鴻海精密工業がシャープを買収する契約の調印を保留したという記事。「これまでに明らかにされていなかった偶発債務の存在が判明した」とのことです。
「関係筋の1人は、シャープが精密に送った詳細文書でシャープの偶発債務は「数千億円」に上ることが判明したとしている。最終的に合意する前にこの件をめぐる解決が必要としている。
ただ、債務の具体的な内容や額については明らかにしなかった。」
「シャープはこの日に開いた臨時取締役会で鴻海による買収案の受け入れを全会一致で決定。ただ鴻海はその数時間後に発表した声明で、シャープが24日朝、鴻海の経営陣に「新しい重要な書類」を送付したとし、正式な買収契約の締結前にその内容を精査する必要があることを同日中にシャープ側に伝えたことを明らかにしていた。」
シャープの第3四半期(2015年4~12月)の四半期報告書をみると、偶発債務として注記されているのは、以下のとおり。
・保証債務 12,478百万円
・ソーラーパネルの原材料(ポリシリコン)の購入契約関連 買付契約評価引当金控除後の契約残高 28,314百万円(引当金は54,449百万円)
・生産拠点で使用する電気等の供給に係る長期契約関連 未経過残高 39,581百万円
・その他
「TFT液晶事業に関し、欧州委員会競争総局等による調査を受けており、また、北米等において損害賠償を求める民事訴訟が提起されている。」
これ以外にもいろいろあると思われますが、注記または引当金計上すべきものが、万一もれていたら、大問題となります。
当サイトの関連記事(2015年3月)(長期購入契約について)→この分は引当されているもよう。
シャープ買収、鴻海「契約しばらく保留」 内容を精査へ(朝日)
鴻海、シャープ買収契約を留保=3500億円負債拡大の恐れ(時事)
シャープ株続落、鴻海が買収契約延期-新たな債務情報を精査(ブルームバーグ)
「事情に詳しい関係者によれば、新たな重大情報には構造改革や人員整理など一定の状況でシャープが支払わなくてはならない偶発債務が含まれる。全ての偶発債務が発生した場合、3000億円を超える可能性もあるが、逆にもっと低い水準となることもあるという。鴻海と対抗して買収を目指していた政府系ファンドの産業革新機構は偶発債務の額を計算していたが、鴻海は今週になって全容を知ったという。」
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