会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

包括的な企業報告の実現へ - IIRC, SASB, GRIなど5団体が共同声明(KPMGより)

包括的な企業報告の実現へ - IIRC, SASB, GRIなど5団体が共同声明

サステナビリティ報告に関する5つの主要な基準設定団体(IIRC、SASB、CDP、CDSB、GRI)が、「包括的な企業報告」の実現を目指す共同声明を出したという解説記事。

背景は...

「5つの基準設定団体が当表明書を発出するに至った背景として、サステナビリティ報告が財務報告より複雑にならざるを得ない点、そして、サステナビリティ報告に関する多くの基準やフレームワークが策定され、報告の作成者、利用者の双方に混乱を招いている点を挙げています。」

声明の目的は...

「5つの団体による協働の目的は、以下のように述べられています。

・それぞれのフレームワークや基準の相互補完的かつ付加的な適用にむけた共同ガイダンス

包括的で、首尾一貫した企業報告の実現のために、既有のサステナビリティ基準やフレームワークが、一般的に公正妥当と認められた会計基準(以下、「Financial GAAP」)をどのように補完できるかについての共同ビジョン

・共通のゴール達成のために、相互に、さらには他の関係者も交えた深度ある協調を進めるための共同コミットメント」

5つの論点を論じているそうです。

1)マテリアリティはダイナミックな性質を帯びていること - 2つのマテリアリティコンセプト

「企業が用いるサステナビリティ開示には、2つのマテリアリティコンセプトがあります。ひとつは経済、環境、社会へのインパクトを基とするマテリアリティで、幅広い利用者の目的に対応するものです。もうひとつは、経済的な判断を目的にする利用者の必要に資するマテリアリティで、企業の価値創造に焦点をあて、同時に先述のマテリアリティを構成する一部です。

マテリアリティは時の経過とともに変遷するようなダイナミックな性質を帯びています。例えば、ある時点では「マテリアルではない」と考えられていたサステナビリティ課題が、経済・環境・社会への企業のインパクトに関わるエビデンスを再検討した結果、「マテリアル」となる可能性があります。同様に、これまでマテリアルとはならなかったサステナビリティ課題が、時間の経過とともに、または急な状況の変化により、企業の価値創造にとってマテリアルとなることも考えられます。COVID-19によるパンデミックや人種問題などはその一例です。」

2)包括的な企業報告を加速させる好機であること

3)信頼性のあるサステナビリティ報告が求められていること

4)包括的な企業報告へのアプローチが必然であること

5)テクノロジーを活かすこと

ダイナミックマテリアリティというのが、重要な概念のようです。


(KPMGウェブサイトより)

まず、会計基準に基づく開示があって、その周辺にその企業の価値創造にとって重要なサステナビリティ・トピックの開示がある(この2つは企業に関心のある人(端的には投資家や債権者)向けの情報開示なのでしょう)、さらにその外側には、その企業というより、自然環境や社会に関心のある人(一般人)向けの情報(企業が環境に与えているインパクトなど)の開示があるということでしょうか。また、「ダイナミック」ですから、3つの開示は固定されたものではないのでしょう。

共同声明の原文はこちらのページから。

Statement of intent to work together towards comprehensive corporate reporting
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