会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

東芝、決算発表3回目の延期の公算 監査法人が疑義=関係筋(ロイターより)

東芝、決算発表3回目の延期の公算 監査法人が疑義=関係筋

東芝が、2016年度第3四半期決算の発表を、さらに延期する公算が大きくなっているという記事。

WHの破産法申請などがあったので、それだけなら想定内ですが、延期の理由が問題です。

「今年度から同社の監査を担当しているPwCあらた監査法人が、15年度決算について疑義を指摘しているもようだ。」

「今回、3回目の延期の可能性が出ているのは、監査法人側からの指摘で、15年度の決算見直しの必要性が浮上しているとみられている。ある関係筋は、WH内での不適切行為の発覚とその調査を理由とした2回の決算延期は「言い訳に過ぎない」と指摘している。

「...昨年12月27日、東芝はWHが米国で手掛ける4基の原子炉の建設で「数千億円規模の損失が出る可能性がある」と突然、発表。その3カ月後の3月29日、WHは連邦破産法11条の適用を申請し、東芝は2016年度に約1兆円の純損失を計上する可能性がある。

会計や原子力の複数の専門家は、このような巨額損失が今年度に突然、発生したものとではなく、以前からコストの上振れや工期の延期などの損失要因が積み重なっていたと指摘していた。

別の関係筋によると、昨年末の段階では事業は順調としていたWHが突然、経営破たんに至ったことについて、WHに関する会計処理が適切だったのかどうかも含め、PwCあらた監査法人側は、15年度に遡って調査する必要性を東芝側に伝えているもようだ。」

監査人交代前から、報道等から、WHがあやしいということはわかっていたはずです。前任からの引き継ぎや交代後の期首残高の監査として、調べてなかったのでしょうか(あるいは現地監査人に調べさせる)。

たしかに、昨年12月に急に大きな損失が出てきたので、調べ直す必要はあるでしょう。しかし、3ヶ月もあれば、調査期間としては十分のようにも思われます。

もちろん、監査人としては、まわりのさまざまな思惑を忖度せずに、納得するまで徹底的に調べる必要はあります。

もし、過年度決算を大きく訂正するということになれば、念入りに調べたはずの金融庁や前任監査人は何をやっていたのかということになるでしょう。

「東芝株に3つの上場廃止リスク」日本取引所CEO(日経)

「日本取引所グループの清田瞭グループ最高経営責任者(CEO)は31日の記者会見で、東芝について「引き続き3つの上場廃止リスクを抱えている」と述べた。具体的には4月11日の四半期報告書提出、特設注意市場銘柄の指定解除、18年3月末までの債務超過解消を挙げた。」

東芝の特注解除、審査には長い期間が必要=JPXCEO(ロイター)

「審査には、前回の審査にかかった3カ月より長い期間が必要になるとの見方を改めて示した。」

御意見無用、ガバナンス無用のWHが破産法申請(FACTA)

「東芝の2015年に粉飾決算が発覚する数年も前からWHは企業統治の問題が囁かれていた。「かつてWHが三菱重工業と親密だった時も、WHは技術面での優位を理由に三菱重工の意見に耳を貸さなかった。東芝の傘下に入ってもそうした姿勢は変わっていないらしい」というものだった。WHはずっと不羈で、御意見無用の会社だったのだ。経営に節度を欠いていた東芝が、ガバナンスの利かないWHを傘下に収めたのだから放漫経営に歯止めがかかるどころか、負の相乗効果が表れたと見るべきだろう。ガバナンスを蔑ろにしたWHの経営が破綻し、野放図にリスクを取り続けた親会社の東芝まで解体されていくのは当然と言えば当然の成り行きだ。」
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