会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

減損倍増、最大の4.2兆円 前期に車や鉄鋼が巨額計上、今期も相次ぐ懸念(日経より)

減損倍増、最大の4.2兆円 前期に車や鉄鋼が巨額計上、今期も相次ぐ懸念(記事冒頭のみ)

日本の上場企業が2020年3月期に計上した減損損失が過去最大になったという記事。

2007年3月期から継続比較できる上場企業1952社を調べた結果です。

「日本の上場企業が2020年3月期に計上した減損損失が過去最大の4兆2768億円にのぼったことが日本経済新聞の集計で明らかになった。自動車や鉄鋼などで数千億円規模の減損が相次いだ。新型コロナウイルスの影響が合理的に見積もれないとして減損計上しなかった企業もあり、今期以降も業績回復の重荷になる可能性がある。」

これまでの最大は2016年3月期の3兆3266億円だったそうです。

記事本文中で名前が出ている会社は、

日産自動車 5406億円
アイシン精機
NTN
パナソニック 912億円
TDK
三菱自動車(2020年4~6月の四半期で1159億円の減損損失を計上)
日本製鉄 4160億円
JFEホールディングス 2388億円
神戸製鋼所

などです。4.2兆円のうち、上位3社で4分の1超(1兆円超)を占めているということになります。

製造業の会社で多額の減損損失を計上している会社が多いのですが...

「こうした製造業の減損損失は、今期も相次ぐ可能性が指摘される。新型コロナの影響について「合理的に見積もることが困難」といった理由で減損に至らなかった企業が少なくないからだ。」

日本基準を想定すると、引当金の場合は合理的に見積もることができるというのが、計上の要件になっていますが、固定資産の減損の場合は、減損の兆候があれば、かならず減損の要否を判定しなければならないので、「合理的に見積もることが困難」だからといって、減損損失の計上を免れることができるわけではないでしょう。

ちなみに、減損第1位の日産自動車の減損損失の注記を有報から一部抜粋すると以下のようになっています。(このほかに遊休資産などの減損が少しある。)

「当社グループは、「事業規模の最適化」と「選択と集中」を目指した将来台数見通しの更新を受けて、当連結会計年度末において減損の兆候が認められた資産グループについて減損テストを実施した。その結果、以下の自動車事業の事業用資産について帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失(522,005百万円)として特別損失に計上した。」

事業計画見直しによる台数減を反映させたものだったようです。
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