カネボウの個人株主約500人が同社の再建手法は違法だとして、取締役5人を会社法の特別背任罪で東京地検に告発するという記事。
「ファンド連合は今年5月、日用品、薬品、食品の3事業をカネボウから切り離し、共同設立した「カネボウ・トリニティ・ホールディングス(新カネボウ)」の100%子会社にしたが、3事業の譲渡代金425億円はカネボウには支払われていない。
新カネボウは営業譲渡代金を支払う代わりに、投資会社が保有するカネボウ株を担保としてカネボウに差し入れている。しかし、カネボウにとっては自社株のため自由に売買できず、事実上、担保価値はないとみられる。」
アドバンテッジパートナーズ、ユニゾン・キャピタル、MKSパートナーズのファンド連合は、カネボウ株式(議決権)の83%を保有する大株主(つまり関連当事者)ですが、その大株主に事業を譲渡し、その代金を受け取っていないという取引です(そのかわりカネボウ株を担保に取っている)。つまり、関連当事者取引が適正に行われたのかという問題ですが、カネボウの監査人はよく検討しているのでしょうか。(監査人がやるべきことは、監査基準委員会報告書第34号「関連当事者の監査」に書いてあります。)
スキーム全体をみないと、提訴した株主の言い分が正しいのかは判断できません。しかし、実質的にファンド連合がカネボウの株式と引き換えに事業を取得したのだとしたら(名目上は担保提供ですが)、それはカネボウにとって自己株式の取得以外の何ものでもありません。必要な手続きを踏んでない限り、違法行為ではないのでしょうか。
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