日本公認会計士協会は、監査委員会報告第69号「販売用不動産等の強制評価減の要否の判断に関する監査上の取扱い」を改正する公開草案を、2008年12月24日付で公表しました。
企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」を踏まえて見直しを行ったものです。報告書の表題も「販売用不動産等の評価に関する監査上の取扱い」に変わります。
新基準では低価法が適用され強制評価減の処理がなくなるので「時価の著しい下落の判断基準」や「時価の回復可能性に関する判断指針」の項目は削除されています。また、「時価」は基準の用語に合わせて「正味売却価額」と修正されています。
正味売却価額(従来の「時価」)の算定方法については、現行の「取扱い」でも正味実現可能価額が妥当とされていたので、実質的な変更はありません。
ただし、最近棚卸不動産を資金化できずに不動産会社が倒産するケースが多いことを意識してか、「特に、当該販売用不動産等を早期に処分することを計画している場合には、その評価について留意する必要がある」という記述が追加されています(3項)。
また、「販売用不動産等の評価時点」(従来は「時価評価の実施の頻度」として規定)について、「原則として期末(四半期会計期間を含む。)」とされている点も微妙な改正点です(5項(3))。
評価減の戻入れについては、新しい項目が設けられ、「戻入れ益計上の金額及び時期について、監査上、慎重に判断することが必要である」とされています(6項)。
2008‐2010 新会計基準の実務 阿部 光成 by G-Tools |