会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

新しい資本主義、過度な株主還元見直しを 岩井克人氏(日経より)

新しい資本主義、過度な株主還元見直しを 岩井克人氏(記事冒頭のみ)

政府がいっている「新しい資本主義」について、学者の話を聞いた記事。

「「私は資本市場の機能不全に大きな問題を見ている。早大のスズキ・トモ教授の研究によると、日本の企業はバブル崩壊以降、売上高も従業員への給与も設備投資も横ばいで推移したが、配当金だけは4倍にも増えた。さらに自社株買いによって株主還元に拍車がかかった。株式市場は企業に成長資金を供給するのが本来の目的だが、実際は配当や自社株買いを通じて企業から株主に資金が流出している。しかも株主の3割は海外投資家、売買高では7~8割だ。市場が国富を収奪する場になってしまった

――なぜそうなってしまったのでしょうか。

「バブル崩壊後の株価対策や、グローバル化による海外投資家からの圧力によって、会社法制が欧米以上に株主重視的な方向に転換したことだ。いま海外投資家の間では、日本は最も買収しやすいカモと見なされている。これを欧米並みに戻さなければならない」

「経営者の怠慢も指摘せざるを得ない。経営者は次の成長に向け、生み出した付加価値を設備投資や研究開発、従業員に対する人的投資などに振り向けるべきだ。米国でさえ自社株買いの弊害が指摘されているのに、株主主権論に配慮して、株主還元で責任回避している。経営者は会社の存続と成長という義務を負っている。この義務は資本主義の根幹だ」」

伊藤レポート(ROE8%)の伊藤教授(一橋大学)と対決してもらうと面白いかも。

スズキ・トモ教授は、いろいろと議論があったオックスフォード・レポートの人です。

オックスフォード・レポート「日本の経済社会に対するIFRSの影響に関する調査研究(The Impact of IFRS on Wider Stakeholders of Socio-Economy in Japan)」の公表について(金融庁)

岩井教授は有名な学者で多数の著書がありますが、反IFRS本も出しています。

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