金融庁が、大手7銀行グループに対し、ローン担保証券(CLO)投資に関する一斉調査を実施していたという記事。
「今回の調査の対象金融機関はMUFG、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、りそなホールディングス、三井住友トラスト・ホールディングス、農林中金、ゆうちょ銀行。うち、事前調査でCLO投資残高の大きかった農林中金、ゆうちょ銀行、MUFGに対してはより重点的な調査を実施したという。」
「米国では、CLOの裏付け資産となるレバレッジドローン(高リスクローン)の市場が過熱。利回りの高さが投資家の人気を集め、2018年の発行額は過去最大となった。18年末にかけて、イエレン前連邦準備制度理事会議長、エリザベス・ウォーレン上院議員らが次々と同市場のリスクを指摘。こうした事態を受け、金融庁はCLOに特化した調査に踏み切ったという。
同庁関係者の1人は、最近、米国のレバレッジドローン貸付先企業で、自己資本に対する借入金などの割合を示す「レバレッジ比率」が上昇し、質が劣化してきていることに懸念を感じていると話す。こうした問題意識はすでに調査先に伝えており、金融庁は各グループのCLO保有について2、3カ月後に再度一斉に点検する方針だ。CLO保有に急拡大の動きなどがあれば個別の調査も検討する。」
「農林中金の開示資料によると、CLOを含む債務担保証券(CDO)の保有残高は昨年12月末時点で6兆8219億円と、3月末時点の3兆8134億円から1.8倍に急増した。MUFG広報担当によると、CLO残高は同12月末で2兆5000億円程度で16年3月末時点と同水準になっているという。ゆうちょ銀の資料によると、同12月末の米CLO保有は1兆63億円と3月末時点から2倍に増えていた。3グループとも格付けは最上位のAAAだとしている。」
「東洋大学の野崎浩成教授は、CLOの発行残高が「結構なピッチで増えてきている」との認識を示した上で「クレジット市場の変調に対し、非常に脆弱(ぜいじゃく)な部分がある。また、流動性も高いようで低い。その意味で市場のクラッシュというものに対し脆弱性を持っている」と指摘。農林中金については「CLOそのものが危険だと言うつもりはないが、保有量のコントロールが必要な段階にきたと思う」と述べた。」
リーマンショックの教訓が忘れられていないことを期待します。
農林中金、米企業の財務状況にも大きな影響力 世界のローン担保証券(CLO)市場で圧倒的な存在感を放つ(DOL)(The Wall Street Journal 配信)
「米国では今年1月、資金の借り手企業が厳しい状況に置かれた時期が数週間あった。12月の株価急落から一転し、事態は上向き初めていたものの、投資不適格級企業向けの市場の一部に問題が生じていた。
そこに救世主として現れたのが、日本の農林中央金庫(農林中金)だ。
創立95年の農林中金は農協や漁業協同組合などから66兆円を超える預金を集め、推定7000億ドル(77兆3500億円)の世界のローン担保証券(CLO)市場で大きなシェアを占めている。
農林中金が保有するCLO資産は620億ドルと、米国の2大銀行ウェルズ・ファーゴとJPモルガン・チェースいずれのCLO資産をも上回る。その影響力は拡大しており、2018年10-12月には保有資産を約100億ドル積み増した。これは同期間の欧米のCLO発行総額の3分の1近くに上る。」
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