パナソニックの前名誉会長への役員報酬が約15億円だったという記事。
「昨年6月にパナソニックの取締役を退任し、7月に死去した松下正治・前名誉会長が昨年度に受け取った役員報酬が、約15億円とみられることが関係者の話でわかった。」
内容は退職金だったようです。
多額な役員報酬は個別開示されることになっていますが、前名誉会長への支払いは、当期費用計上分でないため、対象外となっています。
「パナソニックが27日に公表した有価証券報告書には、この退職慰労金を含めた役員報酬の記載がない。同社は06年度に退職慰労金制度を廃止し、すでに権利を得ていた額だけを退任時に支払うことにした。この費用は同年度に会計処理したため、「昨年度の支出ではなく、今回の開示の対象外」(広報)という。」
現行ルールでは、多額かどうかは、支払い額ではなく、費用計上額で判定されるので、こういうことになります。
支払いベースでも開示すべきという学者のコメントも掲載されています。
「法政大学の胥鵬(しょほう)教授(企業統治論)は「役員報酬は投資家の重要な判断材料。高額なものは支払う段階で開示する仕組みに改めるべきだ」と指摘する。」
役員の退職慰労金などは、引当金処理が一般的になっているので、大きな退職慰労金支払いであっても、分割費用計上され、表に出てこない例が結構あるかもしれません。また、ストックオプションで支払っている場合には、ストックオプション会計に従って費用計上される金額・タイミングで判定するのか、それとも、オプション行使のタイミングとその時の時価で判定するのか、という論点もありそうです(現行ルールは費用計上時)。
こちらは米国企業の経営者報酬についての記事。上昇が続いているようです。また、ストックオプションによる報酬の割合が大きいそうです。
An Unstoppable Climb in C.E.O. Pay(NYT)
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