富士重工業が、国に対する訴訟で敗訴したため、今期、貸倒引当金約297億円を特別損失に計上するという記事。
「同社は東京地方裁判所に、国を被告として防衛省向け戦闘ヘリコプターAH-64Dの初度費費用を求めて提訴したが、東京地裁は請求を棄却した。
同社では、控訴を含めた今後の対応を検討しているが、判決どおりに確定した場合に備え、2014年3月期連結決算で、貸倒引当金約297億円を特別損失に計上する。」
同社の有報(2013年3月期)をみると貸借対照表の注記で以下のように書いています。
「当社は、平成22年1月15日に東京地方裁判所に対し、国を被告として、防衛省向け戦闘ヘリコプターAH-64Dの製造に当たり、初度費(日本仕様への変更のために支払った金額など)未回収分等の支払い35,124百万円を求める訴訟を提起しました。
当社が支払った初度費の未償還額23,954百万円は投資その他の資産の区分のその他に計上しており、訴訟金額には投資その他の資産の区分のその他に計上した初度費の未償還額以外に、当社の仕入先が支払った初度費の未償還額、消費税などが含まれております。」
日経によれば、このヘリコプターについては、会社想定の62機に対して防衛庁の調達が13機で打ち切りになってしまったそうです。いろいろな考え方はあるのでしょうが、保守的に考えれば、この初度費については、防衛庁への納入機数が想定を下回り、機体の売上からは回収できないと判断された年度で減損処理を行ったうえで、国に対する請求は、それが裁判等で認められた時点で収益に計上するという方法もあると思われます。
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