過度な節税指南に待った 会計士倫理の国際組織が新基準 議長「企業の評判にリスク」(記事冒頭のみ)
国際会計士倫理基準審議会(IESBA)のガブリエラ・フィゲイレード・ディアス議長へのインタビュー記事。(議長は4月に来日してセミナーに登壇するなどしたようです。→国際会計士倫理基準審議会(IESBA)関係者の来会について(日本公認会計士協会))
このインタビューでは、税務に関する倫理基準についてふれています。日本では、税務は税理士の業務ですが、海外では会計士がやることが多いので、税務業務に関する倫理基準も国際会計士倫理基準審議会が検討しています。
「企業の行き過ぎた租税回避行動を減らすため、会計士の倫理基準を開発する国際組織が動く。税負担計画(タックスプランニング)の策定を支援する会計士向けの倫理基準を開発し2025年7月から適用する。法令順守のほか、その節税策が企業の評判を落とさないかといった社会的影響まで考慮するよう求める。」
「稼いだ利益をタックスヘイブン(租税回避地)に移転するなどの方策を駆使して税負担を極力押さえ込む多国籍企業に対し、社会的な批判が強まる。国際的には会計士が過度な租税回避を指南しているとの見方も多い。」
ビッグ4のような国際的な会計事務所が関与しなければ、巨大多国籍企業による複雑な手法を使った国際的な租税回避は難しいでしょうから、当然の批判でしょう。
新しい倫理基準では、タックスプランニング業務を提供する会計士に「信頼できる根拠」を持つことを求めるそうです。グレーゾーンの節税策について、適法であると自信を持てるかどうかが問われます。(だめもとであやしい節税策をクライアントにやらせるのは認められない?)
さらに、「スタンドバック・テスト」(一歩下がって世間の受け止め方を考えるといった意味?)が必要となるそうです。
「違法でなくても租税回避が行き過ぎと世間からみなされれば、企業の評判を下げるリスクがある。会計士にこうした影響を考慮してもらう。」
ソフトバンク・グループのように世間の評判などお構いなしに、大胆な租税回避策を実行する会社もあります。こうしたルールがどこまで有効なのか...
そのほか、サステナ開示の保証業務提供者の倫理基準も新たに開発するとのことです。会計士以外の保証業務を行う者も対象になります。国際会計士倫理基準審議会は、ISO認証機関などが加盟する国際組織である国際認定フォーラムと連携しているそうです。