人的資本の開示指針「コレじゃない」 優先順位望む企業(記事冒頭のみ)
8月末に政府が公表した人的資本情報の開示指針(「人的資本可視化指針」のことだと思われます)を取り上げた記事。
まず、この指針を高く評価する意見。
「8月末、内閣官房のホームページに公表された指針は、国際標準化機構(ISO)や米証券取引委員会(SEC)、米サステナビリティ会計基準審議会(SASB)など内外の関係機関が策定した指針を比較分析。これを踏まえて「スキル」「採用」「ダイバーシティ」など企業に開示を推奨する7分野19項目を列挙した。人的資本情報開示の必要性を提言してきた一般社団法人、HRテクノロジーコンソーシアムの香川憲昭代表理事は「世界標準の内容で、投資家が期待する情報はすべて盛り込まれた」と網羅性を高く評価する。」
企業の反応は...
「暗中模索の企業は今回の政府指針に「対策の手引き」としての期待を寄せていたが、内容はそれに応えるものになっていない。ある企業のIR担当者は「『指針』をうたってはいるが『資料集』だ。必要なのは取り組みの優先順位だが、(指針は)総花的すぎて、どこから手を付けていいか分からない」と明かす。公表に先行して企業などから募ったパブリックコメントも「事例記載だけでは開示は進まない」「あるべき論でなく具体的ガイドラインを」などの声が目立った。
人材マネジメントに詳しいリクルートの津田郁研究員は「人的資本可視化の世界的議論の動向をつかむには最適の資料だが、日本の労働市場において特に何が重視されるかを強く打ち出してもよかった」と話す。」
その他の公的な指針は...
「21年4月に施行された改正労働施策総合推進法では、政府指針にもある中途採用比率の開示が義務化された。一見、容易に把握できそうな指標だが、定義や計算手法を巡る実務の混乱は大きく、厚労省は追加のガイドライン策定などを迫られた。」
「政府指針の具体性の乏しさから、企業の関心は金融庁が策定中の有価証券報告書の開示ルールに移っているが、現時点で開示が義務付けられそうなのは女性管理職比率や男性の育児休業取得率などダイバーシティー関連の項目で、肝心の人材投資については「育成方針」や「測定可能な指標」という包括的な記載にとどまる見通しだ。」
たしかに、「人的資本可視化指針」を眺めていても、どこがポイントであって、何を開示させようとしているのか、なかなか読み取れません。記事でいっている「7分野19項目」が、指針で強く打ち出されているわけではありませんが、検討する出発点としては適当なのかもしれません。
(「人的資本可視化指針」本文より)