大気社の取締役3名が、不適切な会計処理で過年度決算の一部を訂正することになった経営責任を明確にするため、辞任したという記事。
不適切な原価処理に伴う過年度決算一部訂正に係わる調査結果および当社の対応方針について
日興コーディアルほどではありませんが、不正に関する相当詳しい調査結果を公表しています。
その中で、不適切な経理(不適切な原価処理)の内容は以下の2つであるとされています(ごくありふれた不正です)。
「原価の先送り」(協力業者等に対する工事代金等について協力業者等に対する注文・支払を遅らせることにより、原価計上するべき工事原価の処理を行わず、次年度以降に、協力業者に対する注文・支払と当社における会計処理を共に先送りすることをいう)
「原価の付替え」(協力業者等に対して支払う工事代金等について、本来とは異なる工事案件のものとして協力業者に対する注文・支払および会計処理をすることをいう)
また、不正が行われた背景については、以下のように述べています(ごく一部を抜粋)。
「作業所長や工事課長は協力業者と長年の取引を続ける中で、担当する案件の工事発注において、当該案件に固有の採算面の事情を反映させた発注をするなど、協力業者と緊密な関係を築いており、その関係は工事部門以外からは見えにくい状況にありました。
このため、当社の作業所長が、採算の悪い工事案件の原価を採算の良い他の工事案件の原価に付替えて、当該案件の採算を実態より良く見せる行為は、工事部門の職務権限の範囲内で行い得る状況にありました。」
「東京地区においては大型ビル建設が相次ぎ、環境設備事業部東京本店は目標達成のため低採算での受注を増加させ、不適切な原価処理がますます拡大する背景となりました。」(他の建設会社は大丈夫なのでしょうか。)
不正経理の原因については以下の点を挙げています。
(1)原価処理に関するコンプライアンス知識の不足
(2)利益優先の事業経営
(3)工事発注業務に対する相互牽制機能の弱さ
(4)工事部員に対する減点主義の人事評価
(5)基準となる原価が不明確
(6)赤字工事受注の増加
(7)不適切な原価処理を見逃す管理部門の弱さ
どの建設会社でも共通する事項ではないでしょうか。
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