おー。今までに見たことのない大集団がこちらをめがけて飛んで来ている。
右に左にと振られながら。しかも隊列を乱している。上空は風が強いのであろう。
先頭が入れ替わり立ち代りしつつ健気な姿がとって見えるのである。
本当に私の頭上で方角を変え、二百五十メートルの山を越えようとしている。
その瞬間先頭が高度を上げたのであろう。まるで糸がついているかのように後方の集団が引きずられてゆくようにみるみるうちにより高くなった。
素晴しい光景だ。こんなにどきどきと興奮させられたのは久しぶりだ。
自然界に棲み、生きていくためとはいえ、このような過酷なことをなぜするのであろう。不思議である。がしかし、感動の場面でもあるに違いない。
新聞に由れば三月までは見ることが出来るとはあったが、ほとんど毎日このような行動が営まれていくのである。