会計ニュース・コレクター(小石川経理研究所)

経理部は「完全リモートワークで決算」できるか(東洋経済より)

経理部は「完全リモートワークで決算」できるか
マネーフォワード経理部隊が挑んだ高い壁


(ちょっと宣伝っぽい感じもしますが)マネーフォワード(11月決算会社)が完全リモートワークで第1四半期決算業務をスケジュールどおり行った様子を取り上げた記事。

「...完全リモートワークで決算業務を行い、通常のスケジュール通りに四半期決算の発表にこぎ着けた企業がある。法人向けクラウド会計ソフトや個人向け家計簿アプリを手がけるマネーフォワードだ。年間の決算の締めが11月の同社は、第1四半期決算を緊急事態宣言発令後の4月14日に発表している。

マネーフォワードが全社にリモートワークを推奨し始めたのが3月2日。ちょうど2月の月次決算と、年度の第1四半期決算の締め業務が始まった頃だ。そこから約2週間にわたって、同社の財務経理本部は完全リモートワークで決算業務を乗り切った。」

具体的な方法についても少しふれています。例えば、請求書については...

「中でもポイントだったのが、取引先から紙による請求書をもらわないようにすることだ。税務上必要な書類の電子管理の方法を定めた電子帳簿保存法では初めから電子ファイルで請求書をもらっていれば、保存要件が緩和され、紙を介する必要がない。

また、請求書が紙だったとしても、その金額を事前に確認しておけば、原本が手元に届いていなくとも会計上は引当金として計上して決算を締められる。税務上は原本が必要になるため、後から回収する。」

これは多くの会社でやっていそうな方法です。ただし、支払い手続は原本が届いてからになるでしょう。(「引当金」は社内用の科目としてはともかく、開示される決算書では正規の科目名にしないといけません。)

仕訳の承認については...

「従来のやり方では、上長が仕訳を承認する際、仕訳帳を紙に印刷し、根拠となる帳票(証憑<しょうひょう>)を貼りつけて押印して承認していくことが多かった。ただマネーフォワードではこの2月に、電子的に仕訳承認ができる機能を付加した上場企業向けの「クラウド会計Plus」を発売。自社の経理業務にも導入した。

マネーフォワードでは現在、証憑類をクラウドストレージに保存し、一つ一つのファイルに割り振られたURLをクラウド会計Plusの中に仕訳とともに記録している。

現場の担当者がそれを社内で申請し、承認側の上長が証憑類を一つ一つクラウド上で確認し承認するというプロセスになっている。物理的な紙のやり取りは一切発生しない。結果的に「決算業務は予定よりも早く終わった」(松岡氏)という。」

会計監査については...

「クラウド上で完結する仕組みは、決算をまとめた後の3月下旬の監査でも生きた。一般的な監査では、監査法人の公認会計士が被監査会社のオフィスの一室にこもり、証憑類をチェックしたり、経理担当者に話を聞いたりしている。ただ今回は監査もリモートで行わざるをえなくなった。

前出のクラウド会計Plusでは監査用のアカウントを発行し、被監査会社の会計ソフトの記録を見られるようにしている。これによって、会計士はオフィスに来なくても監査を進めることができた。証憑類もクラウド上に保存されていたため、マネーフォワード側で書類を印刷したり、メールで送付したりといった必要がなく、監査法人側もつねに最新のデータを確認できたという。」

四半期レビューだからできたという面もありそうです。また、こういう仕組みが被監査会社側にないと、リモート監査は限定的にならざるを得ないでしょう。

記事の中で取り上げられているMF KESSAI社のアンケート調査。

MF KESSAI、「経理財務・会計担当者のテレワークの対応状況」に関する調査を実施

「緊急事態宣言後、新型コロナウイルス感染症拡大の抑制のため、テレワークを行うことが政府によって推奨されていますが、毎日テレワークを実施できている経理担当者は17%にとどまり、83%の経理担当者は月1回以上の出社を予定しています。さらに、50%が全くテレワークを実施できておらず、出社を余儀なくされていることがわかりました。」
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