会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

資料改ざん、行員が認識 スルガ銀が発表「営業が圧力」(朝日より)

資料改ざん、行員が認識 スルガ銀が発表「営業が圧力」

スルガ銀行が、シェアハウス融資問題に関する内部調査の結果を公表したという記事。ずいぶんひどい状況のようです。

「関連融資は3月末時点で計2035億円、1258人分に達する。」

「スルガ銀は社内調査の結果、融資基準を満たすため、オーナーの預金を多くみせかける通帳コピーの改ざんや、売買契約書での物件価格の水増しがあったと説明。不正を「相当数の行員が認識していた可能性がある」という。ただ、行員が不正を指示したかは確認できていないという。

行内では営業業績へのプレッシャーが強く、不正を認識したのに融資され、審査部門の歯止めも利かなかった。営業幹部が審査担当を恫喝(どうかつ)した事例もあった。

また、横浜東口支店では不動産業者と一体となり、高金利のフリーローンを「融資の条件」としてセット販売した。米山社長は「銀行員の良識としてあり得るか。反省している」と話した。」

スルガ銀 相当数の行員、偽造認識 シェアハウス融資調査(毎日)

「融資にあたってスルガ銀には物件額の1割の自己資金が必要との内規がある。これをクリアするため、販売業者は実際の契約書とは別に、自己資金があるように見せかけた虚偽の契約書を作成し、スルガ銀から融資を引き出していた。スルガ銀の営業担当者が販売業者から両方の契約書をメールで受け取っていたケースもあった。営業部門幹部が、融資に難色を示す審査部の担当者を恫喝(どうかつ)するなど圧力をかけていたことも明らかにし、「増収増益を継続しなくてはならないという全社的なプレッシャーがあり、営業が審査より優位に立っていた」と指摘した。」

気になるのは、スルガ銀行がこの問題を単なるコンプラ問題として処理しようとしていることです。融資関係の重要書類が多く改ざんされていたわけですから、それに基づく引当金の計算も、あやしいはずです。つまり、不正会計問題・内部統制問題でもあるのに、何事もなかったかのように2018年3月期の決算発表を済ませています。監査人が軽く見られている証拠です。

「シェアハウス関連融資問題」について(スルガ銀行)

危機管理委員会という委員会が調査していますが、委員は弁護士だけで、会計専門家は含まれていません。会計数値への影響はまったく調べていないようです。

また、中古マンション投資への融資に関しても、不正があったと報じられており、シェアハウス関連だけ調べたのでは、不十分でしょう。

(朝日などの記事は、「危機管理委員会による 危機管理委員会による調査結果の要旨 」という資料から引用しているようです。)

当サイトの関連記事(中古1棟マンション投資への融資でも不正があるという記事について)
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最近の「不正経理」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事