日本公認会計士協会は、法規委員会研究報告第15号「監査人の法的責任に関する裁判例」を2013年6月27日付で公表しました。
この報告書は、「監査人の法的責任が問題となった民事裁判例について、事案や裁判所の判断の概要を説明するだけでなく、それらへの分析や論評を記載する等、様々な観点から検討を行ったもの」です。
以下の裁判例を取り上げています(目次より)。
1.日本コッパース事件
2.凸版印刷労働組合事件
3.日本債券信用銀行事件
4.山一證券事件①
5.山一證券事件②
6.フットワーク事件
7.福徳銀行・なにわ銀行事件(なみはや銀行事件)
8.足利銀行事件①
9.足利銀行事件②
10.日本長期信用銀行事件
11.I社事件
12.キムラヤ事件
13.ナナボシ事件
14.K社事件
15.そごう事件
16.ライブドア事件
研究報告によれば、これらのうち監査人の責任が裁判で肯定されたのは4件とのことです。被監査会社から請求された例が3件(4件のうち)で、株主などからの請求では1件(12件のうち)だけです。ただしこの1件は比較的最近のライブドア事件です。
この点に関し、研究報告では以下のように書いています。
「被監査会社の(元)株主(又は債権者)が原告となったケース(第2パターン)で監査人の民事責任が認められたものは、本稿執筆時においては1件のみであるものの、今後、第2パターンにより監査人に対する民事責任の追及がなされるケースが増加する可能性は十分にあるといえる。」
研究報告では、監査人側の予防策として、業務の品質の管理、監査調書の記載、監査手続の過程で会計問題を発見した場合の対応についてふれています。
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