米国の大手カジノ運営会社が日本進出を狙っているという記事。
「米カジノ大手MGMリゾーツ・インターナショナルのジェームス・ムーレン会長兼最高経営責任者(CEO)は20日、最大で100億ドル(約1兆円)を超える規模で日本に投資し、カジノを含む「世界最高の統合型リゾート(IR)をつくる」考えを示した。ラスベガスで共同通信などの取材に応じた。」
かつて、リゾート法(1987年)という法律をきっかけに、日本中でゴルフ場をはじめとするリゾート開発が行われましたが、ほとんどがうまくいかず、融資した金融機関や工事を請け負ったゼネコンなどが大きな損失を被りました。金融商品会計の実務指針でゴルフ会員権の減損が大きなテーマとなったように、一般企業もゴルフ会員権で相当の損失を計上しています。
カジノはかつてのゴルフ場開発と違って、何百件もやるわけではないにしても、投資金額が1件で数千億円から1兆円ということだと、ゴルフ場の数十倍にもなります。国策に従って、横並びで一斉に開発がおこなわれると、どれか一つぐらいは破たんすることがあるかもしれません。そうなれば影響は甚大です(バブル崩壊の再来?)。
うまくいかない要因としては、カジノ運営の素人が経営することによって集客できない、パートナーとして組んだ海外のカジノ運営会社にだまされる、日中関係のさらなる悪化によって外国人客(主として中国人?)が来なくなる、同じような施設がたくさんできて共倒れになる、コンプライアンス上の問題が起きて規制が厳しくなる、などさまざま考えられます。
(いざとなれば、パチンコを禁止して、ギャンブル需要をカジノに誘導するのかもしれませんが)
京浜急行、カジノ運営参入へ部署新設 横浜や台場が候補地(sankeibiz)
「総投資額は6000億円程度とみて、企業連合体に加わる各社で分担する考え。」
大阪都に万博・カジノ誘致 大阪維新素案、財源示さず(朝日)
「大阪都として、2025年の万国博覧会開催やカジノを含む統合型リゾート(IR)の誘致など人を集める計画を柱に成長を促す。」
カジノ誘致、東京都は一転慎重 知事「青少年に悪影響」(朝日)
「「カジノは賭博。青少年への悪影響とか色々ある」「カジノがないと日本経済はよみがえれないと言う人がいるが、そんなものなくてもよみがえる」。舛添要一都知事は17日、フジテレビの報道番組で語った。」
大手監査法人はカジノに関するセミナーを開催しています。商売になりそうだということなのでしょう。
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青少年の健全育成といった社会的責任を含む統合報告(IR)の助言をやる一方で、賭博場(IR)の運営の仕方についても助言するということでしょうか。監査法人も営利企業なのでやむをえないのかもしれません。
アトランティック・シティ(米国)のカジノ閉鎖に関する記事
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Uncertainty for Workers Losing Jobs at Atlantic City Casinos(NYT)
ラスベガスMGMリゾーツCEOに聞く
「日本型『カジノリゾート』に最大100億ドルの投資を考えています」(現代ビジネス)
「カジノについては法律や規制が今後どうなっていくかに注目している。法律や税制などがきちんと整備され、国としてのマネーロンダリング防止体制などが整わなければMGMリゾーツとしては進出できない。」
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