会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

グレタ演説への日本と欧米のあまりに大きな落差の裏には何があった?(現代ビジネスより)

グレタ演説への日本と欧米のあまりに大きな落差の裏には何があった?

ESGに関する解説記事。

日本企業は遅れているという論調です。

そもそも、「国連持続可能な開発目標(SDGs)」の源流は...

「SDGsは、1992年地球サミットの「アジェンダ21」2000年に2015年までの国際社会のゴールを定めた「ミレニアム開発目標(MDGs)」から直接の流れを汲んだもので、MDGsの目標期限が2015年に切れるため、その次の15年間の目標を立てるためのものだった。そのためSDGsは、2030年を期限とした新たな国際社会の目標という位置づけで、国連総会で全加盟国の支持を得て採択された。MDGsと同様に、飢餓、貧困、医療、基礎教育、ダイバーシティ、生物多様性、海洋保全、森林保全、気候変動、リサイクルなどで17のゴール、そのゴールを細かくした169の目標が設定されている。

SDGsの策定に向けた議論は、当時の潘基文国連事務総長によって2012年に始まるのだが、まさにニュー資本主義が活発化してきたタイミングに該当している。企業は、長期リスクに対する理解を深めたり、効果的なアクションを打ったりするため、すでに国際機関やNGOとの連携を積極的に進めていった時期だ。」

グローバル企業の対応は...

「グローバル企業たちは、見えてきた潜在リスクに目を向けることで、新たな事業機会を見出せるとも考えた。まさに「必要は発明の母」だ。2017年の世界国際フォーラム年次総会「ダボス会議」では、世界の経済活動の約60%を占める「食料と農業」「都市」「エネルギーと材料」「健康と福祉」の4分野で、SDGsで掲げられた各目標を追求すると、2030年までに年間12兆ドル(1320兆円)の経済成長機会があり、新たに最大3・8億人の雇用が創出されるというレポートが発表された。」

日本では...

「SDGsという掛け声はあれど、ニュー資本主義のグローバル企業のように、業界全体でSDGsから何を見出し、長期的な競争力に変えていくのか、収益性を高めていくのかというゴール、目標、スケジュールは、2020年に入っても多くの企業からは示されていない。」

「業界団体主導で経営陣にSDGsの存在が伝わった結果、企業の中ではSDGsという言葉だけが上意下達で推進されていった気配がある。」

「GPIFが始めた「ESG投資はSDGsをうまく活用した企業に投資する手法」というメッセージが、経団連などがSDGsに言及し始めたタイミングで、経営陣や一般メディアにも届き始める。その結果、「ESG投資は、2015年にSDGsとパリ協定ができたことで生まれた投資手法」というまったくのデタラメが日本で流布していくこととなった。これにより、ESG投資家は社会貢献に積極的な企業に投資するという説明や、投資家が利益よりも社会貢献に注目し始めたという虚構までもが、まことしやかに登場する事態となった。

企業はSDGsに関するアクションを発表する際にも、大半の企業は「SDGsに貢献します」というメッセージに終始し、それが長期的にどのような財務価値をもたらすのかに無頓着だ。これでは残念ながら、ニュー資本主義において生き残る経営にはなれない。」

この本の内容の一部をまとめた記事だそうです。


(電子書籍版)
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