九年母はご存知の方は少ないと思います。現在は経済品種としては栽培していない品種です。我が家にも私が子供の頃には一本だけありましたが今はありません。九年母はインドシナの原産で沖縄・九州を経て古い時代に日本に入りました。実は大きくて味は濃厚ですが独特のにおいがあって好き嫌いの分かれるみかんです。テレピン油に似た独特のにおいです。それでも江戸時代までは柑橘として大事な栽培品種の一つでした。温州ミカンはこの癖のある2品種の間に生まれたのですが双方の良い所を受け継いで生まれた幸運児だと思います。小みかんの味の良さと剥きやすさ、九年母の実の大きさを受け継ぎ種が無く食べやすく豊産性であるなどかなりいいとこ取りの幸運児だったようです。そして熟期が早いのも世界的に見て優れています。

何はともあれ温州みかんの両親が分かったことは今後の育種の上でも有意義なことです。

 めでたいな !    ああ めでたいな !

 


今日の音楽 (らんらんさんより)

Puccini : Gianni Schicchi より
Kathleen Battle sings "O mio babbino caro" 
「私のお父さん」

 

 

O mio babbino caro    お父さまお願い
O mio babbino caro,     ああ!私のいとしいお父さま
Mi piace,     好きな人がいるのよ
È bello, bello;     とてもとても素敵なの
Vo’ andare in Porta Rossa     私 ポルタ・ロッサへ行きたいの
A comperar l’anello!      指輪を選びに
Sì, sì,    そう そうなの
Ci voglio andare!      どうしても行きたいの
E se l’amassi indarno,      だからもし その愛が叶わぬなら
Andrei sul Ponte Vecchio,      ヴェッキオ橋へ行き
Ma per buttarmi in Arno!     アルノ川に身を投げてしまうわ
Mi struggo e mi tormento!     私は思い焦がれて苦しんでいるのよ
Dio, vorrei morir!     ああ神様 いっそ死んでしまいたい!
Babbo, pietà, pietà!...      お父さまお願い かわいそうと思って!


とてもやわらかな美しい声ですね。キャスリーン・バトルの声ははリリック・コロラトゥーラというのでしょうか。らんらんさんまた教えてください。


みかん

12月の贈り物はみかんが一番

 

最も熟するのが早い 極早生みかん

 

みかんの中で最もおいしくて食べやすい早生みかん

 

 

長く貯蔵ができて味の濃厚な晩生みかん 青島みかん

 

500年くらい前に生まれた温州ミカンは現在いろいろな熟期と品種に分かれています。でも生まれたときにはたった1本の木でした。

偶然に九年母の花粉が小みかんに受粉され、できた種が運良く発芽し、誰に踏まれることもなく大きな樹に成長できて、人間に食べられて美味しいと感じられ、何百年も守られて現在の温州ミカンができました。みかんには種がありませんから人が守らなかったらきっと一代で終わっていたことでしょう。温州ミカンの歴史のことを思いながらみかんを味わってみて下さい。また一味違うかもしれません。