日産ゴーン事件で、証券取引等監視委員会が、日産に対して課徴金約24億2500万円を科すよう金融庁に勧告するという記事。少しまけてやるのだそうです。
「監視委は1月までに、2011年3月期~18年3月期の8年間で、ゴーン前会長の役員報酬計約91億円分を隠したとして前会長を告発。この8年分を東京地検特捜部が起訴しているが、今回は課徴金勧告の時効(5年)がかからない15年3月期~18年3月期の4年分が対象となる。
本来の課徴金額は約39億7100万円にのぼったが、自主的に違反を申告すれば減額が認められる制度があるため、日産は監視委が本格検査に入る前の今夏、違反を申告。」
財務諸表の利益が大幅に水増しされていたというのではなく、ゴーン氏の報酬が年間10億円少なく表示されていたというだけで、こんな大きな課徴金を課すというのはバランスが取れていません。役員報酬10億円の影響で、投資家の投資判断にどれだけの影響があったというのでしょうか。
(そもそも、役員報酬の虚偽記載はなかったのではないかというのが当サイトの見方ですが...)
日産がこの課徴金を受け入れるとして、会計処理はどうなるのでしょうか。ゴーン氏に対する未払い報酬(記載もれ分)が91億円負債計上されているはずですから、課徴金はすべてゴーン氏の責任だとして、ゴーン氏に対する未収入金(課徴金相当額)を計上した上で、未払い報酬と相殺という方法も考えられますが、相殺するということは、相殺するまではゴーン氏に対する91億円の支払い義務があったということになるので、ゴーン氏から残りを払えと言ってきたら払わざるをえなくなりそうです(未収・未払い両建てのままという方法もある)。それでは、24億円をいったん損失計上した上で、それとは別に、諸般の事情から未払い報酬の支払い可能性が低くなったという理屈で、未払いを取り崩して利益計上するのでしょうか。しかし、そうすると、ゴーン氏への支払いが確定しているから未払いを計上したはずなのではないかとつっこまれそうです。
日産の決算にすごく大きな影響を与えるというほどの金額ではありませんが、注目したいと思います。
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