会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

電通がデジタル広告で2.3億円過大請求、12月に調査結果公表へ(朝日より)

電通がデジタル広告で2.3億円過大請求、12月に調査結果公表へ

電通がデジタル広告の広告料の過大請求を行っていたという記事。

「電通<4324.T>は23日、国内のデジタル広告分野で広告が未掲載にもかかわらず請求を行うなど、不適切な事例があったと発表した。広告効果に疑問を持ったトヨタ自動車<7203.T>からの指摘で発覚した。

不適切な業務には、広告掲載期間のずれ未掲出運用状況に関する虚偽の報告などがあり、9月22日時点でそうした処理が行われた可能性のある広告主数は111社、案件数は633件、金額は約2億3000億円にのぼるという。」

背景は...

「同席した山本敏博常務は不適切な処理を行った動機について「運用型デジタル広告はどんどんニーズが増えてきており、恒常的に現場は人手不足となっている。こうした中、できないとか時間がないとか自分の力が足りないということを言いにくい状況があった」と述べ、人員体制に見合わない無理な引き受けが不適切な処理につながったとの見方を示した。」

電通にとって最重要クライアントと思われるトヨタ自動車までだましていたとなると、その他大勢の広告主への請求は大丈夫なのでしょうか。また、他の広告会社は正しく請求しているのでしょうか。

売上の計上とも結びついていたでしょうから、財務報告にかかる内部統制の不備ということになるのでしょう。ただし、この程度の金額で収まれば、大問題にはならないと思いますが。

電通ネット広告不正、閲覧数の虚偽報告も「経営の問題」(朝日)

「電通によると、不正があったのは、電通本体と子会社などが請け負ったパソコンやスマートフォン画面に画像や動画を表示させる広告。データが確認できる2012年11月から今年8月までの間に、過大請求のほか、掲載の期間が広告主の依頼とズレたり表示や閲覧の回数などを虚偽報告したりしたケースが見つかった。作業ミスや故意の虚偽報告が原因という。」

電通「不適切と表現したが、まあ、不正です」(日経ビジネス)

電通の記者会見の模様を伝える記事。

「経営陣が今回の問題を把握したのは8月初旬。8月15日には、私を委員長とする社内調査チームを設置した。関連業務に従事する社員へのヒアリングや、各種データ・書類の照合を進めている。2012年11月以降のデジタル広告サービス全般を対象に、広告主1810社の20万件を調べている。

このうち、現時点で(不適切業務の)疑いがある作業案件は633件で、対象となる広告主は111社。不適切な請求に相当する金額は約2億3000万円。とりわけ深刻なのは広告が掲載されていないにもかかわらず(広告主に代金を)請求していた14件だと受け止めている。」

「原因究明はこれからだが、現時点で分かっている範囲でいうと、本来ミスが生じやすい業務領域であるにも関わらず、これらをけん制、防止、発見する管理体制が不十分であったのは疑いのない事実だと考えている。当面の対処策として、デジタル広告の発注・掲載・請求の内容確認業務を、独立性の高い部署に移管した。」

「クライアント名ではなく、何がおかしかったのか聞きたい。

 「7月に発覚したということは、おそらく6〜7月の出稿についてと想定されるが『掲載されるはずの期間に掲載されていないのでは』という種類の指摘があった。掲載による期待値に比べ(掲載による)効果が一向にあがっていない。このため正しく期待通りの露出が行われていますかという疑義が出た」」

広告主の方も、広告効果の検証をやらないと...。トヨタは、予定されていた効果との比較をやっていたようです。

業績影響は...

「業績への影響は。

「本件によって、広告主から出稿がなくなるようなことは現時点では生じていない。約2億3000万円については、これから監査法人とも相談するが、一番早ければ第3四半期決算には計上する。ただ、この額であれば特損というかたちにはひとまずならない。今後の調査の進捗によって対象額がどれだけ膨らむかということはあるが、過去の財務報告の修正も現時点では考えていない」」

監査人はトーマツです。売り物にしているAudit Analyticsは、こういう場合役立つのでしょうか。

日本国内のデジタル広告サービスにおける不適切業務の発生について(電通)(PDFファイル)
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