会計事務所EY、監査・税務などの分離計画を取り下げ(記事前半のみ)
ビッグ4会計事務所のEYが、分割計画を取り下げるらしいという記事。フィナンシャルタイムズが最初に報じたようです。
「大手会計事務所のアーンスト・アンド・ヤング(EY)はコンサルティングや税務部門を分離する案を取り下げる。監査部門とその他業務の利益相反を解消するために検討を続けてきたが、米国の経営陣が強く反発したとみられる。」
会計事務所同士の合併やネットワークへの加盟は珍しくありませんが、離婚の方ははるかに難しいようです。日本であれば、もともと分野ごとに別法人となっているので、別れるのも簡単なのでしょうが、米国などでは、同じ法人の中で分割するということになるので、難易度は高いのでしょう。また、普通の会社と違って、パートナー組織なので、大勢いるパートナーの説得が必要になります。大株主を中心とした株主の多数に認めてもらえば組織再編ができるというのとはちがうのでしょう。そのほか、景気が悪くなってきたので、分割部門を上場しても、予定していたほど利益が出ないということなのかもしれません。
詳しい報道が出てきたら、また取り上げたいと思います。
会計事務所EY、監査・税務などの分離計画を取り下げhttps://t.co/k5jEjWc3lr
— 日本経済新聞 電子版(日経電子版) (@nikkei) April 12, 2023
EY scraps break-up plan after months of internal dissent(フィナンシャルタイムズ)
火曜日にEYのグローバル・リーダーシップ・チームが、パートナーたちに、EYは別のディールを追求するというメモを送付したそうです。FTが確認したそのメモによると、米国の執行委員会がこの計画(プロジェクト・エベレスト)の中止を決めた、米国のメンバー・ファームのこのプロジェクトに対する重要性に鑑み、このプロジェクトの作業を中止するという内容だったそうです。
“We have been informed that the US executive committee has decided not to move forward with the design of Project Everest. Given the strategic importance of the US member firm to Project Everest, we are stopping work on the project,” they wrote in the note, seen by the Financial Times.
しかし、そのメモでは、グローバル・リーダーシップ・チームは、監査品質、独立性、クライアントの選択肢を増強するような2つの世界クラスの組織を造ることに、まだコミットしていると述べているそうです。(まだ完全にはあきらめていない?)
However, the global executive team added that it was still committed to “creating two world-class organisations that further advance audit quality, independence and client choice”.
米国のEYは、EYの税務部門を2つに分けることが賢明なのか、そして、残される監査を中心とする部門が、監査品質を維持できるほどの財務力があるのか、という点に、納得しなかったそうです。先月、米国EYを運営するJulie Bolandは、プランニング作業を一時停止することで、プロジェクトの将来に疑問を投げかけました。
この分割計画が持ち上がったのは、2021年でしたが、当時は、企業のITプロジェクト・ブームを背景に、コンサル・ビジネスが歴史的成長を経験していました。しかし、その後、コンサル会社の評価額は急落、債務コストは上昇し、EYが用いていた予測を複雑にしました。
このプロジェクトにはたいへんな費用と人員が投下されていたそうです。FT記事によれば、数億ドルを費やし、2千人以上のスタッフがかかわっていたそうです。計画を推進してきたDi Sibioの将来にも影響が出そうだとのことです。彼は、60歳の定年をすぎても、EYの移行期間のCEOを継続し、あたらしいコンサル部門を経営することになっていました。’